赤ちゃんをわが子として育てる方を求む の商品レビュー
こんなお話をニュースで見たような、朧げな記憶がある。どちらかといえば、医者を非難するような、糾弾するような、論調だったような気がする。命を大事にしようと、命を削って邁進した医者がいる。 救いだと思う。法律が追いついていかない事例はたくさんある。壁を前に諦めるのではなく、穴をこじ開...
こんなお話をニュースで見たような、朧げな記憶がある。どちらかといえば、医者を非難するような、糾弾するような、論調だったような気がする。命を大事にしようと、命を削って邁進した医者がいる。 救いだと思う。法律が追いついていかない事例はたくさんある。壁を前に諦めるのではなく、穴をこじ開ける勇気を、生き様が問われるお話だと感じた。
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涙なしでは読めない、素晴らしいフィクション小説だった。 半分が先生の半生について。 半分が斡旋についての経緯や法律制定までの苦労。 アヤカヤさんの話や、一緒に戦ってきた看護師たちの話は涙なしでは読めない。 石巻だから出来たこと、とあるが確かになぁと思った。 色んな人の支えや、各団...
涙なしでは読めない、素晴らしいフィクション小説だった。 半分が先生の半生について。 半分が斡旋についての経緯や法律制定までの苦労。 アヤカヤさんの話や、一緒に戦ってきた看護師たちの話は涙なしでは読めない。 石巻だから出来たこと、とあるが確かになぁと思った。 色んな人の支えや、各団体とのせめぎ合い、楼閣を経営する母の存在、実親たちの事情、色んな要素を楽しめる内容だった。
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赤ちゃんの命を救うことを最優先にする。 それは子を持つ母親としても共感できるし、自分の人生を注いで取り組んできた菊田医師が過去にいるから、今の法があるのだと実感。 ありがとうございます。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
特別養子縁組の法制度を求めて翻弄した、産婦人科医菊田昇氏の半生を綴ったフィクション。 石井光太氏の執筆ということで、最初からフィクションなのかノンフィクションなのか混乱。小説なのか…?特別養子縁組の法整備の具体的な記述というより、菊田氏の産婦人科医になるまでが半分、その後が半分という感じ。
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題名は菊田昇医師が新聞広告に出した一文だ。石巻の女郎屋に育った彼が産婦人科医となり、人工妊娠中絶の法律規定を変えさせ、特別養子縁組制度を作らせたまでを描いた物語だ。中絶で死ぬ運命であった赤ちゃんが彼が企てた違法行為(菊田医師事件)によって百人以上が救われてきた揺るぎない事実に圧倒...
題名は菊田昇医師が新聞広告に出した一文だ。石巻の女郎屋に育った彼が産婦人科医となり、人工妊娠中絶の法律規定を変えさせ、特別養子縁組制度を作らせたまでを描いた物語だ。中絶で死ぬ運命であった赤ちゃんが彼が企てた違法行為(菊田医師事件)によって百人以上が救われてきた揺るぎない事実に圧倒される。
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とても読み応えがありました。 強い信念を持った1人の医師が、日本の制度を変えた史実をフィクション仕立てにしている。 血縁を強く意識し、赤ちゃんの人権が疎かにされている現状は今も変わらないと感じる。 不妊治療を保険対象にすることで少子化対策だ、なんてことを言っている政治家に、授かっ...
とても読み応えがありました。 強い信念を持った1人の医師が、日本の制度を変えた史実をフィクション仕立てにしている。 血縁を強く意識し、赤ちゃんの人権が疎かにされている現状は今も変わらないと感じる。 不妊治療を保険対象にすることで少子化対策だ、なんてことを言っている政治家に、授かった命全てを大切にしたら、その方がよっぽど少子化対策になるんだよ、と言いたい。
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石巻の妓楼から物語は始まる。 いわゆる赤線が廃止される前の話だ。 口減らしのため、借金の方に。 理由はさまざま、少女たちは売られる。 漁師、軍人、商人、男たちに女の子たちは体を売る。 望まない妊娠、夜伽の中での(守られることのない)約束。 そんな遊女たちに稼がせた金で、菊田は医師...
石巻の妓楼から物語は始まる。 いわゆる赤線が廃止される前の話だ。 口減らしのため、借金の方に。 理由はさまざま、少女たちは売られる。 漁師、軍人、商人、男たちに女の子たちは体を売る。 望まない妊娠、夜伽の中での(守られることのない)約束。 そんな遊女たちに稼がせた金で、菊田は医師となった。 彼が成したことはなんだったか。 特別養子縁組、堕胎できる時期の引き下げだ。 反発も多かったという。 だが、感謝する女性たちの方が、見えないけれどずっと多かったのではないか。 子供ができない悩み、妊娠してしまった悩み、そのほかもっとたくさんの悲しみと諦めと不安と恐れと入り混じった気持ち。 苦しむ女性たちのため、彼は子供の幸せを、母体保護を考えた。 菊田事件として有名なこの事件は、私にとってはもっと、広く評価されるべきだと思う。 今でも中絶数は多いという。 産んでも、堕ろしても非難され、傷つくのは圧倒的に女性で、心も体も元には戻らない。 生まれてしまった子供も悲しみを背負う。 だが、理想を言うなら、子供は皆望まれて生まれ、自分らしく生きる権利があるはずなのだ。 今も菊田医師の理念を引き継いだ人々が子供を助けるため、母親を助けるため奮闘している。 願わくばもっとこの福祉が高いところに行くことを祈っている。 私もどこかでそんな理想を叶えるための一滴でありたいと思う。
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公にはならないけど、 じつは人工妊娠中絶は 死亡原因のトップ3にはいる数だと 聞いたことがある。 それほど数多く行われている産婦人科の現実。 ただ著者が好きなのとタイトルで手にとって 読んだ本。はじめの方は、訛りがすごくて 読み難いなと思っていたけど、 どんどんページをめくる手...
公にはならないけど、 じつは人工妊娠中絶は 死亡原因のトップ3にはいる数だと 聞いたことがある。 それほど数多く行われている産婦人科の現実。 ただ著者が好きなのとタイトルで手にとって 読んだ本。はじめの方は、訛りがすごくて 読み難いなと思っていたけど、 どんどんページをめくる手が止まらなく なって割と一気に読んだ。 菊田昇さん。 あるきっかけがあって、医師を目指し そして医師になり、信念を持って、行動する。 そんな人は自然と周りにも恵まれるものだ。
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産婦人科医、『菊田昇』さんの医師としての生涯が書かれている。 この方が起こした『赤ちゃんあっせん事件』なるものを 私は知らなかった。 産婦人科医が中絶手術をしなければ病院経営が回らなくなるという事実も初めて知る。 様々な理由から中絶を望む女性たち。 後期中絶手術はお医者さんたち...
産婦人科医、『菊田昇』さんの医師としての生涯が書かれている。 この方が起こした『赤ちゃんあっせん事件』なるものを 私は知らなかった。 産婦人科医が中絶手術をしなければ病院経営が回らなくなるという事実も初めて知る。 様々な理由から中絶を望む女性たち。 後期中絶手術はお医者さんたちも本当に辛いでしょう。 そこで何とか赤ちゃんを母親に産んでもらい、 その赤ちゃんを不妊夫婦の元で育ててもらうという、 赤ちゃん斡旋を独自に始める菊田医師。 これはタブーに近い話ではあるけれど、 目を逸らせてはいけない事でもあり、 一概に賛成だ反対だと大きな声で言えないのが本音。 1987年に特別養子縁組が法的に導入され、 何歩も進んだかのように見られるが 調べたところ、そこから促進させるような法律はまだ存在しないらしい。 とても偽善的な言い方になるが、 産まれてきた命、どの子にも幸せになって欲しい。 蛇足。 作中に遠藤周作や三浦綾子、大好きな作家の名前が出てくる。 菊田さんはクリスチャンになられたそうで、納得。
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実話に基づいたフィクション.堕胎しないで母子の健康を守りたいと言う気持ちから法を犯して養子縁組をし,法改正に一石を投じた菊田昇の生涯.敵も多かったが彼を支えるたくさんの人々,特に妻や兄弟に恵まれてそこは本当に良かったと思う.
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