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ポスト・スポーツの時代 の商品レビュー

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2022/01/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

題名から、現代のスポーツで導入されているデータサイエンスと結びついた新しいスポーツの楽しみ方的なものかな~と思って読み進めていくと、前半は確かに2021年の大リーグの大谷選手の活躍で注目を浴びた「スタットキャスト」や「フライボール革命」といった話があり興味深かったのですが、そもそもスタットキャストで、データ分析されて、データに基づきヒトが動きを変えていく、肉体を変えていくようになると、選手はアバターにしかならず、本当の意味での人対人の面白さがなくなるのでは?という問題提起があり、ん、なんか思っていた本と違う、と感じました。 eスポーツのことも少し触れていましたが、そういう話ではなく、人種差別等を訴えるソーシャルなアスリートやオリンピックの表彰台での抗議行動などのスポーツの政治利用やオリンピックの矛盾など、文化や思想の話が訴えたかったようなので、個人的にはあまり興味は持てませんでした。 ただし、前半のスタットキャストのような分析は、面白いと思っていたのですが、競争が行き過ぎてしまって勝敗の行方を左右する予測不可能性や偶然性を取り除くためだけにデータが活用されていくと、スポーツ観戦そのものがつまらなくなる、という指摘はそうだなと思いました。また、サッカーの勝敗を分析した新聞記事を例に、アフリカ諸国の勝因を「個人の身体能力」で説明してしまうことは「神話」以外の何物でもないという指摘には納得し、ステレオタイプ化された考え方に毒されてはいけないな、と思って閉じました。

Posted byブクログ

2021/07/17

久々に骨太でゆさぶられるような現代批評というか社会論に出会って非常に面白く読んだ. あと1週間でTOKYO 2020がはじまるわけですが,スポーツの理想と純粋さを象徴すると同時に,近代スポーツの様々な歪みや矛盾を抱えているオリンピックをはじめとする現代スポーツを批評的かつ社会学...

久々に骨太でゆさぶられるような現代批評というか社会論に出会って非常に面白く読んだ. あと1週間でTOKYO 2020がはじまるわけですが,スポーツの理想と純粋さを象徴すると同時に,近代スポーツの様々な歪みや矛盾を抱えているオリンピックをはじめとする現代スポーツを批評的かつ社会学的に論じた好著. たとえば,男子競技と女子競技.近代的な意味の男と女は現代社会ではもはや通用しない一方で,それにしばられるスポーツのルール. 身体障碍者のaugmented bodyが健常者の身体性能を超えうるという問題. e-sports が問いかける,スポーツとノンスポーツの境界線. 学生時代に山本さんの授業があったらきっと受けていたと思う.自分が学生時代,今福龍太氏の授業を聴いてうけたインパクトをなぜだか思い出した.

Posted byブクログ