くちなし の商品レビュー
恋を知らず、愛なんかまだまだ自分には遠い未来の話でしかなかった中学生の私が、帯に惹かれて手に取った大切な本です。私の父が哲学好きで、愛の定義を探していますが、その行動に疑問をもった作品でした。私は今高校生ですが、人を愛したいと思ったその未来で、この本を見返すのが楽しみで仕方ないで...
恋を知らず、愛なんかまだまだ自分には遠い未来の話でしかなかった中学生の私が、帯に惹かれて手に取った大切な本です。私の父が哲学好きで、愛の定義を探していますが、その行動に疑問をもった作品でした。私は今高校生ですが、人を愛したいと思ったその未来で、この本を見返すのが楽しみで仕方ないです。
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不思議で少し不気味な異世界を描いた短編集。別れた愛人の片腕と暮らす表題作や、身体に寄生した羽虫に愛情をコントロールされる「花虫」、戦火を逃れてきた異国の子供たちを主婦たちが買う「薄布」など。 ぞっとするような設定の中にも差別や人権など、決して声高ではないが、社会への風刺のような...
不思議で少し不気味な異世界を描いた短編集。別れた愛人の片腕と暮らす表題作や、身体に寄生した羽虫に愛情をコントロールされる「花虫」、戦火を逃れてきた異国の子供たちを主婦たちが買う「薄布」など。 ぞっとするような設定の中にも差別や人権など、決して声高ではないが、社会への風刺のようなメッセージも感じられる。 中でも、「山の同窓会」が良かった。自分は何のために生まれてきたのか、なぜ周りと違うのか、悩みながら黙々と自分の為すべき事を果たして行った先に、主人公には自分にしか出来なかった使命が見えてくる。何だか励まされるような気がした。 ただ、異世界ものはその世界観を理解し入り込むまでがちょっと疲れる。だったら何なのだと思ってしまう。 その中でバランスよく、リアル世界が舞台の2篇、デザイナーとして成功する元彼への片思いを描いた「愛のスカート」と夫を失った女性が心を回復させていく「茄子とゴーヤ」は安心して読めた。
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本能や、そこに含まれる狂気や嫉妬や支配欲みたいなものが美しく描かれている。茄子とゴーヤは少しテイストが違う感じがして、これまたいい。
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私たちの生きている世界とは少し違う似た世界。 正しい世界の形が見えなくなりあやふやになったとき、今まで抱いてきた感情や今まで生きてきた世界と出会い直す。
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骨を彩る、を読んだ後の本書。 一つ目から奇妙なお話で、綾瀬さんの可能性の広がりを見た。 ドロっとした奇怪さにまるで触れてるかのような鮮やかな表現にずぶずぶと持っていかれる。 1人の屈託ない純真な愛情も他人から見たら全く綺麗に見えなかったりするんだなあ。両極端の魅せ方で心をぐちゃぐ...
骨を彩る、を読んだ後の本書。 一つ目から奇妙なお話で、綾瀬さんの可能性の広がりを見た。 ドロっとした奇怪さにまるで触れてるかのような鮮やかな表現にずぶずぶと持っていかれる。 1人の屈託ない純真な愛情も他人から見たら全く綺麗に見えなかったりするんだなあ。両極端の魅せ方で心をぐちゃぐちゃにされました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
私たちが生きる世界とは異なる世界も「当たり前」として描かれるとすんなり受け入れられてしまいます。 やけに「蛇」が出てきたのが印象的でした。 「くちなし」 腕を欲しがる、トカゲ、くちなし。愛することは相手の全ても自分のコントロール下に置くこと?意志をもつのは体? 「花虫」 運命の花は、体に巣食う虫。それを知ってしまったら何か変わる?あるとも分からない「本当」を探す?それとも、運命やしきたりを信じていた方が幸せ?「埋まりたい」 「愛のスカート」 相手の幸せを「正しく」願う、「こうあってほしい」の押し付けではなく。傍にいられるのは苦しいけど嬉しい。 「けだものたち」 愛ゆえに食べてしまいたくなる。知らない世界を知るのは怖い、知ってしまったら戻れない。いつかどこかでふっと目覚めるのかもしれない。 「薄布」 望まれている役割を演じることの方が実は楽なのかもしれない。自我を出した先に見えるものもあるけれど。 「茄子とゴーヤ」 「相手のため」が押し付けになることはやっぱりある。自分がしたいことをする。独りよがりにならないように。難しい。 「山の同窓会」 運命、とか、役割、とか、普通、とか。そういう言葉に当てはまることの楽さ。当てはまらないことの辛さ。どちらがいいとか悪いとかじゃなくて。理解する、歩み寄るなんていうのは中々おこがましいことかもしれない。ただ淡々と粛々と受け止められたらいい。
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文章が幻想的。不思議な感覚で読んでました。 彩瀬まるさんの小説は初めてですが、世界観に引き込まれ気づけばあっという間に読み終えてしまった。
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「妻がね」そう言って別れを決めてしまったアツタさん。「何かさせてくれ。貴金属でもお金でも。10年も世話になったんだから」そんなアツタさんに私は言う。「腕をちょうだい」 … …くちなし 蛇になる女は珍しくない。異形になった女たちは、愛するものを頭からバリバリと食べてしまう。 … ...
「妻がね」そう言って別れを決めてしまったアツタさん。「何かさせてくれ。貴金属でもお金でも。10年も世話になったんだから」そんなアツタさんに私は言う。「腕をちょうだい」 … …くちなし 蛇になる女は珍しくない。異形になった女たちは、愛するものを頭からバリバリと食べてしまう。 … …けだものたち ※と言うような奇譚集ということでもなく 人に褒められたり喜ばれることをつい頑張ってしまう私。好きな男が自分ではない人妻への想いにも、その喜ぶ顔がみたくて手助けしてしまう不器用な私。 … …愛のスカート 夫が不倫相手と共に事故死したのち、無気力に過ごしていたツグミと、妻に出ていかれた無口なオウミさんとのハートフルな再生物語。 … …茄子とゴーヤ ※嗜好がバラバラな短編集。 他3遍 奇譚話は好きなほうだけど、彩瀬さんのはハートフルな方が好きかな。 感想というより、ただの作品紹介になってしまった。 あまりグッとくるものはなかったかな…。 今年の12冊目 2022.2.17
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「くちなし」の話が心に残る。 比喩でもない「腕をちょうだい」だとは。 好きな人の腕ならば愛せるかもしれないが、一個人を細分化して、どこまでがその人と呼べるのか?という哲学的要素も含まれている感じだった。
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くちなし:女は愛人と別れるとき左腕を貰う。その腕と仲良く暮らすが、ある日男の妻が腕を返せと迫る。独特な世界観の短編集。
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