くちなし の商品レビュー
不思議な表現をする作家さん。 引き込まれちゃった。 だからちゃんと理解して読む事が出来たのか?はわからないけど、自分の恋愛とかと被って共感できた。
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2話目だったかな?人に花が咲く話の最後は電車に乗ってたのにこらえきれなくて泣いた。たまらない気持ちになる。ほかの話も全部ブワァっって気持ちになる
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『愛のスカート』『茄子とゴーヤ』以外は、今わたしがいるこの世界とは違う世界の物語だった。あ、でも『薄布』もこっちの世界でもありそうな話だったか。 とにかく、どんな話なのか知らずに読んだわたしは、最初の話で本のタイトルにもなっている『くちなし』の冒頭で度肝を抜かれてしまった。 不倫...
『愛のスカート』『茄子とゴーヤ』以外は、今わたしがいるこの世界とは違う世界の物語だった。あ、でも『薄布』もこっちの世界でもありそうな話だったか。 とにかく、どんな話なのか知らずに読んだわたしは、最初の話で本のタイトルにもなっている『くちなし』の冒頭で度肝を抜かれてしまった。 不倫関係にある男に別れを切り出され「最後に何が欲しい?」と聞かれた女は「腕」と答える。すると彼は自分の左腕を自らもぎとって、彼女にくれてしまうのだ。そこまで読んで「えっ?」と驚くが、それが当たり前の世界に、気がつけば引き摺り込まれてしまった。 どれも濃密な愛の物語だ。狂気をはらんだもの、一途で純粋なもの、満たされない隙間を埋めるようなグニャグニャと柔らかい何か、はたまた長い年月をかけてようやく見えてくるしかないもの。 そこには抑えた表現の裏に激しさを秘めた、純度の極めて高い様々な愛の形があった。 一番心に残ったのは『山の同窓会』かな。それと『くちなし』。 もしあのとき、あの人が同じことをわたしに聞いたら、わたしはなんて答えただろう。 やはり腕?それとも声? あの人の声と話し方をわたしは愛した。だから声帯にする?でも腕と暮らすのって、なんだかとても楽しそうなんだよね。 とにかくもうわたしのあの人はここにはいない。あのときも決して手に入らない立場の人だったが、今は焼かれて骨となってしまい、ねだることも願うことさえも出来なくなってしまった。
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めちゃくちゃ上等な「世にも奇妙な物語」みたいでした。 少し不思議なファンタジーテイストの作品が主ですが、全7編の内、ファンタジーテイストになっていない「愛のスカート」と「茄子とゴーヤ」が特に良い。 思いが報われることだけが恋愛のハッピーエンドじゃなくていい。こんな距離感、こんな...
めちゃくちゃ上等な「世にも奇妙な物語」みたいでした。 少し不思議なファンタジーテイストの作品が主ですが、全7編の内、ファンタジーテイストになっていない「愛のスカート」と「茄子とゴーヤ」が特に良い。 思いが報われることだけが恋愛のハッピーエンドじゃなくていい。こんな距離感、こんな着地点があってもいい、ということを、均整のとれた美しい文章で描いてくれます。 ゴテゴテした比喩がなく、無駄のない文章は、読者に無理に共感を迫ることがなく、読みやすいです。 どんな立ち位置だっていい。自分を卑下しすぎることなく現実と向き合う上記2編の主人公が愛しくてたまらなくなりました。
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繊細で幻想的で、だけど扱うテーマはとても現実的なもので、読んでる間ずっとふわふわしてた。目を向けたくないものを無理やり見せられてるみたいなところがあるな。 人のおすすめの本って面白くて好き
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初めて読んだ、彩瀬まる。 とても幻想的で、ふわふわとした気持ちになった。 恋愛小説みたいな感じで聞いてたけど、そんなことなかった。 男女間だけでなく、家族間、友人間の愛のかたちが描かれる。 読んでる側から見ると、果たしてそれはどうなのか、本人たちは幸せなのか…そう思ったけれど、...
初めて読んだ、彩瀬まる。 とても幻想的で、ふわふわとした気持ちになった。 恋愛小説みたいな感じで聞いてたけど、そんなことなかった。 男女間だけでなく、家族間、友人間の愛のかたちが描かれる。 読んでる側から見ると、果たしてそれはどうなのか、本人たちは幸せなのか…そう思ったけれど、それは本人たちにしか分からない。 一見、幸せじゃなさそうに見えるかも知れないけど、中から見たら、そんなことないかも知れない…… 愛ってなに?幸せってなに?それを考えさせられる、とても現実離れした素敵なお話たちだった。
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幻想的なお話も、現実的なお話も、美しく細やかに描かれていました。どこか生々しいグロテスクさも感じつつ、綺麗。 人を好きになったら、わたしってこんなんだったんだ…となる程心が不安定になるので、「けだものたち」の感覚はとてもわかります。変体するとまではいかなくとも、いつもと違う自分が...
幻想的なお話も、現実的なお話も、美しく細やかに描かれていました。どこか生々しいグロテスクさも感じつつ、綺麗。 人を好きになったら、わたしってこんなんだったんだ…となる程心が不安定になるので、「けだものたち」の感覚はとてもわかります。変体するとまではいかなくとも、いつもと違う自分が出てくる、という。 「愛のスカート」は、苦しくとも素敵な気持ちです。こんな風に人を愛するのもいいのかも。 「花虫」も好きでした。虫と同期して人の感情がある、それは偽物かもしれないけど、だからといって無くせる程不幸でもない気がします。偽物でも、幸せならいいな。 「山の同窓会」はSF色があってこちらも好きです。人それぞれ役目があって、世間一般の流れとは違っていてもいいのだ、きっと。 充足した本でした。千早茜さんの解説も良かったです。彩瀬まるさんの文章は光っている、しっくりくる表現です。
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人の形をしたものたちが、今の人と言われるものと同じ生活をしたり、全く起こり得ないことが起きたりするけど、根本に人とは何か、人の感情とは何か(この本においては恋や愛のことだったりする)を訴えかける小説でした。 初めて彩瀬先生を読みましたがとても好きです。 幻想的でいて、覚えのある...
人の形をしたものたちが、今の人と言われるものと同じ生活をしたり、全く起こり得ないことが起きたりするけど、根本に人とは何か、人の感情とは何か(この本においては恋や愛のことだったりする)を訴えかける小説でした。 初めて彩瀬先生を読みましたがとても好きです。 幻想的でいて、覚えのある感覚をリアルな手触りで感じられました。 短編集ですが、ひとつひとつが体の芯に染みました。 さまざまな人がいるし、ほんとうのこと、というものはその人にしかわからないんだと思うと 人に優しくなれる気がします。 2人で話をしていても、そこにはいつも第三者の影がある。 想いというのは、誰も等しく自由なんだと思いました。
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友人が、これは恋愛小説だと言っていたけど、そのようには感じなかった。 愛とは何か、生きることの意味、生態系の一部としての自分、現代人の悩みを、現実ではありえない設定の中で、鋭く切り込んでいく。 読んでいると、切なくて、でも自分や世の中を肯定できる気持ちになる。 素敵な本でした。
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「くちなし」「花虫」「愛のスカート」「けだものたち」「薄布」「茄子とゴーヤ」「山の同窓会」短編7編収録。とても好みな短編でした。幻想的な作風の中に揺曳している死の匂いや愛憎の影があやしい彩りを添えている。「くちなし」は川端康成の「片腕」のオマージュ作品。「片腕」が大好きな私として...
「くちなし」「花虫」「愛のスカート」「けだものたち」「薄布」「茄子とゴーヤ」「山の同窓会」短編7編収録。とても好みな短編でした。幻想的な作風の中に揺曳している死の匂いや愛憎の影があやしい彩りを添えている。「くちなし」は川端康成の「片腕」のオマージュ作品。「片腕」が大好きな私としては読んでいてとても楽しかったです。「花虫」では本当の愛、偽物の愛にいついて考えさせられる作品。幻想色が薄い「愛のスカート」「茄子とゴーヤ」では報われない愛を描いていて、少し切ない。人の数だけ無数にある愛の形が此処にある。
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