戦後「社会科学」の思想 の商品レビュー
学生のころこういうのが苦手だった。 今読んだら、昔よりかはよく分かる気はするものの、苦手感が抜けない。
Posted by
日本における戦後の思想系譜の大まかな分析。東大の教養学部の講義の資料ということで解説はものすごくわかりやすい。私は基本的に自分の実践の検証に様々な思想潮流を参照するので偏りがあるが、著者の場合はある程度客観的な見方をしているとみることができる。 丸山眞男の戦後民主主義から大衆社会...
日本における戦後の思想系譜の大まかな分析。東大の教養学部の講義の資料ということで解説はものすごくわかりやすい。私は基本的に自分の実践の検証に様々な思想潮流を参照するので偏りがあるが、著者の場合はある程度客観的な見方をしているとみることができる。 丸山眞男の戦後民主主義から大衆社会論、ニューレフト、新自由主義(新保守主義)と日本社会の思想動向の動きについて、教科書的にみえて深みがないように見えるが、かなり適切な評価ができていると思う。 この評価と同時に、これが東大の教養学部の講義に用いられているという点に意義を見出す。近年新自由主義の影響で大学の授業にすぐに役立つという観点から教養学部の不要論が跋扈する。 こうした授業を行える点に一つの希望を見出す。
Posted by
けっして分厚くもない本のなかに、驚くほどにたくさんの現代日本の論座ワードに触れてあるようだ。教養涵養のテキストとして読みたいが、自分の頭のなかに曲がりなりにもこの本の内容の見取り図を作ろうと思うと、漫然と読みながすだけでは多分むずかしく、この先生の講義を半期にわたって聞くぐらいの...
けっして分厚くもない本のなかに、驚くほどにたくさんの現代日本の論座ワードに触れてあるようだ。教養涵養のテキストとして読みたいが、自分の頭のなかに曲がりなりにもこの本の内容の見取り図を作ろうと思うと、漫然と読みながすだけでは多分むずかしく、この先生の講義を半期にわたって聞くぐらいの時間と労力の投資が必要な気がする。
Posted by
東大の講義ノートをもとに、戦後の社会科学を通観する。教科書的に幅広く網羅する関係上どうしても雑然とした印象が強くなってしまうが、それなりに時代を区切って思想を特徴付けることには成功している。 まずは丸山眞男からの出発となるが、丸山についてはかなり公平な評価と言えるだろう。丸山の...
東大の講義ノートをもとに、戦後の社会科学を通観する。教科書的に幅広く網羅する関係上どうしても雑然とした印象が強くなってしまうが、それなりに時代を区切って思想を特徴付けることには成功している。 まずは丸山眞男からの出発となるが、丸山についてはかなり公平な評価と言えるだろう。丸山の思想は現代にも通用する部分と、「旧制一高の秀才の限界」が同居しており、多角的な評価がなされている第一部だけでも値段ぶんの価値はある。 その一方で、70年代の低成長、石油危機による不況あたりからレーガン・サッチャーを経て市場至上主義が進展する、いわゆる「新自由主義」についての解説には歯切れが悪い部分もある。もちろん、個人的な研究発表ではない本書において、「なぜ支持されるのか」という解明の進んでいない部分を歯切れ良く書けないというのはそうである。 しかし、大学という場所が基本的には進歩的な思想の場所であるゆえに、保守思想についてあまり紙幅を割いていないようにも感じた。とはいえ党派的な主張はほとんどないことからも、戦後の思想を網羅的に把握する上でかなり良い一冊であろう。
Posted by
東大講義の書籍化。学生時代に断片的につまみ食いして何となくわかったような気になっている社会人にとっては、このように時代背景を踏まえた通史的な説明は諸々の整理を促す意味で有益である。今までありそうでなかった本だと思う。 尚、書名が「」付きの「社会科学」となっているものの、内容的には...
東大講義の書籍化。学生時代に断片的につまみ食いして何となくわかったような気になっている社会人にとっては、このように時代背景を踏まえた通史的な説明は諸々の整理を促す意味で有益である。今までありそうでなかった本だと思う。 尚、書名が「」付きの「社会科学」となっているものの、内容的には著者の専門とする政治思想が中心である事に留意。昨今のトレンドとして学際的に「社会科学」を学ぶニーズが高まっているが、そのような方向への取り組みに注力していけるのか否かがアカデミズムの今後の課題と言えるだろう。
Posted by
東大の「相関社会科学」の講義用ノートを基にした本。 良くも悪くも教科書的。概要ばかりで掘り下げが浅い。そして、致命的なことに面白みに欠ける。これでは、歴史的な研究者・思想家たちを貶めているようにしか思えない。
Posted by
本書は勤務先大学の講義ノートをベースに書籍化したものとされているが、大学に入って社会科学に最初に触れたころの記憶が蘇ってきた。マルクスであり、ウェーバーであり、疎外論や物象化論に頭を悩ませという時代であった。思想とその時代的意味が、分かりやすい叙述で整理されている。
Posted by
- 1