グローバル・グリーン・ニューディール の商品レビュー
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私の関心は、炭素税の使い方。主にアメリカの話だが、本著では、地球温暖化による金周りの事が良くわかる。目新しい発見があるかというと微妙だが、化石燃料を巡る座礁資産問題からダイベストメント、ファンドの動きまで。代替エネルギーの技術論よりも経済面に重きを置いた本として有難い。 当分の...
私の関心は、炭素税の使い方。主にアメリカの話だが、本著では、地球温暖化による金周りの事が良くわかる。目新しい発見があるかというと微妙だが、化石燃料を巡る座礁資産問題からダイベストメント、ファンドの動きまで。代替エネルギーの技術論よりも経済面に重きを置いた本として有難い。 当分の間、新しいエネルギー部門に年間およそ3兆5000億ドルの新規投資を行う必要があるという国際エネルギー機関。ファンドマネージャーの89%は、こうした転換による投資リスクが今後5年間にIOCの評価に大きく影響するとの見方。半数はすでに大規模な埋蔵量を有する約200社の石炭、石油、天然ガス企業からダイベストしている。当然、市場は期待値やリスクを見て、動き始めているという事だ。 また、アメリカの年金基金は総額41兆3000億ドルで世界の投資資本の最大部分を占めている。この運用に際し、座礁資産を抱える化石燃料を産業に投資し続ければ労働者の退職年金を失いかねない懸念があり、アメリカの年金基金も率先してダイベストメントを進め始めている。引き上げた金をどうする? 発展途上国にグリーン銀行を設立。第三次産業革命のスマートインフラへの転換を促進しようと、グリーン・ニューディールが全世界にアピール。このグリーン銀行が、公的年金基金や民間年金基金とグリーンインフラ構築を結ぶ仲介役となっていく。 世の中のお金は化石燃料から、再生可能エネルギーに流れていくのは必然の流れだが、座礁資産の問題やこの事も含む、旧エネルギーに取り残される事で更に深刻化する貧困層の救済が必要。ここで炭素税。低所得層の家庭がエネルギー代の値上がり分を上回る程の還付金として分配するという政策だ。また、グリーンニューディールのインフラ構築資金に充てられる。 富の再分配に炭素税が用いられる。カーボンニュートラルが齎す人類の平等化補正なんて、本当に実現するのだろうか。
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前半のビジョンを語るところは面白いが、後半の実現方策を語るところは前のめりになりすぎて鼻白む。研究者ではなく評論家兼ロビーイスト。
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最近はやりの環境問題について。 ファッションでもサステナブルはもう切り離せない考えだし、 SDGsは町中でよく目にする。 また自然災害の規模も年々大きくなってきているのは肌感でも感じる。 無限を前提とした資本主義からの脱却の一つとして環境に配慮したアプローチが必要ということだと思...
最近はやりの環境問題について。 ファッションでもサステナブルはもう切り離せない考えだし、 SDGsは町中でよく目にする。 また自然災害の規模も年々大きくなってきているのは肌感でも感じる。 無限を前提とした資本主義からの脱却の一つとして環境に配慮したアプローチが必要ということだと思う。 この本で、知らなかった世界の動きが分った。 し、想像以上に限界は近いし、マクロでは動きが進んでいるのだと感じた。 COP21(2015年パリ会議)において 仮に気候変動を踏まえてグローバルに2度の気温上昇を抑えたとしたら、 座礁資産(投資時点の想定よりもはやく気候変動リスクによる政策変化や市場環境の変化の影響を受けて、 投資利益を得ることができなくなる資産)が100兆ドルにのぼるという衝撃的なレポートがcitiグループから発表されているよう。 座礁資産化リスクを踏まえると、一刻もはやく、投資先を変更したほうがよさそう。だし、 実際は投資家などは投資を避け始めてる。 世銀グループは2019年から石油・ガスの上流事業への投資をやめた。 欧州投資銀行(EIB)も2021年の終わりには 発電を含む石油・ガス関連事業への投資を停止。 日本ではLNGへの投資を増やし、その間に自然エネルギーへの置き換えを考えているよう。 EUでは気候変動に対してかなりアクティブに動いてる。 2007年にドイツがEUの欧州議長になっていたこともあり、 EUで「2020年までにEU全土で利用されるエネルギーの自然エネルギーが占める割合を20%にする」という目標を設定し、 EIT(市場価格よりも高く自然エネルギーを買う制度)を保証した。 またすでにEITも廃止されてきてる。それくらい供給が進んできている。 また創造的破壊は成長率と全体市場の成長率との差分に依存しているとし、 全体エネルギーの需要速度とその再生エネルギーの成長率を比較すると 2025年くらいには創造的破壊が起こり、 石油などの既存エネルギーに対しての需要が下がっていくと。 そのとき全電力のだいたい15%くらいを再生エネルギーで占めるらしい。 また蓄電池の研究も大幅に進んでいることもあって、 創造的破壊の実現可能性が高まっている。 それによって化石燃料をベースにした電力会社などが倒産するほどの座礁資産が発生する。 石油依存のエネルギーからの脱却の手段として、掲げているのが、 スマートグリッド(効率的な再生エネルギーの創出、蓄電池、制御システム、 データ収集基盤、利用と貯蔵をデータ分析によって自動的に最適化する)。 スマートグリッドへの変換のためにはインフラへの投資が必要。 だが、日本では、政府支出のインフラ支出が少ない。 高齢化社会により社会保障費が大きくなってきているから。 そこでコンカッション(資産は国のまま、サービス提供を民間が行う状態)がある。 それにより、インフラ投資の選択肢を投資家に増やし、それをもとにスマートグリッドへの転換を行う。 ただ、この場合、インフラが経済市場論理に依存しないかが心配。 スマートグリッドの導入にはローカル(市民)の力が必要だと。 自然エネルギーはどこでも創出できるから。 そこで市民でピアアセンブリーを組んで、市場論理だけでスマートグリッドを運営されないように監視する必要がある。 グーグルがカナダ・トロントで失敗したスマートシティ計画みたいにならないようにするのが大事。 日銀が環境変動オペを行おうとしたり、 今現在日本で取り組まれている環境配慮する動きをきちんとこれからウォッチしていきたいと感じた。 なぜなら、この本では日本が一つも出てこなかったから。 それくらい環境に対しての日本のプレゼンスは世界において弱いのだと感じた。
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(三木敦朗先生(森林・環境共生学)おすすめ図書) ☆農学部図書館の所蔵はこちらです☆ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB29779989 ★三木先生による紹介記事はこちら★ https://as...
(三木敦朗先生(森林・環境共生学)おすすめ図書) ☆農学部図書館の所蔵はこちらです☆ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB29779989 ★三木先生による紹介記事はこちら★ https://astatel.net/book/b019.html
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手遅れにならないうちに化石燃料と決別し、世界経済の脱炭素化を!温暖化が進む地球を救うための新たな経済・社会のビジョン、「グリーン・ニューディール」を提示した書籍。 歴史における大きな経済的転換には、「通信手段・動力源・運搬機構」が必要。19世紀の第1次産業革命、20世紀の第2次...
手遅れにならないうちに化石燃料と決別し、世界経済の脱炭素化を!温暖化が進む地球を救うための新たな経済・社会のビジョン、「グリーン・ニューディール」を提示した書籍。 歴史における大きな経済的転換には、「通信手段・動力源・運搬機構」が必要。19世紀の第1次産業革命、20世紀の第2次産業革命に続き、今進行中の第3次産業革命では、この3つの要素が「IoT」(モノのインターネット)のプラットフォーム上で一体化し、21世紀の社会と経済を変えようとしている。 第3次産業革命により、企業や個人の生産性は上がり、CO2排出量、生産や流通にかかる「限界費用」が減る。それによって、事業や家庭はより環境にやさしく、効率的なものになる。 企業は、限界費用を削減することで、売り値を安くし、市場シェアを増やそうとする。だが、生産と流通の効率が極限まで向上すると、限界費用が急落する。その結果、利益率が劇的に縮小し、資本主義のビジネスモデルの存在が危うくなる。 第3次産業革命における、デジタル化されたインフラによって「共有型経済」が生み出された。様々な財やサービスをシェアする、この新しい現象は、今や経済生活を変えつつある。 経済学の経験則によれば、考慮すべきは企業や部門の「大きさ」ではなく「成長カーブ」。今、市場の占有率が小さくても、伸び率が大きければ、今後かなりのシェアを占め得る。これはエネルギーはじめ、あらゆる商業の分野にあてはまる。 化石燃料時代が終わる“エネルギーの臨界点”は、世界の電力の14%が太陽光と風力で賄まかなわれるようになった時に訪れる。そして、これが世界規模で起こる。化石燃料需要がピークを迎えるのは、2020~27年頃と見られる。
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太陽光発電、電気自動車などが無条件に環境に良いものとして扱われており、その製造過程や、バッテリーの処理、振動や光害などすでに起きている問題には目をつぶっているのが残念。技術の普及から20年は経つのだ、その辺りも含めた提案であれば理解できるが、、。
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すでに起こりつつある大転換を進める上で、基礎となる現状整理、視点について。 ・通信手段、動力源、運搬機構の三つの要素が相互に作用することで大きな経済的転換 →これらのインフラをアップデートすること ・経済と統治の責任が、ある意味では国家から地域へと移りつつある ・カーボンフ...
すでに起こりつつある大転換を進める上で、基礎となる現状整理、視点について。 ・通信手段、動力源、運搬機構の三つの要素が相互に作用することで大きな経済的転換 →これらのインフラをアップデートすること ・経済と統治の責任が、ある意味では国家から地域へと移りつつある ・カーボンファーミング ・エネルギー自立に必要な五つの要素は、エネルギー効率の最大化、温室効果ガス排出削減、再生可能エネルギーの商業的導入の最適化、再生可能エネルギー貯蔵のための水素燃料電池技術の確立、そしてスマートグリッドの構築 →EUの2020年20-20-20目標 ・化石燃料の座礁資産化 →限界費用ゼロの再生可能エネルギーへの大転換 ・CCSは不可能か ・公的年金、富裕層への累進課税、炭素税+民間資金の呼び込み(SRI、ソーシャルインパクト投資)を資金源にインフラ更新 ・ESCO等のパフォーマンス契約での官民連携 ・デジタル・パンゲア 施策集が参考になる。 ・炭素税と国民への還元、インフラ投資
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地球温暖化対策の専門家による、脱炭素促進の話。著者は第三次産業革命と呼んでいるが、エネルギーを化石燃料から再生可能エネルギーに替えていく事業の進展状況と、アメリカ政府は反対しているものの、アメリカでも投資家や経済界では、環境関連に大きな投資が行われている実態を説明している。温暖化...
地球温暖化対策の専門家による、脱炭素促進の話。著者は第三次産業革命と呼んでいるが、エネルギーを化石燃料から再生可能エネルギーに替えていく事業の進展状況と、アメリカ政府は反対しているものの、アメリカでも投資家や経済界では、環境関連に大きな投資が行われている実態を説明している。温暖化対策は待ったなしであるとの情勢もあるのだが、実際、EUや中国を始め、多くの地域では再生可能エネルギーへの転換が驚くべき速さで進んでいる。アメリカは遅れているが、もしバイデンが大統領になれば、大きく転換する可能性もあるし、その場合、日本は取り残されることとなる。とかく日本人は、自分たちは省エネや環境対策では世界をリードしていると勘違いしているが、脱炭素には全く向かう気配がない。規制緩和と意識改革が急務であろう。 知識を深めるにはいい文献ではあったと思うが、内容は発散していてまとまりがなく、読みにくい。 「(グリーン・ニューディール)企業部門には何兆ドルもの座礁資産が生じ、改革の努力を怠っている産油国が影響を受けるのは必至である一方、進展するエネルギーシフトのスピードに気づかない投資家たちは、何兆ドルもの資産を危機にさらすことになる(座礁資産とは、需要の下落によって地下に埋蔵されたままになる化石燃料のみならず、パイプラインや海洋プラットフォーム、貯蔵施設、発電所、予備発電装置、石油化学処理施設および化石燃料文化と密接に結びついた業種の資産など、放棄されるあらゆる資産を含む)」p14 「ゼロ炭素の第三次産業革命の拡大を意欲的に進める国の政府は、時代を先取りするのに対し、市場原理に従って進もうとせず、崩壊しつつある20世紀の化石燃料文化にしがみつく政府は低迷を余儀なくされる」p15 「シェアリングによって、人類が使う資源の量をはるかに小さくできるだけでなく、使わなくなったものを他人に譲ることでCO2の排出量を大幅に減らすこともできる」p25 「共有型経済は18世紀と19世紀に資本主義と社会主義が出現して以来、世界の舞台に登場する初めての新しい経済システムなのである」p25 「(第三次産業革命のインフラ)それにかかる固定費は極めて低く、限界費用はほぼゼロに近い。スマートフォンとインターネット接続さえあれば、誰でも瞬時にビッグデータや、何百万ものビジネスが集合するグローバルネットワークとそのウェブサイトにアクセスできる」p44 「(スマートシティ化)計画から実際のインフラ整備にいたるプロセスのあらゆる段階に、深い市民参加を組み込むことが重要だ。これはトロントのスマートシティ計画の失敗から学ぶべき重要な教訓である」p53 「(若い世代の改革者)怒りに燃え、決意とモチベーションを持った彼らは、あれやこれやできない理由を並べたり、現実的にならなければと主張する人たちには耳を貸さない。この先なすべき大仕事にとって、現実的であることがどれほど非現実的で不十分かは明白なのだから」p57 「(20-20-20方式)2020年までにエネルギー効率を20%高め、温室効果ガスの排出を1990年対比で20%削減するとともに、再生可能エネルギーによる発電量を20%にまで増大することを義務付けるもの(欧州で提唱)」p58 「すべての建造物に先進的なメーターその他デジタル装置を設置し、送電網を現在のサーボ機構(自動制御装置)からデジタル接続に転換することにより、地域内の複数の場所で発電された自然エネルギーによる電気を、送電網に流すことが可能になる」p70 「現在、原子力発電施設の建設と運転にかかる均等化発電原価(LCOE)はメガワットあたり112ドルだが、風力発電は29ドル、実用規模の太陽光発電は40ドルである」p84 「(反対者の疑念)太陽光・風力発電が2017年の世界の全発電量のわずか3%しか占めていないのに、化石燃料文明が終わりに近づいていることなどありえるのか」p129 「ヨーロッパは2017年、全電力の15%が太陽光と風力で発電され、同じ年、アメリカは8%、中国は6%、インドは5%、アフリカは2%、中東は1%以下で、世界の平均は6%であった。日本は6%」p131 「中国はほどなくヨーロッパを追い抜いて、安くて効率的な太陽光・風力発電技術で世界のトップに立ち、その技術を世界中に輸出し始めた。2016年にスタートした第13次五か年計画では、国内にも目を向け、国内市場で安価な太陽光・風力発電技術を大量に生産、販売、実施するようになった」p140 「人類はグローカル(グローバル+ローカル)で、相互にデジタル的につながったグリーンな世界へと向かっている。目下、その先頭を走っているのはEUと中国である」p252
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
地球温暖化対策が叫ばれて久しいが「身近な動物が居なくなる」など、イデオロギー的な説得に終始していた印象だが、初めて経済的メリットを基にした対策の重要性を見た気がする。 また、確実に国による優遇策と金融市場のSRIの普及が必要であるので、 環境対策の次元から来たる脱化石燃料による経済対策の問題として話し合う必要がある。
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