雲の果 の商品レビュー
弥勒シリーズ第8弾。 同心・信次郎が「遠野屋の正体が死神であっても人であっても、かまやしねえよ。おれにとっても親分にとっても重宝な男」と言うように遠野屋清之介をとことん利用する信次郎。 「おもしれえじゃねえか。どうして、こちとらの仕事にこうも絡みついてくるんだ。しかも尋常じゃねえ...
弥勒シリーズ第8弾。 同心・信次郎が「遠野屋の正体が死神であっても人であっても、かまやしねえよ。おれにとっても親分にとっても重宝な男」と言うように遠野屋清之介をとことん利用する信次郎。 「おもしれえじゃねえか。どうして、こちとらの仕事にこうも絡みついてくるんだ。しかも尋常じゃねえ妙に血腥い事件に限ってだ。性として血の臭いにひかれちまうとしか思えねえな」と信次郎が言うように事件は必ず遠野屋がらみだ。 今回は最後までハラハラ・ドキドキとスリル満点の話だった。たっぷり楽しませて頂きました(笑)
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本シリーズで、純粋にミステリーとして楽しんだ感覚が大きかったように思う。これまでは信次郎の毒の強さにひりひりとしながら読んでいた。彼の毒がどのように周囲の人にまわっていくのか、浸潤という言葉が似合うような、毒の回り方にひりひりとしながら読んできたが、今作では、彼の毒も八方に撒き散...
本シリーズで、純粋にミステリーとして楽しんだ感覚が大きかったように思う。これまでは信次郎の毒の強さにひりひりとしながら読んでいた。彼の毒がどのように周囲の人にまわっていくのか、浸潤という言葉が似合うような、毒の回り方にひりひりとしながら読んできたが、今作では、彼の毒も八方に撒き散らされたわけでもないように思った。読者として不快に思うことがなかった。怪しいと思われる登場人物に焦点化した毒、これまでと少し違うような。そのせいか、清之介が謎に向かって積極的に動いたようにも思う。まぁ、番頭の死が絡んでいるのだから、店の主として関わらざるを得ないのかもしれないが、それでも、これまでになく事件への関わりが積極的であったような。 遠野屋の商いも上手く進んでいるので、破綻をきたさないように予防の意味もあったのか。 終末の味わいは、そうですね、宮部みゆき・京極夏彦のテイストもちょっと感じそう。 これまでは、求めていないのに、そう、仇敵という言葉が似合うのに関わってしまう二人だったのが、今作では、互いに求めあっていることを感じさせるような。そこが、これまでとは違う読み易さを感じさせたのかもしれない。 これまで、信次郎はそのキャラクターの強烈さから私自身の胸の内で映像化が拒否されていたが、今作、なんとなく映像化も可となるような、そんな信次郎の柔らかさを感じたのでした。
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謎解きメインの内容で、面白い。大人の事情って怖いなと思った。手がかりを残さないためには手段を選ばない描写が印象的だった。
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あぁ、信次郎のなんとゾクゾクすることか。 おふじさんの、衣の下に刃を隠し持つ男にそそられる、っていうのがピンポイントに信次郎や遠野屋にそそられる気持ちを表してるな、と思う。 視線でチリチリ首元に感じる親分に私はなりたい笑 今回は事件も魅力的だったが主人公3人のキャラがすごくよく...
あぁ、信次郎のなんとゾクゾクすることか。 おふじさんの、衣の下に刃を隠し持つ男にそそられる、っていうのがピンポイントに信次郎や遠野屋にそそられる気持ちを表してるな、と思う。 視線でチリチリ首元に感じる親分に私はなりたい笑 今回は事件も魅力的だったが主人公3人のキャラがすごくよくでていたと思う。 サラッと遠野屋とタッグ組んじゃうあたりも段々2人の距離が馴染んできた証拠でとても好ましかった。 2022.10.10 155
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
弥勒シリーズ第八弾 この夏休み、憑かれたように読み耽っている弥勒シリーズ。今回も一気に読んでしまった。清之助がどんどん、信次郎の事件解決のための懐刀的な存在になってきてはいないだろうか。清之助の叶えたい望みというのが、信次郎を看取ることだというのも、自分の生末を、信次郎の存在を勘定に入れて、腹をくくった末に出てきた言葉に思えた。 このシリーズ、ますます目が離せなくなる。
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第八弾 焼け跡から切り殺された身元不明の女の焼死体と帯の焼け残り 真相を探っていく行くうちに焼けた仕舞屋の持ち主、亡くなった隠居と画家志望の若旦那と商売根深な木のような嫁 遠野屋の亡くなった番頭の線から手がかりが 背後にはある版画災害時に金を稼ぐために行っていた江戸での強盗 捨て...
第八弾 焼け跡から切り殺された身元不明の女の焼死体と帯の焼け残り 真相を探っていく行くうちに焼けた仕舞屋の持ち主、亡くなった隠居と画家志望の若旦那と商売根深な木のような嫁 遠野屋の亡くなった番頭の線から手がかりが 背後にはある版画災害時に金を稼ぐために行っていた江戸での強盗 捨て去りたい秘密のために殺人を、悲しい物語が背景に
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著者が時代小説も書いているとは知らなかった。登場人物のキャラクター設定がしっかりして、且つ、ミステリーの要素も入っているお得な?時代小説。シリーズの他の作品もまた読んでみます。
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信次郎のことを、「情を欠いた人は人でなくなる」と伊佐治は腹の中では思っているが、信次郎も伊佐治の問いかけには、うるさい爺だと言いながらも少なからず応じている。その何とも言えない掛け合いの間が面白い。読者は信次郎の口から出るであろうその先の謎の解きあかしを期待しながら待っているので...
信次郎のことを、「情を欠いた人は人でなくなる」と伊佐治は腹の中では思っているが、信次郎も伊佐治の問いかけには、うるさい爺だと言いながらも少なからず応じている。その何とも言えない掛け合いの間が面白い。読者は信次郎の口から出るであろうその先の謎の解きあかしを期待しながら待っているのである。伊佐治ではないが、「旦那!早くその先を言ってくだせい!」と思わず言いたくなる。今回の作品も良い意味で見事に裏切ってくれた。 この作家の結末に辻褄を合わせる筋書きは流石である。
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弥勒シリーズ第八弾。 遠野屋の元番頭が亡くなった。遺品の中にあった変わった手触りの帯。 それは、火事場で死体で見つかった女の元にあった燃えかすの帯と同じ織のものだった。 事件を追う信次郎と伊佐治、そして遠野屋の清之介。 今作は遠野屋の過去については控えめで、シンプルにミステリー作...
弥勒シリーズ第八弾。 遠野屋の元番頭が亡くなった。遺品の中にあった変わった手触りの帯。 それは、火事場で死体で見つかった女の元にあった燃えかすの帯と同じ織のものだった。 事件を追う信次郎と伊佐治、そして遠野屋の清之介。 今作は遠野屋の過去については控えめで、シンプルにミステリー作品として引き込まれ楽しめたように感じます。
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清之介の夢、叶うのか、追いかけ続けたい。 それほど、小暮信次郎との関係が絶妙過ぎて。 自身ですら見えない心根の部分が、お互い干渉しあうことであぶり出される感じがたまらない。
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