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黄犬交遊抄 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2020/11/14

これまでキーンさんの執筆や講演に触れたことはなく、日本文学についても体系的にそこまで深く学んでいないから、かなり偏っていると言えるけれど、そういう浅い知識でもとても読みやすく、分かりやすくて日本文学面白い! ってなった。 また、親しかった文学者たちの思い出や日本文学史についての講...

これまでキーンさんの執筆や講演に触れたことはなく、日本文学についても体系的にそこまで深く学んでいないから、かなり偏っていると言えるけれど、そういう浅い知識でもとても読みやすく、分かりやすくて日本文学面白い! ってなった。 また、親しかった文学者たちの思い出や日本文学史についての講演や明治天皇の伝記を書いた話、養子となったキーン誠己さんのあとがきまで、一冊の全てを通してキーンさんがどれほど強い情熱を持って真摯に日本文学に向き合って研究されていたかや、穏やかであたたかく(だけではなくて、結構一刀両断の苛烈さも併せ持ちながら)、真っ直ぐで愛情深い人柄が伝わってきて、素敵な方だったんだなあと感じた。 調べたら、今北区立中央図書館で特別展やってるんですね…残念ながら今回は行けないけれど、キーンさが蔵書を多数寄贈された同図書館、いつか行ってみたい。

Posted byブクログ

2020/10/31

ドナルド・キーンの友人、先輩、恩師との交友関係や思い出を綴ったエッセイ。他の著作で知っていた事も多かったけれど、改めて読んでみると彼の人を見る眼の素晴らしさを感じる。親や知人に頼ることなく、自分で行動して良い人間関係を築いているように思った。自己研鑽に励み、高いレベルで人と付き合...

ドナルド・キーンの友人、先輩、恩師との交友関係や思い出を綴ったエッセイ。他の著作で知っていた事も多かったけれど、改めて読んでみると彼の人を見る眼の素晴らしさを感じる。親や知人に頼ることなく、自分で行動して良い人間関係を築いているように思った。自己研鑽に励み、高いレベルで人と付き合う。若い頃からかなりの向上心があったようだ。 負けず嫌いなのだろう。 後半は「私の仕事部屋から」。講演内容を文章にしたもので「明治天皇」を書いた経緯、「日本文学史」「日本人の日記」など、彼の考え方やエピソードが大変面白かった。最後は養子の誠己さんの話で、晩年の彼の姿が語られていて興味深く読めた。キーンさんの日本と日本人への愛情が伝わる。彼のような外国人(帰化したけれど)に気に入られたのは、日本人にとっても大変幸せなことだと思う。 全体として、前半の人物評の内容は大体知っていた事が多かった。後半の方が面白かった。

Posted byブクログ

2020/10/17

キーンさんの文学者たちのことを書いた本はいくつか読んだことがあったが、未発表のものもあるとのことで読んでてとても興味深かった。息子さんとの晩年の日々を、息子さんがキーンさんとの出会いから書いたあとがきは、そのままのキーンさんを垣間見れて、そして穏やかで幸せな日々を過ごされたんだな...

キーンさんの文学者たちのことを書いた本はいくつか読んだことがあったが、未発表のものもあるとのことで読んでてとても興味深かった。息子さんとの晩年の日々を、息子さんがキーンさんとの出会いから書いたあとがきは、そのままのキーンさんを垣間見れて、そして穏やかで幸せな日々を過ごされたんだなぁと心温まった。本の装丁が黄色でとても上品で、墓石にも掘ったという可愛い犬のイラストがなんとも味わい深い。手元にずっと置いておきたくなる本。

Posted byブクログ

2020/06/06

 著者と三島由紀夫、阿部公房たちとの友情関係の深さが文章から溢れ出ている。三島とのこんなに深い絆があったとは驚きだった。三島の自決後のキーン氏の衝撃の大きさが伝わる。著者が日本を本当に愛してくれていたことがこの本からも非常に感じた。20年ごとの伊勢神宮の式年遷宮に1953年から4...

 著者と三島由紀夫、阿部公房たちとの友情関係の深さが文章から溢れ出ている。三島とのこんなに深い絆があったとは驚きだった。三島の自決後のキーン氏の衝撃の大きさが伝わる。著者が日本を本当に愛してくれていたことがこの本からも非常に感じた。20年ごとの伊勢神宮の式年遷宮に1953年から4度も立ち会ったとのこと。世界のどこにもないような雰囲気の美しい祭儀だと感動を語っている。一番好きな季節は、ためらうことなく「梅雨」、日本の雨の風景が格別であると語る言葉の文章が美しい。引用する。「ここ数年、毎夏、1か月以上、息子と軽井沢の山荘で過ごすが、書斎の前が林になっている、原稿に向かっていて、ふと雨の降る林に見入っていることがある。静かな雨音は音楽のようだ。突然、陽が射して一か所だけ明るくなる。その明るさの中を小鳥が数羽、さえずりながら飛びまわる。そんな時、私たちは歓声を挙げて喜ぶ。」 そして晩年に養子縁組をしたキーン雅己氏(三味線弾き)の「いつも二人で」が感動的。晩年のキーン氏が人との温もりを求めていた姿はまるで雅己氏を恋人のように接する様子。そして幼き日の辛い家族との日々、愛犬ビンゴ、妹の病死、両親の離婚による父との別れなどは、ビンゴのことを除き語りたくなかったという!また雅己氏に語ったマリリン・モンローに殺到する人々の先頭で衝突しそうになり、結果的に抱擁してしまったという逸話は笑える!

Posted byブクログ