歩く江戸の旅人たち の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
<目次> 第1章 旅のルートと歩行距離 第2章 幕末~、明治初期の日本人の歩き方 第3章 街道の必須アイテム「棒」 第4章 旅の履物 第5章 旅の家計簿 第6章 旅人の健脚を支えたもの 第7章 近代化による旅の変化 <内容> 丹念に古記録を紐解き、きちんと分析した本。「知りたいな」と思うことを押さえてくれている。教科書などには書いていないが、ちょっと考えると疑問に感じる、江戸時代の歩く距離、歩き方、履物(売っているところをふくめて)、道具(「棒」の使い方には感心した)、費用など、データを集めて分析しているところがエライ!
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江戸時代の庶民にとって、藩の外に出ることは今の海外旅行のようなものではなかったかと想像する。本書は、そんな庶民が伊勢参宮を名目に東北や関東から遠路はるばる旅をした記録を集め、それを丹念に分析し、この時代の旅のあり方や費用について描いてみせる。 基本的に徒歩であり、長距離を長期に渡...
江戸時代の庶民にとって、藩の外に出ることは今の海外旅行のようなものではなかったかと想像する。本書は、そんな庶民が伊勢参宮を名目に東北や関東から遠路はるばる旅をした記録を集め、それを丹念に分析し、この時代の旅のあり方や費用について描いてみせる。 基本的に徒歩であり、長距離を長期に渡って歩き続けることになる。それも、舗装路ではなく、履物も草鞋で。更に言えば、女性もそんな徒歩旅行をしており、往時の人の健脚ぶりに驚かされる。歩き方も、近世日本では「なんば」という歩き方であったようだが、それが決定的に有利だったということでもないのだろう。いずれにせよ、人々が伊勢参拝をメインに長距離旅行をした目的や方法について様々な角度から分析されている。 最後には、東海道線全通後の明治20年代末の同じような旅行についても紹介され、移動手段が近代化しながらも、江戸時代のような各所参拝や名所見物という目的や心情が併存する過度期の旅行についても触れられているのが興味深かった。
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