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ホームドアから離れてください の商品レビュー

3.8

10件のお客様レビュー

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2024/03/07
  • ネタバレ

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楽しい話ではなかった。悪い意味ではなくて。 ちょっと入り込めない部分もあったけど。 中学生の部活や学校のヒエラルキーや人間関係がリアルで、考えさせられた。 先輩たちサイドでは、舐められたくない下に見られたくないという気持ちから、理不尽な怒りが生まれてしまったり。でもその怒りは理不尽なものなのに、本人たちからしたら怒りに間違いないだろうということ。外野(小説内ですらない)はどうにもできないが、もし正論をぶつけたとしても、きっと彼らの苛つきは増すだろうというどうしようもなさ。 そして、その理不尽な怒りをぶつけられる立場になってしまった弱い立場の人たち。その人たちが抱える怒りや辛さも、怒りや辛さで間違いない。 どうしてそうなってしまうんだろうとは思うけど、思春期の学生たちの中では生まれてしまうものなんだろうということが、ずっと重い。 温故知新。過去を振り返って知見を得ること。大人になった今だからこそ大事だなぁと思った。 そうして大人になった人たちが顧みて生活することで、いつかの未来の学生たちの生活が少しでも辛いものでなくなるといいなぁ。 自覚の有無に関わらず、みんな加害者であり被害者だろう。そう改めて思える話だった。

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2025/03/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

学校に行かなくなったからといって、卒業したからといって、辛いものと離れられたわけじゃない。 むしろ、変化していく周り(もしくは、かつての自分)と自分の差を感じて苦しくなることだってある。特に苦しいのは、自分自身のことを信じられなくなったことじゃないかな。 それを不登校だとか、逃げだとか言ってくる周りとさえ彼らは闘わないといけないんだよ。

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2022/06/14

著者名は余程有名中の有名人しか記憶に残らない自分。この本の著者名に記憶が無くても不思議には感じなかったのだが、中々読み出があったなぁ!と感じつつ著者紹介文まで来て、大学生が現役のまま仕上げた作品と知った。運動部内で発生したイジメは、消えることなく、綺麗事では終わらず、連綿と引き継...

著者名は余程有名中の有名人しか記憶に残らない自分。この本の著者名に記憶が無くても不思議には感じなかったのだが、中々読み出があったなぁ!と感じつつ著者紹介文まで来て、大学生が現役のまま仕上げた作品と知った。運動部内で発生したイジメは、消えることなく、綺麗事では終わらず、連綿と引き継がれながらも、主人公達は自分たちの時間軸を生きていく…。骨太。凄い。

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2021/05/16

前半の閉塞感がしんどかった。 書いた人が若いだけに、リアリティがあった。 ラストの持って行き方はよかった。

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2020/09/02
  • ネタバレ

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作者の実体験かと思うほどリアル。そして後半に出てくる家庭教師の大学生。彼の話も作者の中では用意されているような気がする。

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2020/07/03

中学の柔道部に入部したダイスケと、コウキ。 初心者の二人が入部した理由。 それは「強くなりたい」「取り柄がほしかった」 先輩たち、同級生のレギュラー争奪戦。 そのため、部内に流れる重く粘りのある嫌な空気に 誰もが押しつぶされそうになっていた。 そこから生まれた悲劇。 その後の...

中学の柔道部に入部したダイスケと、コウキ。 初心者の二人が入部した理由。 それは「強くなりたい」「取り柄がほしかった」 先輩たち、同級生のレギュラー争奪戦。 そのため、部内に流れる重く粘りのある嫌な空気に 誰もが押しつぶされそうになっていた。 そこから生まれた悲劇。 その後のダイスケの新しい出会いから 明るい未来が見えるようだった。 何が本当の強さなのか。 ダイスケとコウキの笑顔が増えるといいな。 描写(タキノ・多機能携帯端末)に少し戸惑いがあったけれど 終盤、カタカナ表記はダイスケにとっては重大なことなのだろうと 納得した。

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2020/06/14

親友のコウキがマンションのベランダから飛び降りた。そして、僕は学校に行くのをやめた。そんなとき、新聞の記事で紹介されていた「空色ポスト」の存在を知る。新宿御苑にひっそりと設置されている、手紙ではなく写真を運ぶポストだ。このポストをきっかけに、僕は外の世界への一歩を踏み出すことにな...

親友のコウキがマンションのベランダから飛び降りた。そして、僕は学校に行くのをやめた。そんなとき、新聞の記事で紹介されていた「空色ポスト」の存在を知る。新宿御苑にひっそりと設置されている、手紙ではなく写真を運ぶポストだ。このポストをきっかけに、僕は外の世界への一歩を踏み出すことになり…。 自分の適性を正確に見極めて、早い段階から相応しい道を選択出来る。そんな人間はごく一部だ。 てんで畑違いの分野に足を踏み入れてしまい、失敗や回り道を繰り返しながら自身を見極めていくのが世の常なのに、中学入学と同時に柔道部へ入部した初心者コンビのダイスケ(主人公)とコウキは、「失敗」で片付けるには余りにも酷すぎる屈辱を受ける。 初めはそこそこ優しかった先輩が、2人に苛立ちの矛先を向けていく過程や、道場内に少しずつ澱んでいく悪意がリアルで苦しい。 部活の帰り道に歩道橋の上で二人語らう時間が互いを支え続けていたのに、最悪の形で友情を引き裂かれて、引き籠るしかなくなったダイスケの心情がやるせない。 スマホを敢えて「タキノ」と呼び(=多機能携帯端末の略)、柔道部員からの悪意溢れるメールと担任からの偽善メールに耐えかねて、とっとと解約してしまうダイスケは、無意味な繋がり手段よりも、不思議な縁の象徴とも言える「空色ポスト」に心惹かれる。 ここからの展開がとてもいい。 ミキ・ハジメさん・ホンダ先生とのやりとりも、ダイスケがポストに投函した写真も、ダイスケのもとに届いた写真も、全ては刹那的な戯れのように思えるが、ダイスケの中に確かな何かを残していく。 そうしてラストがやってくる。 要所要所でこみあげるもののある小説だったが、ラストはもう涙が後から後から溢れて止まらなかった。 とても素敵な小説だった。

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2020/03/21

会話のカギカッコあるのとないのと、聞こえるか聞こえないかの言葉の使い分け。人名や「タキノ」など、カタカナで記号のように表現することの使い方、とても新鮮。心の中の繊細な表現、それがよく伝わる。はっきりとは書かれてないが2人の少年の家族達の交流が推測され、その優しい気持ちが大人にだけ...

会話のカギカッコあるのとないのと、聞こえるか聞こえないかの言葉の使い分け。人名や「タキノ」など、カタカナで記号のように表現することの使い方、とても新鮮。心の中の繊細な表現、それがよく伝わる。はっきりとは書かれてないが2人の少年の家族達の交流が推測され、その優しい気持ちが大人にだけは分かるよ、って伝わることが素敵。表紙の絵、とびらの絵がナイスです!読み終えて見直すとぐっときます。本のデザインなど作家自身、良い人に恵まれていると感じました。帯も。 デビュー作だが、これから楽しみです。

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2020/02/22

スマホをタキノ(多機能携帯端末)というなど、言葉や表現方法にこだわりのある作家さんなのかな?と思いました。 途中でやや中だるみ、飽きそうになりましたが、最後は爽やかな終わり方でした。最後まで読み続けてよかったです。 主人公と両親の会話から、若い作者さんらしい、現代の家族像を感じま...

スマホをタキノ(多機能携帯端末)というなど、言葉や表現方法にこだわりのある作家さんなのかな?と思いました。 途中でやや中だるみ、飽きそうになりましたが、最後は爽やかな終わり方でした。最後まで読み続けてよかったです。 主人公と両親の会話から、若い作者さんらしい、現代の家族像を感じました。

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2020/02/07

現役大学生のデビュー作というよりもタイトルが気になったので購入。 Amazonより 「ダイスケは、親友コウキの自殺未遂をきっかけに引きこもっている中学2年生。 柔道部でのいじめの矛先が2人に向かい、コウキを追い詰めたのだ。 その後転校したコウキとは会っていない。 そんな中ダイ...

現役大学生のデビュー作というよりもタイトルが気になったので購入。 Amazonより 「ダイスケは、親友コウキの自殺未遂をきっかけに引きこもっている中学2年生。 柔道部でのいじめの矛先が2人に向かい、コウキを追い詰めたのだ。 その後転校したコウキとは会っていない。 そんな中ダイスケは、新聞で知った「空色ポスト」に通うようになる。 写真を投函すると、自分の家にも誰かが撮った写真が届けられるのだ。 写真を撮り始めたダイスケは、謎の女子高校生ミキやその彼氏、家庭教師の先生と交流を重ねる。 彼らと出会い別れる中で、ダイスケは昔の自分と向き合うようになった。 数年後、空色ポストの写真展に招待されたダイスケが遭遇する信じがたい奇跡とは…! 」 冒頭は、ある写真展からのご案内で始まります。 どういう意味?と思いながら、別の話へ。 主人公・ダイスケは、中学時代のあることがきっかけで不登校になってしまいました。中盤までは、きっかけとなった中学の柔道部で起きたことが詳しく書かれています。少々間延びしてしまいますが、その反面、主人公の心情が丁寧でした。主人公の視点で物語は進行するのですが、主人公の心情がダイレクトに文章に表れているように感じました。 というのも普通なら漢字に変換できるところを平仮名にしたり、文字の区切り方もあまり「、」を使わずにしています。 最初は、読みにくいなと感じましたが、主人公の心の内とリンクしているのかなと思いました。 特に主人公の心情のところで、垣間見えるので、これはあえてわざとしたのかなと思ってしまいました。それだけ心の内が複雑ということが窺えます。 他にも回りくどい表現や独特な表現があり、より主人公の性格が見え隠れしているなと思いました。 いじめのシーンは、胸が痛い思いでした。特に決定打となったシーンは、読んでいる間、頭の中では無音になりました。時間が止まり、紙の本ならではの文字の表現が涙を誘ってしまいました。 その後は、「写真」と出会うことで、主人公は一歩一歩前進していきます。最後の写真展のシーンは、感動モノでした。BGMにしっとりとしたピアノの音色が流れると、もうアウトです。さらに表紙の歩道橋とリンクすると、じわじわとグッときてしまいました。 ちなみに題名ですが、後半でその意味が明かされます。解釈が深いなと思いました。過去を知った後に意味を噛みしめると、じんわりと来るので、ぜひ体験してみてください。 計算されている?構図や文章の表現が新鮮で、デビュー作ということですが、今後が楽しみです。

Posted byブクログ