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モーツァルトは「アマデウス」ではない の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/11/06

モーツァルトは生前「アマデウス」と名乗ったことも署名したこともないということは、著者が2004年に出版した「反音楽史」に既に書いていたが、今回はそれをメインテーマとして、新たなモーツァルト像を描くことを試みた本と言える。 著者が本書を書いたのは89歳の時で、高齢にも関わらずこれ...

モーツァルトは生前「アマデウス」と名乗ったことも署名したこともないということは、著者が2004年に出版した「反音楽史」に既に書いていたが、今回はそれをメインテーマとして、新たなモーツァルト像を描くことを試みた本と言える。 著者が本書を書いたのは89歳の時で、高齢にも関わらずこれだけの文章を書くのは立派である。また、文章の面白さはさすがで、数十年前の頃の文体と変わることなく面白く読めた。 だが、モーツァルトはアマデウスと署名したことも、名乗ったことはないということが何度も出てきて、重複・交錯するため、構成がごちゃごちゃしている感もあった。 サリエリによる毒殺説は、近年では大多数が否定的立場を取っているが、本書では肯定するような書き方をしている。それが、面白さを優先させるためにそうしたのか、あるいは本心からそう思うようになったのか(かつては石井氏も否定していた)が気になる所である。 新書なので、門外漢も手に取ることがあるかもしれないが、これはモーツァルト入門書では決してない。モーツァルトの評伝を何冊か読んでいないと、偏ったモーツァルト像を形成しそうである。モーツァルト・ファンにはお勧めである。

Posted byブクログ

2021/10/23

面白い人には,とっても面白い本だと思うけど,興味がない人にはまったくつまらないだろう.文章はくせのない平易な文体で構成もしっかりしていて,よかった.

Posted byブクログ

2020/08/07

 ヴォルフガング・モーツァルトのミドルネーム「アマデウス」が本来の名前ではなく、イタリア旅行以降にイタリア語風の「アマデオ」ないしフランス語風の「アマデ」と自称したのに由来する、という事実自体は、過去の伝記や書誌にも記述されていることで、一般には洗礼名「テオフィリス」のラテン語訳...

 ヴォルフガング・モーツァルトのミドルネーム「アマデウス」が本来の名前ではなく、イタリア旅行以降にイタリア語風の「アマデオ」ないしフランス語風の「アマデ」と自称したのに由来する、という事実自体は、過去の伝記や書誌にも記述されていることで、一般には洗礼名「テオフィリス」のラテン語訳と捉えられているが、本書では「アマデウス」はドイツ語で、その伝播・定着要因をドイツ国民国家形成過程の文化人らによる「創られた伝統」に求めている。モーツァルト研究の大家であったヤーンやケッヘルが「ヴォルフガング・アマデ・モーツァルト」と表記していたという指摘は重要だが、他方モーツァルトが「アマデ(アマデオ)」の名に固執した背景や、ウィーンの楽壇事情などの分析は、文学畑だからで済ますには史料操作が恣意的で「思い込み」の激しさが気になる。サリエリによる「毒殺説」やコンスタンツェとジュスマイヤーの「不貞説」など、今日ではほぼ否定されている旧説に無頓着な点も問題だろう。

Posted byブクログ

2020/06/07

映画『アマデウス』によって、モーツァルトの名前は“ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト”とぼくの頭にインプットされてしまったので、今更“それは違う”というタイトルの本書を見て目が点になった。種を明かせば、生前モーツァルトはアマデーオ(もしくはアマデ)という名を使っており、アマ...

映画『アマデウス』によって、モーツァルトの名前は“ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト”とぼくの頭にインプットされてしまったので、今更“それは違う”というタイトルの本書を見て目が点になった。種を明かせば、生前モーツァルトはアマデーオ(もしくはアマデ)という名を使っており、アマデウスという名は彼の死後から使われるようになったらしい。なぜそうなったかは、本書を読んで納得できた。映画とは異なる本当のモーツァルトの姿がわかった気がする。

Posted byブクログ

2020/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

刺激的なタイトルの問いを軸にモーツァルトの生涯を追う。冒頭の謎の提示はたしかに興味がそそられるけれど、中盤以降はちょっと長いなあと感じたのでした。昔も今も人間は変わらなくて、もてはやされればそれを羨む人が出てくるし、才能があるがゆえに孤独を感じてしまう。結局、ドイツという国の対面を守りたいと考えた人たちのせいで「アマデ」ではなく「アマデウス」になった。

Posted byブクログ

2020/03/07

あっという間に読み終えた。モーツァルトが不遇であり続けながら、それでもへこたれず名曲を生んだのは、何が彼のモチベーションだったのだろう。アマデウスという言葉からドイツへの嫌悪感、というか人との関わり合いが下手?というか負けん気があの優れた名曲を作り上げたかと思うと不思議な気がする

Posted byブクログ