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北斎になりすました女 の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

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2023/01/14

3.8。殆ど知ってる事ばかりだったが文章が上手く、面白く読み進めた。 ちなみに文中では「北斎と応為」の著者が出てきたり「眩」が話題として出てきたが、私の思う応為さんのイメージは山本昌代の「応為坦坦録」がしっくりくる。

Posted byブクログ

2022/09/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「なりすました」って、随分強い言葉だと思うのですが、この本を読み終わった時には納得でした。 天才葛飾北斎の娘として、ずっと父の背中を見て絵と向き合ってきた応為こと栄。 炊事洗濯掃除が嫌いで、一度結婚したもののすぐに離縁され、その後ずっと父の仕事を手伝って暮らす。 一般的なイメージとして北斎は天才と思うのですが、実は北斎、めっちゃ勉強家。 若かりし頃、勝川春章に弟子入りしているにもかかわらず、こっそりとほかの流派にも弟子入りして絵を学び、結局師匠にばれて破門され、一匹狼の絵師としてやっていくことになる。 でもって、生涯絵の勉強を続けていたというのだから頭が下がる。 もちろん西洋画だって独学で勉強した。 でも、ダイナミックな構図と迷いのない描線は、やっぱり天性のものなのだろう。 父が反故にした紙を見ながら応為もまた独学で絵をものにした。 そしていつしか父親の片腕として、作画を手伝うことになる。 北斎自身が、女性画は応為にかなわないと認めるほどの腕前。 ではなぜ、彼女は父親の黒子に甘んじていたのか。 それは、北斎の名前で絵を描いたほうが高く売れるからだと、著者は語る。 また、時代的にも女性絵師が社会的に評価されていたとはいえなかったから余計だろう。 北斎として絵を描くことを自ら選び、父にも認められた応為。 彼女の書いた絵が何枚も紹介されているが、ぱっと見日本画とは思えないのです。 光と影のコントラストで、奥行きがあり、空間の力が強い。 朝井まかての『眩(くらら)』の表紙に葛飾応為の絵が使われていますので、見てみてください。 西洋人が描いた日本の風俗のように見えます。 指先の細やかさ、着物の柄の歪み、ほつれ毛等、女性なら出の細やかさでは北斎を圧倒する応為。 だからこそ、北斎の名で書かれた作品の中にある応為の作品が、後世次々に明らかになったのだ。 けれど、浮世絵としてのオリジナルを書く才能はやはり足りなかったとみえる。 北斎漫画を手本にして、父の作品をより良いものにしあげる腕は充分にあったのに。 大き過ぎる父親を持つ苦労はあったろうが、画家として満足のいく生涯だったのではないだろうか。 絵を描くことだけが幸せだった父子。 そういう生き方に圧倒された。

Posted byブクログ

2022/03/19

あぁ、これはおもしろかったなあ。。 北斎はファミリービジネスであった、という結論。晩年の北斎の絵が繊細さを増していったのは、応為の筆によるものであろうと。 なんだこの天才ふたり。 こんなひとたちが本当にいたなんて。 吉原の絵を見に、太田記念美術館に行きたい! 応為のドラマ...

あぁ、これはおもしろかったなあ。。 北斎はファミリービジネスであった、という結論。晩年の北斎の絵が繊細さを増していったのは、応為の筆によるものであろうと。 なんだこの天才ふたり。 こんなひとたちが本当にいたなんて。 吉原の絵を見に、太田記念美術館に行きたい! 応為のドラマby宮崎あおいも同時に見る。

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2021/02/06

本書の主人公は、葛飾北斎の娘、葛飾応為であり、優れた助手であり、 または、女性画を描いたら父の北斎を凌ぐと言われている。 なぜ、黒子として父の助手で生涯を終えたのかが、本書で分かるかもしれない。 本書を読む楽しみにしましょう。 一部抜粋すると、 美術研究者の久保田一洋氏が発見...

本書の主人公は、葛飾北斎の娘、葛飾応為であり、優れた助手であり、 または、女性画を描いたら父の北斎を凌ぐと言われている。 なぜ、黒子として父の助手で生涯を終えたのかが、本書で分かるかもしれない。 本書を読む楽しみにしましょう。 一部抜粋すると、 美術研究者の久保田一洋氏が発見したのは、北斎画の中で一部応為が手を加えたか 判別方法がある。 それは、『指先の描き方』と『ほつれ髪』だ。 確かに男の北斎が描くには細かい箇所で苦手な部分だったらしいが、 そこを娘の応為が描くと繊細な女性画に変身した。 葛飾北斎は生涯に引っ越しを90回以上したという記録もあるらしい。 それだから、常に貧乏だったんだろうか? いや、そうではない。 人気を博した浮世絵が売れまくっていた時代には、一説では三百石取りの武士と 同じ手取りがあったらしい。 現在の金額に直すと、『3千万円から4千5百万円』に値するらしい。 そのお金を惜しみなく、絵の研究とか、絵の具(顔料)にお金をかけて 自分の納得する絵を追求していった結果、常にお金が無い状態が続いていた。 最後に、自分の夢を娘の犠牲(助手)の元に果たせた北斎は幸せだったかの しれないが、娘の応為は果たして幸せだったのだろうかと、本書を読むと 疑問の一部が解ける気がする。 関連書籍として気になったのは、 浅井まかての小説『眩(くらら)』を読みたくなってきた。

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2021/01/20

葛飾北斎の娘についての評伝。著者はテレビの構成作家。読みやすい文章。学術的な根拠は巻末の参考文献にある。引用した作品の掲載が少ないのが残念。

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2020/12/24

(2020/8/21)読了 北斎の娘・応為の伝記。 応為はマンガ(杉浦日向子さんの「百日紅」)を通して知っているだけだったけど、その実像がわかる本である。と同時に、杉浦さんの描写の正確さに改めて感心する。 また、晩年の北斎が多作だった謎とかもすんなりと納得できる。稀代の大天...

(2020/8/21)読了 北斎の娘・応為の伝記。 応為はマンガ(杉浦日向子さんの「百日紅」)を通して知っているだけだったけど、その実像がわかる本である。と同時に、杉浦さんの描写の正確さに改めて感心する。 また、晩年の北斎が多作だった謎とかもすんなりと納得できる。稀代の大天才だもの、80歳とかなっても旺盛な創作意欲を持っていたんだべな・・・とか素朴に思っていたんだけど、そうばかりでもないらしい。 著者は構成作家だそうで、タイトルの「なりすました」というのは結構、煽りかな。(構成作家だから悪いという話ではなく、そこは演出も入っているんだろうなと)

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2020/12/02

TV番組で葛飾応為の特集をしているのを見た とても面白くて興味深かった その時に紹介されていた「夜桜美人図」 その美しさにはっとした レンブラントの「夜警」のような 谷崎潤一郎の「陰影礼賛」のような 光と影の美しさ その美しさが忘れられずそのあと見に行ってしまった 謎多き、応...

TV番組で葛飾応為の特集をしているのを見た とても面白くて興味深かった その時に紹介されていた「夜桜美人図」 その美しさにはっとした レンブラントの「夜警」のような 谷崎潤一郎の「陰影礼賛」のような 光と影の美しさ その美しさが忘れられずそのあと見に行ってしまった 謎多き、応為の人生 それを掘り進めていった本 北斎の光としての仕事 応為の陰としての仕事 なぜ彼女は北斎の陰にいたのか? 本書はそんな謎にも触れている 謎多き北斎と応為 北斎の作品のいくつかは応為が描いたのではないかと 推測されるという たしかにそう言われてみれば繊細な部分だったり 色彩や構図など北斎ぽくない画もある… (ってそういわれてみたらそう見えちゃう素人の恐ろしさ…) そして、意外なところで名前が登場した 川原慶賀 この方のドキュメンタリーをたまたま見ていたので その意外なつながりに驚きと感動がひとしお! この本を読んであらためて北斎と応為の絵を見てみたくなった

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2020/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 葛飾応為、近年の小説やドラマ等メディアに登場することが多い(ここダジャレです)。生没年は不詳で、現存する絵も十数点しかない。この葛飾北斎の娘お栄の謎を追った作品。父北斎の創作に深く関り、文中の言葉を借りると「最高のアシスタント」だったと。北斎の代作もしていたらしい。  ミステリーぽっくて、読んでいて面白い。ただ、もう少し文中に登場する「絵」を掲載してもらいたい。そうすると、「絵」に対する説明がわかりやすくなる。この辺は、いろいろ大人の事情がありそうですが。

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2020/10/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 こんなに魅力的な絵を描く応為が、あえて自分の名で絵を描かなかったのか、それとも描けなかったのか。  本書では、北斎の名のほうが売れるからとされている。  また、江戸時代の女流絵師が「わかっていないだけで、実際には相当な数」活躍していたはず、と。封建的な男社会で、女性に期待されていたのは子供を産み育てること。とはいえ、町民の生活はカツカツだから、実際には女性たちも内職や亭主の仕事を手伝って家計を支えていたとある。忙しいにもほどがある。  応為の絵は本当に闇が美しくて、表紙絵の「夜桜美人図」と「吉原格子先之図」が特に好き。

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2020/08/03

北斎の娘である応為の絵を追うドキュメンタリー。 応為は北斎のゴーストライター、あるいは共同制作者、あるいはアシスタントとして、北斎の名前で絵を描き続けた。 どういう経緯でそんなことになっちゃってるのか、応為はどういう思いで描き続けたのだろうか。一つ一つ具体の絵をみながら彼女の(ほ...

北斎の娘である応為の絵を追うドキュメンタリー。 応為は北斎のゴーストライター、あるいは共同制作者、あるいはアシスタントとして、北斎の名前で絵を描き続けた。 どういう経緯でそんなことになっちゃってるのか、応為はどういう思いで描き続けたのだろうか。一つ一つ具体の絵をみながら彼女の(ほとんど残っていない)足跡を辿っていく。少しづつ応為の様相が見えてくるのは本格派の推理小説のようだ。 大変読みやすかった。

Posted byブクログ