1,800円以上の注文で送料無料

春、死なん の商品レビュー

3.3

15件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2025/01/23

【春、死なん】 富雄の願いは何だったのだろうか。 喜美代の気持ちを慮ることが出来なかったこと? 賢治の育て方? 里香の虚栄? 文江との過去? 全ては性に塗り替えられているけれども、靄がかかるその目の本質は、富雄自身が1番良く分かっていて、ただ、見ようとしなかっただけなんだ。 ただ...

【春、死なん】 富雄の願いは何だったのだろうか。 喜美代の気持ちを慮ることが出来なかったこと? 賢治の育て方? 里香の虚栄? 文江との過去? 全ては性に塗り替えられているけれども、靄がかかるその目の本質は、富雄自身が1番良く分かっていて、ただ、見ようとしなかっただけなんだ。 ただ、怖かっただけなんだ。 いくら願おうとも、その通りになることは難しい。 でも、願いのほんのちょっと外側にある膜が破れれば、少しは近づけるのかもしれない。 【ははばなれ】 親の心子知らず。 子の心親知らず。 生まれてきた証に苦悩もすれば、受容もする。 母は1人しかいない。 当たり前のこと。似るのが怖かったのか。 だから、離れたかったのか。 いくら願おうとも、その通りになることは難しい。 でも、願いのほんのちょっと内側にある本心に触れられれば少しは近づけるのかもしれない。

Posted byブクログ

2024/06/16

老いた中、目が霞んで仕方なく病院へ行くも、問題がなく精神科を勧められる始末。 年老いてもなお湧き上がる性欲。 そんな日々に疲れていた中、かつて一夜を共にした女性と再会しーー。 (春、死なん) なにもかもあけすけな母のようになるまいと生きてきた。なにもかもを閉ざして。 墓参りをき...

老いた中、目が霞んで仕方なく病院へ行くも、問題がなく精神科を勧められる始末。 年老いてもなお湧き上がる性欲。 そんな日々に疲れていた中、かつて一夜を共にした女性と再会しーー。 (春、死なん) なにもかもあけすけな母のようになるまいと生きてきた。なにもかもを閉ざして。 墓参りをきっかけに久しぶりに会った母は相変わらずあけすけで、でも自分に見えていたことだけが全てではないと知る。 (ははばなれ) AV女優を自ら天職と言い切り、楽しんでいる著者のインタビューを読んで興味を持った1冊。 どちらのお話もとても生と死を感じた。 生きている限り逃れられない家族の呪いってきっと人それぞれあって、それとうまく付き合えるようになったら1つ大人の階段を登れる気がするな。

Posted byブクログ

2024/01/05

ダ・ヴィンチ2023 BOOK OF THE YEARに文庫が選ばれていたので読んでみました。 1『春、死なん』 妻を亡くした70歳の富雄が1度関係を持った文江と再会した。文江も夫を亡くしている。文江は西行の歌 願わくは花のしたに春死なん そのきさらぎの望月の頃  を出して満開の...

ダ・ヴィンチ2023 BOOK OF THE YEARに文庫が選ばれていたので読んでみました。 1『春、死なん』 妻を亡くした70歳の富雄が1度関係を持った文江と再会した。文江も夫を亡くしている。文江は西行の歌 願わくは花のしたに春死なん そのきさらぎの望月の頃  を出して満開の桜の下で満月の次の日に死んだ西行を羨ましいというものの… 文江が富雄を  ねえ、トミー    と呼ぶところがなんだか妖艶というか怖い。終わり方もホラーっぽくて、一体どうなってるのかわからなかった。 2『ははばなれ』 父を9歳で亡くしたコヨミ。母に今まで男の気配はなかったが、今は彼氏がいる。スマホの写真を見せてもらうと父とは違うタイプ。父と母との出来事を思い出すと、今自分の結婚生活に対する疑問が生まれてくる… 帝王切開とその傷跡について書かれていて、そういう考え方をする人や子供もいるのかも、気付かされました。が、帝王切開や手術の後は勲章。昔なら死んでいたんだから、と個人的には思います。 少し表現がくどく、ピンとこないところがあるせいか本の世界に入りきれませんでした。 でも、2つとも夫に先立たれた時どう生きていきたいかを考えるきっかけとなったし、親子や夫婦に対する視点が独特で良かったと思いました。

Posted byブクログ

2023/02/19

「春、死なん」「ははばなれ」老人の性と母の性を描いた2篇収録。 雰囲気的には、女による女のためのR-18文学賞を思わせる様な作品。 著者は1993年生まれの若い作家さんだが、老人の性を扱った濃密なテーマを瑞々しいタッチで描いていて惹きつけられる。 表題作の主人公は、妻に先立た...

「春、死なん」「ははばなれ」老人の性と母の性を描いた2篇収録。 雰囲気的には、女による女のためのR-18文学賞を思わせる様な作品。 著者は1993年生まれの若い作家さんだが、老人の性を扱った濃密なテーマを瑞々しいタッチで描いていて惹きつけられる。 表題作の主人公は、妻に先立たれ、息子夫婦と二世帯住宅で暮らしている70歳の富雄。 コンビニでDVD付きのアダルト雑誌を購入する富雄には、夫だとか父親だとか言う前に、一人の男としての存在感を感じる。 老いが纏わりつき、死へ近づいているからこそ性に執着する人間の本能を感じた。

Posted byブクログ

2023/01/02

「年老いた男性の性」「母の性」を描いた二編からなる。どちらの登場人物もそこら辺にいる普通の人。歳を重ねても性に関心がある事は理解できるが、それが自分の親や家族となると素直に受け入れることは難しい。祖父、父、そして母であると同時にひとりの男、女なんですもんね。文章はとても読み易いが...

「年老いた男性の性」「母の性」を描いた二編からなる。どちらの登場人物もそこら辺にいる普通の人。歳を重ねても性に関心がある事は理解できるが、それが自分の親や家族となると素直に受け入れることは難しい。祖父、父、そして母であると同時にひとりの男、女なんですもんね。文章はとても読み易いが、子供の立場から当事者へと移っていく自分の年齢を思うと色々と考えさせられます。

Posted byブクログ

2022/11/03

現役AV女優の描く純文学作品集。 ・春、死なん ・ははばなれ の編収録。 妻を亡くした老人の性欲の話と妊活できない自分と帝王切開して自分を生んだ母との話で特に後者は大変面白かったです。 老人の話は老人の妄想についていけるかどうかが好き嫌いの分かれ目になりそうですが、自分は好きな...

現役AV女優の描く純文学作品集。 ・春、死なん ・ははばなれ の編収録。 妻を亡くした老人の性欲の話と妊活できない自分と帝王切開して自分を生んだ母との話で特に後者は大変面白かったです。 老人の話は老人の妄想についていけるかどうかが好き嫌いの分かれ目になりそうですが、自分は好きな方でした。

Posted byブクログ

2022/05/10

臭気から老いや焦燥感を描写してくれる。 二篇の性と生。 唾液が乾き、腐敗したような臭いが乳の先から香ってきた。

Posted byブクログ

2022/02/05

表題作は、亡くなった妻 喜美代の思い出が吹っ切れない畠山富雄の複雑な気持ちを描いている物語だが、老齢期の男性の葛藤を女性の著者とは思えない的確な描写が楽しめた.学生時代の友人 高坂文江との出会いも話を面白く展開させている.「ははばなれ」は奔放な母を子供たちがやや持て余す話だが、帝...

表題作は、亡くなった妻 喜美代の思い出が吹っ切れない畠山富雄の複雑な気持ちを描いている物語だが、老齢期の男性の葛藤を女性の著者とは思えない的確な描写が楽しめた.学生時代の友人 高坂文江との出会いも話を面白く展開させている.「ははばなれ」は奔放な母を子供たちがやや持て余す話だが、帝王切開の傷の話が妙に気になった.

Posted byブクログ

2021/05/01

AV女優の紗倉まなさんの中編集。 カツセマサヒコさんが推薦していたので読んだ。 いや、思ったよりも文学的で驚いた。 「春、死なん」は高齢者の性をテーマにしている。70歳過ぎた独り暮らしのじいさんがエロ雑誌の付録DVDを見てマスターベーションしている姿は、想像するとグロテスクだ。...

AV女優の紗倉まなさんの中編集。 カツセマサヒコさんが推薦していたので読んだ。 いや、思ったよりも文学的で驚いた。 「春、死なん」は高齢者の性をテーマにしている。70歳過ぎた独り暮らしのじいさんがエロ雑誌の付録DVDを見てマスターベーションしている姿は、想像するとグロテスクだ。 しかし、「老人は黙ってゲートボールでもしていれば満足なのか」と問われると、そんなわけないよね、とも思う。 性は一生のもの。 好きな人と抱き合って身体も心も温めたい、と願うのは、決して若い人だけの特権ではないはずだ。 もう一編の「ははばなれ」は自分が生まれたことによって長い間、性を奪ってしまった母に彼氏ができて… 娘の母ばなれを描く。 うーん、女性向けの小説集かな。 エロを期待すると重いかもしれません。

Posted byブクログ

2020/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

合唱団の先輩から話を聞いたので読んだが、特に感想はない。 偏見だということは承知しているが「AV女優をしている人でもこんな本を書くんだ…」と思っただけ。

Posted byブクログ