月の光 現代中国SFアンソロジー の商品レビュー
三体の興奮のままに読み始めたが、思ったより玉石混交な感じだった。金色昔日(宝樹)が傑作。月の光(劉慈欣)もさすがの完成度。
Posted by
潜水艇が特に印象深い。ラピュタで海賊団が乗っている飛行艇の巨大版を想像する。 一番ぎょっとしたのは未来病理。
Posted by
2021年10月29日読了。ケン・リュウ編の中国現代SFアンソロジーの第2弾。第1弾の『折りたたみ北京』には全編匂ってくるような「中国の、今の社会の問題意識」が感じられたが、こちらはよりバラエティ豊かで、「面白い新鮮なSFを読んだ!」という満足感があってよかった。とは言え中国の歴...
2021年10月29日読了。ケン・リュウ編の中国現代SFアンソロジーの第2弾。第1弾の『折りたたみ北京』には全編匂ってくるような「中国の、今の社会の問題意識」が感じられたが、こちらはよりバラエティ豊かで、「面白い新鮮なSFを読んだ!」という満足感があってよかった。とは言え中国の歴史やインターネットスラングやら現代中国社会の理解がある方がもっと楽しめるものなのだろう…こればっかりは仕方ない、ケン・リュウ氏には「訳して紹介してくれてありがとう」という他ない。「古代中国に時間旅行者が紛れ込み騒動を起こしたら?」「秦の始皇帝がゲームマニアだったら?」みたいな想像力には「中国人も日本人も考えることは同じだなー」とニヤリとさせられる。なお劉慈欣による表題作はディック的というか藤子F不二雄的なSFで非常に楽しい。
Posted by
まさか、高校の頃ちゃんと漢文やっとけばよかったなんて後悔を、中国のSFを読むようになってから覚えるとは、当時は想像もできなかった。 というか、向こうも翻訳でシェイクスピアを読む人間に言われたかないだろうが、この辺り英語でどうやって訳してんだろ。 感想としては、折りたたみ北京に匹...
まさか、高校の頃ちゃんと漢文やっとけばよかったなんて後悔を、中国のSFを読むようになってから覚えるとは、当時は想像もできなかった。 というか、向こうも翻訳でシェイクスピアを読む人間に言われたかないだろうが、この辺り英語でどうやって訳してんだろ。 感想としては、折りたたみ北京に匹敵するような短編はひとつもなかった。SFとしてワクワクしない。 「おまえ、小さくまとまるなよ」と言う感じだ。 あと、「SFアンソロジー」の後書きではなく本文中に、特に付記せずSF評論を入れるなと言いたい。 端的に言って、常連が内輪ノリでまわしている居酒屋に入りたいのか?というハナシだ。 ところでこれ、英語版の表題はBroken starsとのことで、収録されてる糖匪の短編から採られたものだと思うのだが、これSFなんだろうか。 「消えた少年たち」を読んだ時以来の困惑だ。 ただ、焚盤坑ゲって単語は現在でも正しいってことを含めて面白かった。 あと、これはマジな話なんだが、クソゲーオブザイヤーの総評を中国語に翻訳したら相当売れるのではなかろうか。
Posted by
ケン・リュウ編による中国SFアンソロジーの第2巻。14人もの作家の短篇が収録されていて、作品に広がりがあって読み応え十分。面白いと思ったのは糖匪「壊れた星」、劉慈欣「月の光」、顧適「鏡」。馬伯庸「始皇帝の休日」は始皇帝が休日をゲーム三昧で過ごすという内容が馬鹿馬鹿しくて最高に面白...
ケン・リュウ編による中国SFアンソロジーの第2巻。14人もの作家の短篇が収録されていて、作品に広がりがあって読み応え十分。面白いと思ったのは糖匪「壊れた星」、劉慈欣「月の光」、顧適「鏡」。馬伯庸「始皇帝の休日」は始皇帝が休日をゲーム三昧で過ごすという内容が馬鹿馬鹿しくて最高に面白い。宝樹「金色昔日」は歴史が逆行して進んでいくという発想が面白いが、歴史に翻弄される人達の心情の描き方が素晴らしく、このアンソロジーで特にお気に入りの作品だった。
Posted by
「折りたたみ北京」の方がわかりやすい話が多く、中国SF入門には向いてるかも。本書で気に入ったのは「お休みなさい、メランコリー」「潜水艇」「月の光」「始皇帝の休日」「鏡」。夏茄の情緒的な作風好きだなあ。「月の光」は雰囲気は違うけど星新一が書いてても違和感がない印象。ところで、どんど...
「折りたたみ北京」の方がわかりやすい話が多く、中国SF入門には向いてるかも。本書で気に入ったのは「お休みなさい、メランコリー」「潜水艇」「月の光」「始皇帝の休日」「鏡」。夏茄の情緒的な作風好きだなあ。「月の光」は雰囲気は違うけど星新一が書いてても違和感がない印象。ところで、どんどん「三体」シリーズが読みたくなってきて困ります。
Posted by
SFマガジン12月号掲載の宝樹「我らの科幻世界」に感動したので、こちらも読んでみる。 目当ての「金色昔日」を読んでいて、自分の中国現代史の無知ぶりに気付き、慌てて調べてから読書を再開した。 子供時代は遠い昔のようだし、その頃おこった大事件も、化石みたいに歴史として既に固定されてい...
SFマガジン12月号掲載の宝樹「我らの科幻世界」に感動したので、こちらも読んでみる。 目当ての「金色昔日」を読んでいて、自分の中国現代史の無知ぶりに気付き、慌てて調べてから読書を再開した。 子供時代は遠い昔のようだし、その頃おこった大事件も、化石みたいに歴史として既に固定されているような気になる。だけど本当は、事実の重みは時の流れに左右されるものではないのかも、と考えさせられる。 「さかさまの空」「壊れた星」も好き。
Posted by
宝樹「金色昔日」がとてもいい! 時代が遡る様子も読む手を止めるほどの違和感無く、主人公の半世紀をかけたラブストーリーを見事に短編に納めた。 更に「文明と進歩」をサルトルと哲学するSFのおまけ付き…。 アンソロジーであることから、作品ごとに好き嫌いの第一印象が分かれることは、しょ...
宝樹「金色昔日」がとてもいい! 時代が遡る様子も読む手を止めるほどの違和感無く、主人公の半世紀をかけたラブストーリーを見事に短編に納めた。 更に「文明と進歩」をサルトルと哲学するSFのおまけ付き…。 アンソロジーであることから、作品ごとに好き嫌いの第一印象が分かれることは、しょうがない。特に良かった話があると他を比べてしまうから…。 最初の印象があまりよくない物も再読してみると変わることもあるので、また試してみると良いかも。 「未来では無く、いま、この時に希望を持つこと」…人生はおそらく「いま」の連続だから…。
Posted by
全部の短編が面白くてビックリしてしまった。特にすきだったものが選べないくらいだが選ぶとしたら、『金色昔日』と『未来病史』。前者は解説やエッセイを読むと中国的だな(中国のエンターテインメント文学のジャンル分けや流行りを考えて)と納得できる作りで、お話自体にも感動した。後者はディスト...
全部の短編が面白くてビックリしてしまった。特にすきだったものが選べないくらいだが選ぶとしたら、『金色昔日』と『未来病史』。前者は解説やエッセイを読むと中国的だな(中国のエンターテインメント文学のジャンル分けや流行りを考えて)と納得できる作りで、お話自体にも感動した。後者はディストピアな感じでエグり方が鋭くてすごかった。
Posted by
劉慈欣の傑作『三体』によって日本でも一躍注目を集めている中国SF。この計り知れない世界について、自らもSF作家として活躍し、さらに翻訳家として英語圏への紹介を行っているケン・リュウが編纂したアンソロジー。 これ1冊を読めば中国SFが全てわかる・・・とまでは言い切れないかもしれな...
劉慈欣の傑作『三体』によって日本でも一躍注目を集めている中国SF。この計り知れない世界について、自らもSF作家として活躍し、さらに翻訳家として英語圏への紹介を行っているケン・リュウが編纂したアンソロジー。 これ1冊を読めば中国SFが全てわかる・・・とまでは言い切れないかもしれないが、どの作品も高い魅力に溢れているものばかり。アンソロジーという性質を踏まえて、巻末には数編の中国SFの歴史や作家紹介などが綴られた論考も収められているのが嬉しい。 数ある作品の中で最も面白かったのは宝樹の「金色昔日」。2008年、北京オリンピックが生まれついて初めての記憶となる4歳の少年を主人公として彼の成長が綴られていく。読み始めた当初は、2008年を出発点として、物語は近未来に進展するのだろうと思っていた。しかし、北京オリンピックに続いて描かれるのは、SARSの流行、アメリカのイラク及びアフガニスタン侵攻であり、”何かがおかしい”という疑念が頭に浮かぶ。そして、鄧小平が登場する段になり、ようやく気付く。”この作品は実際の歴史を過去にさかのぼっている”ということに。 過去にさかのぼっているというのは正しくない。時代は確かに2008年から前に進んでいるが、そこでは歴史が逆転しているのである。文化大革命、国共内戦~日本との戦争と物語が続いていくことで、時間の流れと歴史の進歩とは決してリンクしないことがあるという当たり前だが気付きにくい事実を、否応にでも痛感させられる。アイディア自体はシンプルでも、それが作品として結実することで、我々の世界認識を変え得るという芸術の威力に満ち溢れている。
Posted by
- 1
- 2