社会的ひきこもり 改訂版 の商品レビュー
社会的引きこもりそれ自体は病的ではない。しかし長期化することで多様な病理の温床になりやすい。 また、引きこもりは個人の病理ではなく、家族と社会を巻き込んだシステムの病理と考えることができる。3つの領域でなんらかの悪循環が生じていたり、互いに閉鎖的になっていることで引きこもりは長期...
社会的引きこもりそれ自体は病的ではない。しかし長期化することで多様な病理の温床になりやすい。 また、引きこもりは個人の病理ではなく、家族と社会を巻き込んだシステムの病理と考えることができる。3つの領域でなんらかの悪循環が生じていたり、互いに閉鎖的になっていることで引きこもりは長期化する。健全なシステムでは、3つのシステムは互いに接点、つまりコミュニケートして影響を与えながら生活する。欠けているのは本人と社会の接点だけであるという誤解は生じやすいが、本人と家族の間に真にコミュニケーションが成立しているかという視点が重要である。そこには相互性が不可欠である。 治療は段階的に行う必要があり、本人と家族、家族と社会の接点を回復させてはじめて、本人と社会との接点の回復が問題となる。 本人と家族のシステムが連動していくことが最も重要であり、難しい。 大切なのは、引きこもりを怠けと捉えず、一番不安なのは本人であることを理解することである。
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2025年77冊目。満足度★★★☆☆ まさに社会的な問題となっている「ひきこもり」(高齢化している)に関して、基本的な知識を得るのに好適 発達障害とひきこもりは、定義の上では明確に異なるが、行動特性等類似点多く、参考になる点が多いだろう
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まだ幼い2人の子供を育てていて、急に「子どもがいつかひきこもりになったらどうしよう」という不安が湧いてきて衝動的に読んだ。 ひきこもり事例に多く対処してきた精神科医である著者が、ひきこもりが発生する構造的な問題について「ひきこもりシステム」というモデルを使って説明している本書。現...
まだ幼い2人の子供を育てていて、急に「子どもがいつかひきこもりになったらどうしよう」という不安が湧いてきて衝動的に読んだ。 ひきこもり事例に多く対処してきた精神科医である著者が、ひきこもりが発生する構造的な問題について「ひきこもりシステム」というモデルを使って説明している本書。現実のひきこもりに対してどのような期間をかけて何をすべきかについても極めて具体的に書いてあり、とても良かった。 面白かったポイント - ひきこもりの原因は本人だけにあるのではなく本人、家族、社会からなるシステムにある - いきなり本人と社会を接続しにいくのではなく、家族と社会、本人と家族、本人と社会、の順番で接点を増やすべき - ひきこもり状態のまま無理やり単身生活をさせても、自立が促されることはあまりない - 本人と家族の安定した関係性が確立されるまでには、2-3年かかることも多い - 「両親と本人が冗談をいい合える状態」を目指すのが、関係性についての一つの基準 - 本人の主張のすべてを受容すべきではなく、受容の枠組みを示して毅然とした態度で向き合わないといけない。受容するための器の底が抜けていては、本当の受容はできない - 親が「この子は私無しでは生きていけない」という関係性に依存している共依存のケースも多く、その場合は親のふるまいが変化しないと状況の改善はみられない - 思春期の子どものお小遣いは、本人と決めた金額を定期的に与えるのが良い。消費活動は社会参加の形の一つであり、本人に「お金を使えば無くなり使わなければ貯まる」という感覚を身につけさせることも重要 - 本人を対等な家族の一員とみなして、家庭の経済状況や治療方針についてなるべく具体的に話すべき - 男性の方が女性よりもひきこもりに占める割合が高いのは、一般に男性に対する方が日本社会における就学や就業への期待度が高いから
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ひきことりについて勉強したくて読んだ一冊。 本人が何故そのような行動をとるのか、どんな葛藤があるのか理解できたし共感できた。 自分の関わり方の間違っていた部分にも気付かされた。
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随分久しぶりの投稿。前回感想を書いた日が去年の9月ごろだから、およそ半年ぶり。その間まったく医療・健康に関する本を読んでなかったはずはないけれど、卒論を書き上げなければならず忙しくて、すっかりブクログの存在を忘れていた。また投稿しはじめられるようにしたい。 新書ははずれが多い...
随分久しぶりの投稿。前回感想を書いた日が去年の9月ごろだから、およそ半年ぶり。その間まったく医療・健康に関する本を読んでなかったはずはないけれど、卒論を書き上げなければならず忙しくて、すっかりブクログの存在を忘れていた。また投稿しはじめられるようにしたい。 新書ははずれが多いと感じので、基本的に岩波書店から出ているものしか手に取らないが、今回思春期・青年期の精神医学の第一人者、斎藤環が著者だから読んでみようと思った。ひきこもりになってしまった知り合いがいて、なぜその状況から脱出できないのか考えるのに、参考になった。
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著者が自身唯一のベストセラーとする1998年刊行書籍の改訂版。 第一部はひきこもりの実情や、様々な精神疾患との違いを伝える理論編。第二部は、ひきこもりの人とどう向き合うかを具体的に示唆した、主に当事者である家族に向けられた実践編となっています。全250ページほどで、一部と二部が...
著者が自身唯一のベストセラーとする1998年刊行書籍の改訂版。 第一部はひきこもりの実情や、様々な精神疾患との違いを伝える理論編。第二部は、ひきこもりの人とどう向き合うかを具体的に示唆した、主に当事者である家族に向けられた実践編となっています。全250ページほどで、一部と二部が約半々となっています。「社会的ひきこもり」との違いを探る過程で、精神疾患の基礎知識にも触れます。 基本的には30歳ぐらいまでの若者のひきこもりを対象にした実践的な著書として読みました。とくに第二部はどのように接するかから始まり、家庭内暴力、金銭面、病院の選び方など、当事者である家族が抱えているであろう具体的な悩みにアドバイスを与えています。一方、やはり20年以上前の著書ということもあってか、改訂版まえがきでは触れられるシニア世代のひきこもり問題についての言及はわずかでした。 多くは当事者に向けられた著書となっていますが、節々で精神分析の考え方や、愛や成熟の定義にも触れ、第二部最終章「ひきこもりと社会病理」ではひきこもりが増加する社会背景への著者としての見解も述べられています。個人的にはこのあたりの、人間や社会全般の考察部分について特に興味をもって読みました。以下に一部を抜粋します。 ・精神分析によれば、「愛」とはそもそも自己愛に由来する ・すべての愛は自己愛であり、維持するために「他人という鏡」を必要とする ・「愛は負けても親切は勝つ」カート・ヴォネガット ・人間は自分が万能ではないことを知ることによって、はじめて他人と関わる必要が生まれる ・現在の教育システムは「誰もが無限の可能性を秘める」幻想を強要し、「去勢を否認させる」方向に作用する ・成熟の定義「社会的な存在としての自分の位置づけについての安定したイメージを獲得し、他者との出会いによって過度に傷つけられない人」
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不登校は学校生活における選択肢の1つと言う流れもある。 不登校を選択した結果、ずっと家にひきこもっている状態になると、ひきこもっていること事態が現状を悪化させる可能性もある事は念頭に入れないといけない。 ひきこもりの背景や、どうすれば良いか?なども描かれている。 タイトルは...
不登校は学校生活における選択肢の1つと言う流れもある。 不登校を選択した結果、ずっと家にひきこもっている状態になると、ひきこもっていること事態が現状を悪化させる可能性もある事は念頭に入れないといけない。 ひきこもりの背景や、どうすれば良いか?なども描かれている。 タイトルは「社会的ひきこもり」となっているが、Twitterなどのweb上で色々な人とのコミュニケーションが容易に取れる中、社会的にひきこもっているとは全ての場合言えないのでは無いだろうか?「働く事のみが社会的関わり」と考えてるのなら別だが。 別に必要がなければ働く必要も特に無いかな、と思ってます。その思い込みで、現状ひきこもっていて苦しんでいる人もいるかと思います。そんな人たちは「考え方を変えれば良いんじゃないのかなぁ」とは思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全国的な問題となっているひきこもり。とかく本人や親の責任とされがちだが、それをシステムの問題として語っている。 ひきこもりへの過度な憐憫や差別を助長することなく、精神科医としての実体験に基づいてに論理的に語っているため、大変読みやすかった。 ひきこもり問題を考える上でベースに置くことのできる本だろう。
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