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文章読本 新装版 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/09/10

三島由紀夫の著作は読んだことがなかったのですが、本作は読みやすかったです。作家の文章の捉え方が例とともに述べられていて、成程と思う部分もありました。 本作が執筆された時期の三島由紀夫作品に興味が出てきたので、読んでみたいと思います。

Posted byブクログ

2023/12/31

私は文学は好きではない(素養がない)が、文章は好きである。三島の小説は基本的に苦手な印象だが評論・随筆は大体好き。小説はねちねちしてまだるっこしく感じる、しかしこれが評論・随筆になると急に親切で明晰になる。まあ後者の方はある程度読者に理解されないと仕方がないからそうならざるを得な...

私は文学は好きではない(素養がない)が、文章は好きである。三島の小説は基本的に苦手な印象だが評論・随筆は大体好き。小説はねちねちしてまだるっこしく感じる、しかしこれが評論・随筆になると急に親切で明晰になる。まあ後者の方はある程度読者に理解されないと仕方がないからそうならざるを得ない、三島の望んだところかどうかは分からないが、満更でもなかったと思う。彼の十八番という気がするがなあ。三島は教師みたいなものとしてもなかなか魅力のある人だったろう。 この本に出てくる作品の多くは読んでいないけれども、三島の説明には賛同するところが多い。プロだから考えていて当然ではあるがここまで流暢に言語化できたらさぞ気持ちが良いだろう。立て板に水、流れるような舞うような一流のリズムがありながら内容も必要十分。しかもちゃんと最後の「結語」の内容がクライマックスにふさわしい。「文体による現象の克服ということが文章の最後の理想である」…なるほど、そうかもしれない。私はここまでは考えついていなかったと思う。文体による、かは留保をつけたい気がするが、この最後の部分で自分の蒙を少し啓かれたように感じた。私は文章の最高の目標を格調と気品とは思わない(自分はそんなものが分かる身分じゃないので)が、自分のプライドを賭けるもの、とは考える。他に文章読本は読んでいないが、これはこれで傑作だ。谷崎のも読んでみようかと思う。

Posted byブクログ

2023/05/15

短編は道草や道の花を、長編は遠くの景色のようなもの、読書していて感じていたモヤが晴れる気分でした。  ストーリーもですが、物語より文章の美しさ、日本語の美しさの方が読んでいて気持ちいと感じるので、この本は自身の読書の教科書のようなものになりました。

Posted byブクログ

2024/02/26

あんまり感心しない  いままで文章読本のたぐひは谷崎・丸谷・井上・小谷野と読んできて、しかし三島はなんとなく敬遠してゐた。井上が『自家製 文章読本』で三島の文章読本を批判してゐたし、そもそも三島は『葉隠』を偏愛するなど、どこかひねくれた文学観を所有してゐた(これは小谷野の『日本恋...

あんまり感心しない  いままで文章読本のたぐひは谷崎・丸谷・井上・小谷野と読んできて、しかし三島はなんとなく敬遠してゐた。井上が『自家製 文章読本』で三島の文章読本を批判してゐたし、そもそも三島は『葉隠』を偏愛するなど、どこかひねくれた文学観を所有してゐた(これは小谷野の『日本恋愛思想史』でも指摘されてゐる)。それが念頭にあって喰はず嫌ひしてゐたのだ。  しかし三島由紀夫の『文章読本』を読んでゐる。きっかけは野口悠紀雄の『「超」文章法』を読んで感心し、末尾の《非常に有益なアドバイスが得られる》文章読本リストに挙げられてゐたのを見たからだ。  冒頭から三島は、実用文ではなく藝術文こそ至高だと主張してゐる。そして小説の文章として、森鷗外「寒山拾得」と泉鏡花「日本橋」の文章を対比する。たしかに私は鏡花の文章には、はっとした。  だが井上が指摘したとほり、三島は《私はなるたけ自分の好みや偏見を去って、あらゆる様式の文章の面白さを認め、あらゆる様式の文章の美しさに敏感でありたいと思います。》と書きながら、実用文や大衆小説・娯楽小説などには歯牙にもかけない。また、齋藤美奈子が『文章読本さん江』で指摘したとほり、三島が様々な藝術文の見本を陳列するのは《訪問先で家族のアルバムやコレクションを披露されるのと同じである》。三島が《短篇小説の模範的なものを東西から一作ずつとりました。》として、川端康成「夏の靴」とメリメ「トレードの真珠」を引用する。しかし《読み比べて、短篇小説がいかなるものであるかをよく味わって下さい。》とあるばかりで、結局この二作を読んでも《短篇小説がいかなるものであるか》はわからずじまひである。  そして最後にふたたび《文章の最高の目標を、格調と気品に置いています。》と書いた。文章の伝達についてはまるきり無視してゐる。  まづこの点で文章読本といふより藝術文読本だし、文章の中身よりも見てくれ・美しさにばかりこだはってゐる。これは三島の性格である。  また、冒頭の日本文化論も私には少し疑問に思へた。西洋と日本とを比較して、これは西洋にあるが日本にないだの、あるいは昔と今を比較して、昔はかうだったが今は堕落しただのとやってゐる。  たとへば、日本人と比較して外国人は《印刷効果の視覚的な効果》を考へたことがないと書いてゐる(「第二章 文章のさまざま」)。しかし、これも井上が指摘したとほりで、外国人も《印刷効果の視覚的な効果》を考へてゐるのは明らかである。  三島は《印刷効果の視覚的な効果》が日本と外国とで異る理由を、象形文字といふ一点においてのみ求めてゐる。では、たとへば象形文字ではない英語圏の人は「視覚的な効果」を考へてゐないのか。いや、ちがふ。たとへば英語でも、文章によってはしつこいぐらゐ同じ単語の繰返しをきらふ(行方昭夫『英語の発想がよくわかる表現50』「5 類語辞典はどう使う?」岩波ジュニア新書)。あるいは強調したい英単語はすべて大文字で書くこともある(たとへばyes→YES)。これらは「視覚的な効果」ではないのか?  だいいち三島の文章読本には《先ごろある外人のパーティに私は行って、一人の小説家にこう尋ねたことがあります。》といふやうな人づてで聞いた話が多く、実證的ではない。だから間違ひや怪しいものが多い。  だがこの文章読本でよかったのは、説明する時に用ゐる比喩である。わかりやすくて、すぐに理解できる。達意のレトリックだ。文章よりも、もっぱら三島レトリックの見本帳として読むほうが何倍も効果がありさうだ。

Posted byブクログ

2022/05/10

森鴎外、泉鏡花、谷崎潤一郎、川端康成、梶井基次郎、ゲーテ、バルザックなど様々な小説家の文章が登場し、三島の解説が入る。一読の価値あり。

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2021/07/12

1年ほど前に読んだので、悪しからず。 ❇︎ 「現代の日本語が生まれた過程」の記述に感動したのを覚えている。また、言葉の選択の豊かさ・力だけでなく柔らかさを兼ね備えているその文章は、さすが三島由紀夫という感じ。 ❇︎ しかし、具体例として引かれている作品が少し読みづらい。引...

1年ほど前に読んだので、悪しからず。 ❇︎ 「現代の日本語が生まれた過程」の記述に感動したのを覚えている。また、言葉の選択の豊かさ・力だけでなく柔らかさを兼ね備えているその文章は、さすが三島由紀夫という感じ。 ❇︎ しかし、具体例として引かれている作品が少し読みづらい。引くべくして引いたのであろうが、ちょいとつっかえる感も否めない。特に、古典に関しては、読者が読める前提なのかもしれないが、なかなかに乱暴だと感じざるをえなかった。そこら辺を丁寧に書いたら、傑作となったのではなかろうか。本人は絶対にしなさそうであるが。

Posted byブクログ

2020/03/23

あらゆる様式の文章・技巧の面白さ美しさを、該博な知識と豊富な実例と実作の経験から詳細に解明した万人必読の書。人名・作品名索引付。〈解説〉野口武彦

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