律令国家と隋唐文明 の商品レビュー
日本における律令国家の受容と形成を、東アジアの国際関係(とりわけ隋唐)という視点から論じ、そのなかで国号「日本」や君主号「天皇」といった、こんにちの日本にも連なる国家の基礎が作られてゆく様子をダイナミックに描き出す。 推古朝に隋との関係の中で、天皇号が成立した。ここで有名な...
日本における律令国家の受容と形成を、東アジアの国際関係(とりわけ隋唐)という視点から論じ、そのなかで国号「日本」や君主号「天皇」といった、こんにちの日本にも連なる国家の基礎が作られてゆく様子をダイナミックに描き出す。 推古朝に隋との関係の中で、天皇号が成立した。ここで有名な「日出ずる処の天子」問題が起こった。本書は、煬帝が怒ったのは「日出ずる処」が「日没する処」にという一節だとする俗説を排している。これらは仏典に基づく東西関係を表すだけで、仏教的朝貢において文帝の歓心を買おうとして考えられた表現であったとする。そうではなく、「天子」を名乗ったことが、中華思想に反するものとして問題視されたという。ここからも日本における君主号の問題が対外的な関係によってかなり制約され、そのなかで成立していったことが分かるので面白い。 国号「日本」も、もともとは東方であることを示す一般名詞であったが、白村江の戦いで悪化した唐との関係を回復し、新たな関係を築く試みのなかで成立した。 律令国家もまた、危機的な状況のなかで国家を強化する必要性から、唐から急速に摂取されたものだった。そのなかで文明が接ぎ木されてゆく。例えば、中国では天子がときに法の上に立って勅断を下すが、日本では天皇も律令に拘束された。このように日本のそれまでのあり方を踏まえて現実的に摂取された部分と、「あるべき」理想として空文化された部分がありながら律令国家が作られてゆく。 天皇制は最後の砦だったのか、唐の律令が天子らの衣服の色を厳密に定めるのとは対象的になかなか規定されることがなかった。本書では唐風化という流れから吉備真備や鑑真がさらに律令の受容を進めていったことを論じ、藤原仲麻呂が唐風化に与えた影響を再評価している。 新書としては学術書寄りというか難しい部類に入るけれど、日本という国の成立を当時の国際関係とともに生き生きと感じられて、読み応えのある一冊だと思う。
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中央集権国家における政治経済面での支配体制の確立について知りたかったのだが、文化面から「日本」誕生≒「天皇制」の誕生をメインに描いている印象。これはこれで興味深い話ではあるが、中国文化の影響を受けていることを多少拡大解釈しているようにも思える。元ネタの研究が「日本古代国家における...
中央集権国家における政治経済面での支配体制の確立について知りたかったのだが、文化面から「日本」誕生≒「天皇制」の誕生をメインに描いている印象。これはこれで興味深い話ではあるが、中国文化の影響を受けていることを多少拡大解釈しているようにも思える。元ネタの研究が「日本古代国家における中国文明の受容とその展開~律令制を中心に~」らしいので、こっちの方が題名的にはしっくりくるような。新書の題名としてはマズイのだろうけど。
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国郡里制や条里制について知りたかったので期待と異なる内容だったが、知らない事ばかりで興味深く読めた。特に平安以前の日本政府がこんなにも外交を活発に行っていたとは全く想像外だった。
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遣隋使を派遣することになる緊迫の東アジア情勢から書き起こされ、隋唐文明を一通り受容し律令国家として基礎が固まる嵯峨天皇あたりまでを一気に解説します。コンパクトですが安易な部分はありません。「倭」ではなく「日本」を国号として認めさせる場面は日本が志高い青年に思えます。遣唐使が求めた...
遣隋使を派遣することになる緊迫の東アジア情勢から書き起こされ、隋唐文明を一通り受容し律令国家として基礎が固まる嵯峨天皇あたりまでを一気に解説します。コンパクトですが安易な部分はありません。「倭」ではなく「日本」を国号として認めさせる場面は日本が志高い青年に思えます。遣唐使が求めたものは珍品装飾品の類ではなく万巻の書物でした。必死に外国人を受け入れ、高僧鑑真を招聘する姿に「坂の上の雲」を目指す日本人が重なりました。中国の歴史ドラマを見ていると玄宗皇帝が日本に暦を下賜したと言っています。吉備真備が持ち帰り、藤原仲麻呂が施行した「大衍暦」でした。当時最先端のテクノロジーですね。
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日本の奈良時代、大陸に遣唐使を送ることによって唐の最新の優れた支配体制を学び、それが律令制という形で結実する事になる、その変遷を史料を追いながら解説した本。難しい漢字が多数出てきて読めない事もあり、自分には少し難解に感じた。詳細→http://takeshi3017.chu.jp...
日本の奈良時代、大陸に遣唐使を送ることによって唐の最新の優れた支配体制を学び、それが律令制という形で結実する事になる、その変遷を史料を追いながら解説した本。難しい漢字が多数出てきて読めない事もあり、自分には少し難解に感じた。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou29001.html
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奈良時代について、つい政治史などに目が行ってしまうのだが、このような制度史的な部分はやはり重要。なるほどと思わせる部分多々。歴史はいろいろな面から見ないといけないと改めて思った。
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タイトルの通り、律令国家成立に至る過程を、中国を中心とする東アジア情勢との関連の中で解き明かしていく。資料や先行学説の紹介もきめ細かく、古代史研究の最前線に触れることができる、充実の一冊である。
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飛鳥時代から奈良時代に至る6世紀-8世紀に成立したとされる大和朝廷による律令制度、これを隋や唐という律令の規範に照らし合わせながら、その導入に至る経緯や国際情勢について時代を追う形で確認していく。次第に明らかになっていくその全体像が至る形は、唐風様式の受入れとその継続というもの...
飛鳥時代から奈良時代に至る6世紀-8世紀に成立したとされる大和朝廷による律令制度、これを隋や唐という律令の規範に照らし合わせながら、その導入に至る経緯や国際情勢について時代を追う形で確認していく。次第に明らかになっていくその全体像が至る形は、唐風様式の受入れとその継続というものだった。 そして律令制度は形を変え意味合いを変えて、それでも形式上は廃止されることなく明治維新を迎えることになるのである。 これは、例えば天皇の即位にあたっても、江戸時代最後の孝明天皇までは唐風の装束で、つまり中国式の衣装で即位の式典が執り行われてきたことの背景である。 今、天皇の即位にあたって、「古式ゆかしい」衣冠束帯を身に着けた儀式が紹介されるのだが、実は本当のところは江戸時代まではそんなものは着ておらず、中国の服を着ていたのである。これが真の伝統と言えるだろう。 隋と唐、そして律令のなんという影響力だろうか。
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日本古代の律令国家形成を、隋唐文明との関わりから著述しています。時代は遣隋使が派遣された推古朝から、中国の礼が継受されて儀礼が整う弘仁・貞観期までを扱っており、途中で律令制の概説(官僚制や戸籍・民衆支配など)を挟んでいます。 帰化人が国家建設に果たした役割や、吉備真備や鑑真ら海を...
日本古代の律令国家形成を、隋唐文明との関わりから著述しています。時代は遣隋使が派遣された推古朝から、中国の礼が継受されて儀礼が整う弘仁・貞観期までを扱っており、途中で律令制の概説(官僚制や戸籍・民衆支配など)を挟んでいます。 帰化人が国家建設に果たした役割や、吉備真備や鑑真ら海を渡った人々の功績が、それぞれ章を立てて解説されているところが印象的です。やはり古代史、律令国家は面白いと思わせる一冊です。
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