1,800円以上の注文で送料無料

誤作動する脳 の商品レビュー

4.4

36件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/06/13

著者はレビー小体型認知症を患っており、そのために起きる脳の誤作動を非常に分かり易く説明している。 一度病気になってしまったら、常に幻覚や幻聴に悩まされるのかと思ったらそんなことはなく、一人で講演に出かけるなど普通の生活をすることができる。 ただし、そのために著者は様々な努力をして...

著者はレビー小体型認知症を患っており、そのために起きる脳の誤作動を非常に分かり易く説明している。 一度病気になってしまったら、常に幻覚や幻聴に悩まされるのかと思ったらそんなことはなく、一人で講演に出かけるなど普通の生活をすることができる。 ただし、そのために著者は様々な努力をしている。 時間の感覚をつかみにくくなったため、講演ではストップウォッチを使ったり、方向感覚もつかみにくいため、地図アプリを使って移動している。 著者は非常に聡明だと思う。 何故なら、自身の脳で起きていることを冷静に分析し、非常に分かり易く我々に説明しているからだ。 本書は医学的にかなり価値のあるものだと思う。 正常な状態ではない脳は、どのように誤作動を起こすのか、その一端を知ることができ非常にためになる内容だった。 また、著者が悲観的でないこともこの本の価値を高めていると思う。 こちらもフラットな気持ちで読むことができた。

Posted byブクログ

2023/05/19

社会派読書家のかなさんに教えていただいた一冊。 レビー小体型認知症の著者が実体験に基づき書かれた本とゆうことで興味を持ちました。 不眠症からうつになり50歳でレビー小体型認知症と診断されたそうで、彼女は記憶を手繰り寄せるロープがなく、幻視、幻聴に悩まされる。初期は臭いを感じなくな...

社会派読書家のかなさんに教えていただいた一冊。 レビー小体型認知症の著者が実体験に基づき書かれた本とゆうことで興味を持ちました。 不眠症からうつになり50歳でレビー小体型認知症と診断されたそうで、彼女は記憶を手繰り寄せるロープがなく、幻視、幻聴に悩まされる。初期は臭いを感じなくなったそうです。 突然、存在しないものが見えるようになったこと。 座敷童がみえるようになったと表現されていました 人に言っても信じて貰えないと思い一人悩んでたこと。 それは、ゴジラの着ぐるみを着て生活してたと。 聡明な彼女は超常現象の原因は脳の誤作動による障害だと早々に気づいて常人との温度差を埋める工夫と開き直りで着ぐるみを脱ぐことができたようです。 彼女のように言語化できて症状が伝われば常人も理解しやすく、もっとやさしく接することができると思いました。 1人暮らしだった母もある日突然に同じタイプの認知症になったのです。高齢もありましたが気丈でしっかり者の母がかかるとは思っていなかったのです。 5年前のある日、母を訪ねると旦那と子供と暮らしているとか言い出したのです。夕方には旦那と子供が帰ってくるのでそろそろ帰ってほしいと言うのです。私も訳わからず彼氏でもできたのかと思ったのですが違う様子。子供は自分の子で幼稚園児だとゆうのです。父は25年前に亡くなってるし、訳がわかりません。じゃあ今、話してる私は誰かと尋ねると世話好きなご近所さんと思っている様子。母の誤認を解こうと父は他界してること、私が、あなたの子供であることを必死の思いで伝えたのですが、きょとんとして理解できないのです。 今思えば、母の脳内は父親が生きていた昭和にタイムスリップしてたのです。私が無理やり現在に戻したから混乱したのです。 父親と子供の幻視は、一人でいるときに現れて話しかけても返事はないそうですが、母はそこらへんは都合よく解釈してコミュニケーションしてたようなんです。 当時は理解できなくて言い争うこともあり悩み苦しみました。介護が大変になり今は施設に入ってますが、私も認知症のことについて調べ理解できるように努めているのですが、ご本人が書かれた本があるとは驚きでした。症状には個人差もあるようですが大変参考になりました。

Posted byブクログ

2023/05/27

前に読んだ「認知症世界の歩き方」という作品に、認知症の当事者が手掛けた作品として紹介されていたのが、この作品です。樋口直美さんは、30歳台の頃から身体の不調を抱え、40歳台でうつと言われ、50歳台でレビー小体型認知症との診断を受けられています。レビー小体型認知症とは、認知症の1つ...

前に読んだ「認知症世界の歩き方」という作品に、認知症の当事者が手掛けた作品として紹介されていたのが、この作品です。樋口直美さんは、30歳台の頃から身体の不調を抱え、40歳台でうつと言われ、50歳台でレビー小体型認知症との診断を受けられています。レビー小体型認知症とは、認知症の1つに分類され主にパーキンソン、幻覚や幻視などの症状が見られます。 ご自身がどのような経過をたどって、どんな場面で困ったのか…赤裸々に描かれています。そのうえで下記のように分析しています。 ・認知症の人が感情をコントロールできないと言われているが、実は追い詰められていて余裕がないことがそうさせている。 ・認知症診断は「早期発見・早期絶望」で片づけることなく、診断は変わっていく可能性がある、それでいいのではないか…。  ある講演会で、「樋口さんはどんな介護を受けたいですか?」との参加者からの質問に、「考えたくありません」と答えた樋口直美さん…誰だって、自分が介護されるようになるとは思いたくはないですよね!    そして、体調が悪いながら仕事に奮闘していた際にかけられた言葉…「仕事に向いてないよ、家で主婦でもやっていた方がいい」には、なんだか憤りを感じました。「誰もがヘンなままで苦しむことなく、そのまま生きられたらいいな」と樋口直美さんの言葉…共感できました。だって、私だってどこかヘンな人だもん!みんなが少しずつ優しい気持ちを持てることが、生きやすい社会につながるんじゃないかと思いました。

Posted byブクログ

2023/05/04

レビー小体型認知症である筆者による日常を記す。完全に症状を理解することはできないが、当事者の視点から見える世界を体感できる。それぐらい当事者ながら症状が客観視され、整理されている。認知症とはやっぱり脳の認知の揺らぎなのだと改めて感じる。

Posted byブクログ

2023/01/14

最初から最後までたいへん興味深く読ませていただいた。 当事者の視点と思いがストレートに書かれ、切実ではあるが、肩肘張らなくてもよいと思えるまでになった著者の生き様が潔く感じた。 「認知症の人は、…財布が小銭でいっぱいになります(こうした認知症のサインを見逃さないようにしましょう...

最初から最後までたいへん興味深く読ませていただいた。 当事者の視点と思いがストレートに書かれ、切実ではあるが、肩肘張らなくてもよいと思えるまでになった著者の生き様が潔く感じた。 「認知症の人は、…財布が小銭でいっぱいになります(こうした認知症のサインを見逃さないようにしましょう)」という一般的な認知症に対する認識に対して、 「小銭がいっぱいで何が悪い」と思います。…自分の意思で…買い物できるなんて素晴らしいことではないですか。 との著者の言葉にハッとさせられた。

Posted byブクログ

2023/01/09

「認知症世界の歩き方」を読んだ後に、興味が湧いてこの本を読んだ。「歩き方」はインタビューと集約・整理・旅行ガイド風の入口を設けて分かり易くした本。こちらはレビー小体型認知症の当人が1人で執筆したもの。受けた医療や周囲からの反応、想起された感情やストレス、それに伴い悪化する症状。症...

「認知症世界の歩き方」を読んだ後に、興味が湧いてこの本を読んだ。「歩き方」はインタビューと集約・整理・旅行ガイド風の入口を設けて分かり易くした本。こちらはレビー小体型認知症の当人が1人で執筆したもの。受けた医療や周囲からの反応、想起された感情やストレス、それに伴い悪化する症状。症状自体が不安定で、一方向に悪化し続けるものでは無いこと。「診断」とは?、医師や医療の限界を知る事の必要性など、当事者としての多岐に渡る経験や認識が書かれていて興味無い。

Posted byブクログ

2022/11/30

レビー小体型認知症の当事者が日常を語る本。医学書院ウェブマガジン「かんかん!」での2年半にわたる連載に加筆したものです。  なんと美しい装丁。そして著者の文章のなんと美しく文学的で、知的さの滲むことか。  まず感嘆したのはそこでした。カバー折り返しの[本文より]の引用箇所だけで...

レビー小体型認知症の当事者が日常を語る本。医学書院ウェブマガジン「かんかん!」での2年半にわたる連載に加筆したものです。  なんと美しい装丁。そして著者の文章のなんと美しく文学的で、知的さの滲むことか。  まず感嘆したのはそこでした。カバー折り返しの[本文より]の引用箇所だけで、私はぐっと引き込まれていました。  レビー小体型認知症というのは、「認知症」というと良く想起される「アルツハイマー型認知症」とは少し違っていて、レビー小体型ならではの困難さと言いますか、病態があるようです。本書では「幻覚」や「幻聴」「幻臭」について著者の目から見た症状が具体的に示されています。  文章が小説のように、鮮やかで主観的な症状を語るので、私も樋口さんの目を通して同じ事象を見ているような気分にさえなりました。自分の病気について熱心にリサーチしたり(MT野ニューロンのこととか)、困ったことが起こるとそれに判断を下して少しずつ着実に前へ進んでいこうと努力されている描写からも、樋口さんはとても知的な方なんだなあ、という印象を抱くのですが、それにも増して魅力的な人物像を持った方で、本当に感性が鋭いんだろうなと感じました。  本書の中で特に印象的だったのは、「人災」という言葉で、何の病気にも共通して言えることなのだろうと思うのですが、イメージや世間一般に知られている患者像が邪魔をしてしまい、治癒を遅らせてしまっているということに(そうかなと薄々思ってはいたけれど、やっぱりそうなのか……)と衝撃を覚えました。  うつ病と診断された日々のエピソードにて、心配した知人からの電話が樋口さんを追い詰め、電話に出られなくなった、とありました。  「良かれとおもって」が人を追い詰める話には枚挙に暇がありません。叱咤激励のつもり、アドバイスのつもり、寄り添ったつもり……。そういうことが、ただでさえ苦しい日常を送っている人を追い詰めるという現実。  かといって、全ての対人関係を避けて生きるということが正しいとも思えないから、どうしたらいいのか分からなくなります。  ――自分だけではなく、同じ病気と闘う人たちに降りかかる誤解を解きたい  樋口さんの文章からは、そんな気持ちを感じます。世間で知られていることだけが真実ではないし、同じ事柄が万人に共通、唯一の解決策ではない。  当事者ではない私には、何が出来るだろうか、と様々なことに想いを巡らせた一冊でした。  迷いながら、苦しみながら、それでも前に進む姿が美しいのだ、と哲学書か何かで読んだ気がするのですが、まさに樋口さんのような方のことを言うのかも、と思い当たりました。  本書の出版にあたって、当事者である著者が自身の体験を差し出すだけに留まらず、思わぬところでトラウマケアをする機会に出会ったり、ご自身も愛読されていた「ケアをひらく」シリーズに加われたという喜びを得られたことが本当に良かったなと思いました。  本書の出版後、『「できる」と「できない」の間の人』という本が出版されているようですので、そちらも読んでみたいです。

Posted byブクログ

2022/11/18

2022.10.16市立図書館 同じ著者の「私の脳で起こったこと ――「レビー小体型認知症」の記録」(ちくま文庫)をひじょうに興味深く読み終えたので、ケアをひらくシリーズの方も借りてみた。 誤診・投薬によるつらい時期を経て「私自身が、患者と観察者と治療者を兼ねなければいけない。...

2022.10.16市立図書館 同じ著者の「私の脳で起こったこと ――「レビー小体型認知症」の記録」(ちくま文庫)をひじょうに興味深く読み終えたので、ケアをひらくシリーズの方も借りてみた。 誤診・投薬によるつらい時期を経て「私自身が、患者と観察者と治療者を兼ねなければいけない。なんて厄介なんだと思う。でも他に選択はないのだから、やり遂げるしかない」と思い定めて以後のお話で、専門家や病名(名づけ)による雑な決めつけに抗い、その症状の個人差や因果の実感をていねいに観察し、当事者としての経験や心情を読みやすい筆致で文章に書き記し、世の中に出してゆく姿に大いに学び励まされる。著者は自分が困って押しつぶされてしまわないように、心身と脳をいたわることを第一に、ストレスを避け余裕を持って前向きに暮らせるようにしている。しかしそれもまた、偏見や憐憫ではなく好奇心をもって彼女の体験を聞けるような人との出会いで自信をもつことができたおかげであり、自分が自分自身とどうつきあっていくかだけでなく、自分が周囲の人とどうつきあっていくか(自分の状況を理解して味方になってくれるような信頼関係をもてる人とつながっていること)も大事だと改めて思った。 「誤作動する脳」は他人事ではなく、みんな多かれ少なかれ脳に固有の癖はあるし、遅かれ早かれそれが生活に大小のダメージを及ぼすようになるものなのだとあらかじめ知っていることは大事だと思う。脳はパソコンやスマホのように機種変だの買い替えというわけにもいかないのだから、自分なりの取説を整備して、自分なりに無理なく快適に使える状態を維持していく他ない。 著者がもともとこの「ケアをひらく」の本のファンだったというだけあって、さまざまな障害や病気の当事者研究の知見もわかりやすく触れられていて、自身も含めそうした多様な人が生きやすい社会にするにはどうしたらいいか一当事者の立場から言及しているのもよい。症状もサバイバル・スキルも人それぞれ、これはニューロダイバーシティー(脳の多様性)であり、個人の尊厳の話でもある。

Posted byブクログ

2022/03/10

『誤作動する脳』 「「私は、人が見えます」と他人に言えば、「私は、人を殺しました」と同じ反応を引き起こすだろうと思いました。」 幻視などの症状を知られることで人生が終わると感じて誰にも病気のことを言えなかった樋口さんの苦しみを追って体験する。 脳の多様性を多くの人が受け入れる社会...

『誤作動する脳』 「「私は、人が見えます」と他人に言えば、「私は、人を殺しました」と同じ反応を引き起こすだろうと思いました。」 幻視などの症状を知られることで人生が終わると感じて誰にも病気のことを言えなかった樋口さんの苦しみを追って体験する。 脳の多様性を多くの人が受け入れる社会になる必要性を感じる。 「教えを請う人」としてのディレクターのKさんの態度が樋口さんを“怪物”から人間に戻すきっかけとなったところも良かった。自身の病気に関する体験を語ること、そしてそれが人の役に立つと分かった時に自分で作り上げていた孤独から解放される。 必死で隠してきた病気の体験は、人の役に立つ樋口さんの利点に生まれ変わった。 レビー小体型認知症の症状から料理することが難しくなってしまった樋口さんを救った土井善晴さんの言葉も良かったなぁ。 「味噌汁は、濃くてもおいしい。薄くてもおいしい」 料理はもっと自由でいいかげんでいい。台所に笑顔を

Posted byブクログ

2022/02/10

レビー小体型認知症を患っている樋口直美さんの本。 webで連載していた樋口さんの記事を読んで、初めて「レビー小体型認知症」という病名を知りました。その連載は、途中までしか読んでいなかったのだけど、ふと、Twitterで流れてきた投稿でこの本を知り、読んでみました。 この本の前...

レビー小体型認知症を患っている樋口直美さんの本。 webで連載していた樋口さんの記事を読んで、初めて「レビー小体型認知症」という病名を知りました。その連載は、途中までしか読んでいなかったのだけど、ふと、Twitterで流れてきた投稿でこの本を知り、読んでみました。 この本の前に1冊出されているんですね。 そちらの本も読んでみようと思います。 「認知症」といってもいろいろなものがあること、同じ病名でも人それぞれ症状が違うこと、そしてそれは出会った医師や周りの環境や寄り添う人たちによっても変わってくること、そんなことがよくわかる本でした。 患者が医療の「受け身」だけでいてはいけないこと、医師が絶対ではなく、医師にも見えないことがあること、互いの信頼関係によって情報をすり合わせて行って、やっと辿り着ける治療の方向性もあることも知ることができました。 著者の樋口さんも、受け身の診療を受け続け、「うつ」と診断されて処方され続けた薬の副作用で辛い6年間を過ごしていたとのこと。患者も一緒になって「治療」に参加しなければならない時もあると知りました。 うーん、うまく言えないのがもどかしい。 とにかく、みんな読んでみて欲しい本でした。 私がいろいろな病気の患者さんがかいた闘病記やエッセイを読んでいるのは、世の中のたくさんの人たちが、いろいろな病気や症状に悩み生きていることを知っておきたいから。身近な家族や自分自身にもいろいろな出来事が待ち受けているかもしれないから。たくさんの人たちの気持ちに寄り添えるように、いろいろなことを知りたいから。 読んでよかった。 ーー自分用読書メモーー ・遠野物語はレビー小体型認知症? ・嗅覚異常 ・時間の近さ遠さがわからない ・家族には話せないけど、利害関係のない人には話せる。そして、気分が楽になる。 ・人それぞれの「できる」と「できない」がある ・脳の状態が顔(目)に現れる ・脳は働き者、だけどだまされやすい ・料理が大変(買い物から)。蓋をして見えなくなると、存在を忘れる ・レビー小体型認知症では、薬剤過敏があり、抗精神薬の54%で重篤な副作用が起きる ・薬を増やす、やめる。医者でもわからないこともある ・早期発見?できないことだってある ・早期発見・早期絶望、にならないために ・診断は仮説、最後まで仮説

Posted byブクログ