たゆたえども沈まず の商品レビュー
抑えきれない衝動、世間とのギャップ、承認欲求、依存。人なら誰しも持っている感情だが、芸術家と呼ばれる人はその振れ幅がとてつもなく大きいのだと思う。 今や世界的に展示会も開かれるほど有名なゴッホと、それを支えた人々を描いたフィクションは、哀れで苦しくて、それでいてとても眩しかった...
抑えきれない衝動、世間とのギャップ、承認欲求、依存。人なら誰しも持っている感情だが、芸術家と呼ばれる人はその振れ幅がとてつもなく大きいのだと思う。 今や世界的に展示会も開かれるほど有名なゴッホと、それを支えた人々を描いたフィクションは、哀れで苦しくて、それでいてとても眩しかった。 何かを成し遂げることは、痛みと苦しみが伴うのだと。それでも信じて進んでいくには、強さが必要なのだと。 私は芸術家ではないけれど、理想と現実の狭間で苦悩することは数えきれないくらいある。 強くなれるだろうか。 嵐がきても波にもまれても、流れに身をまかせてたゆたって、けれど決して沈まないように。
Posted by
ゴッホと彼を支えた弟のテオ、画商の林忠正と加納重吉を軸に、彼らの生き方が語られ、西洋の画家に与えた浮世絵の影響も描かれる。 たゆたえども沈まず 言葉は人の生き方をどこまで支えられるのだろうか
Posted by
本屋大賞2018年4位。西洋画家シリーズ。今回は印象派と並んで日本で人気の高いゴッホ。マネ、モネ、ルノワールなどの印象派やセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなどのその次の世代が登場したパリの風景や絵画の紹介を読んでるだけで楽しいし、うんちくとしてのお得感あります。この時期の芸術に浮世絵...
本屋大賞2018年4位。西洋画家シリーズ。今回は印象派と並んで日本で人気の高いゴッホ。マネ、モネ、ルノワールなどの印象派やセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなどのその次の世代が登場したパリの風景や絵画の紹介を読んでるだけで楽しいし、うんちくとしてのお得感あります。この時期の芸術に浮世絵などの日本の文化が影響を与えたことも良くわかった。星月夜が小説のなかではゴッホの最高傑作扱いされてるけど個人的には違うやつが好き。ゴッホの代表作でググっても出てこないしどこで観たのかも忘れたけど。小説的にはこの人の「楽園のカンヴァス」がスーパーすぎてどしても比較してしまう。ゴッホの生涯が悲惨だったので、物語も悲惨で悲しい。史実のしばりがあるなかで、フィクション部分を膨らませているのだろうけど、隠された壮大なドラマがあったかも的なスケールの大きさが少しもの足りないかも。歴史小説は歴史家からみたら荒唐無稽でもそういったドラマをいかにオーバーラップして作り出せるかですよね。あと、この人のやつは過去と現在のドラマが平行に進んでそれぞれのドラマが良くできてるのが魅力の一つだったけど、今回は現在のドラマが無かったし、物語の起伏にも乏しく、単調、やや退屈でした。
Posted by
歴史的記録とフィクションを 行き来する体験が幻想的な妄想を 思い起こさせてくれる。 ゴッホの事を今後は フィンセントと呼ぼう。 フィンセントへの好きの気持ちを グッと近づけてくれた一冊。
Posted by