未熟児を陳列した男 の商品レビュー
保育器を用いた新生児医療を広めた"自称"医者の興行師、クーニーの生涯を追ったノンフィクション。見世物から始まったことが医療のあり方を変えた歴史も面白いし、その偉業と裏腹に、とても人間臭かったクーニーの人物像が微笑ましかった。
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すごい本だった…最初は、どこに向かっていくんだ??と思って読んでいたんだけど、残り百ページ?あたりから涙が出てきて止まらなかった。紹介されていたラジオでは「ダークヒーロー」と呼ばれていてけど、もっと必死で、もっと不器用な人間がものすごい数の人間やその未来を救って育てた実話だと思う...
すごい本だった…最初は、どこに向かっていくんだ??と思って読んでいたんだけど、残り百ページ?あたりから涙が出てきて止まらなかった。紹介されていたラジオでは「ダークヒーロー」と呼ばれていてけど、もっと必死で、もっと不器用な人間がものすごい数の人間やその未来を救って育てた実話だと思う。読んでよかった。この先も、少しでも多くの赤ちゃんが救われて、愛されて育ってほしい。
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科学と見世物。相容れないように思える分野だが、万博を考えてみると良い。先端の科学技術は見世物としても十分に観客を楽しませる。戦前のコニーアイランドなど観光地の見世物の中に、未熟児のための保育器が展示されていたという。赤ん坊も一緒に。こう書くとセンセーショナルだが、実際には、この形...
科学と見世物。相容れないように思える分野だが、万博を考えてみると良い。先端の科学技術は見世物としても十分に観客を楽しませる。戦前のコニーアイランドなど観光地の見世物の中に、未熟児のための保育器が展示されていたという。赤ん坊も一緒に。こう書くとセンセーショナルだが、実際には、この形でしか未熟児が救われる道がなかった時代だった。病院には保育器を買う予算がなく、未熟児を生かす技術も未完成だった時代。興行師マーティン・クーニーは、未熟児を人種や貧富の区別なく無償で受け入れ、保育器に入れて展示し、十分なケアを施し、両親のもとに送りかえしていた。観客の払う入場料で、設備、看護師、医師の給与を賄っていたのだ。清潔に保たれ、病院よりも死亡率が低かったという状況を考えると、赤ん坊を陳列することの倫理面より救われた命の方に考えが及ぶ。本の中でも、生き延びた赤ん坊やその親族へのインタビューが収録されている。親たちは恥じて話したがらないが、元赤ん坊たちは喜んでいる印象がある。時代背景は第二次世界大戦に向かい、優生保護の考え方が浸透する中で、未熟児を救うことの難しさもあっただろう。とても興味深い問題を扱っているし、マーティン・クーニーという人物の謎を解明するのも面白い本なのだが、難点を言えば、エピソードが時系列でないこと。著者がクーニーの謎に迫っていく構成だから仕方がないのだけれど、ちょっと混乱させられる。
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20世紀前半、アメリカで博覧会やテーマパーク会場にて保育器に入れた未熟児の展示を行っていた興行主、マーティン・A・クーニーの評伝。今日では人権的・ポリコレ的に完全にアウトな展示ではあるが、一方で当時優生学的に劣等とされ満足なケアもされず死ぬことが多かった未熟児の命を救う慈善事業で...
20世紀前半、アメリカで博覧会やテーマパーク会場にて保育器に入れた未熟児の展示を行っていた興行主、マーティン・A・クーニーの評伝。今日では人権的・ポリコレ的に完全にアウトな展示ではあるが、一方で当時優生学的に劣等とされ満足なケアもされず死ぬことが多かった未熟児の命を救う慈善事業でもあった。この一見相反する事業に生涯を捧げたクーニーもまた謎多き複雑な人物でその素性を探る本書の内容はなかなかエキサイティングなものがある。 ただ、評伝と著者自身の調査過程の記述が短い章立ての中で繁盛に入れ替わる構成が読んでいて少し混乱するが、読み物として大変おもしろかった。
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優生思想という思想が蔓延っていた当時,救われない運命だった未熟児を見世物にする人がいた.その人は結果的に6〜七千人に命を救った. 20世期は優生思想という考えのもと命を選別するという考え方が一般的だった 今は医療の発達や倫理観の変化で未熟児でも救えるようになって生きている. し...
優生思想という思想が蔓延っていた当時,救われない運命だった未熟児を見世物にする人がいた.その人は結果的に6〜七千人に命を救った. 20世期は優生思想という考えのもと命を選別するという考え方が一般的だった 今は医療の発達や倫理観の変化で未熟児でも救えるようになって生きている. しかし,未来もしくはもうすでに全ての命を救うには医療コストが足りなさすぎる. 命を積極的に伝別することができなくなった今,消極的に選択される命がたくさん増えるんだろうなあ.
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