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自由の命運(下) の商品レビュー

4.2

12件のお客様レビュー

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2023/05/30

個々の事例は分かるけど、全体的に何が言いたいかちょっと分かりにくかった。ただ、今現在でも民主主義で自由を享受できる国はかなり少ないのはわかったし、日本ももちろん問題は山積だけど、それでもかなり恵まれてるなと思う

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2023/05/29

同じ著者による前著「国家はなぜ衰退するのか」では、リベラル・デモクラシー+自由主義経済が発展するために必要である一方、強権的政治による収奪的な経済制度が衰退に繋がることを説明したが、続編である本著は同様な主張をさらに精緻化して提示している。具体的には後者にも集権的独裁制度や社会主...

同じ著者による前著「国家はなぜ衰退するのか」では、リベラル・デモクラシー+自由主義経済が発展するために必要である一方、強権的政治による収奪的な経済制度が衰退に繋がることを説明したが、続編である本著は同様な主張をさらに精緻化して提示している。具体的には後者にも集権的独裁制度や社会主義計画経済、農奴制、無政府状態といった様々なパターンがあり、強権的政治による収奪的経済制度と一括りに説明するには無理があるということである。そこで本著では「国会」と「社会」の力関係の組み合わせという枠組みを提示している。この枠組みにより「衰退する」国家の様相を精緻に説明するととも、「繁栄する」リベラル・デモクラシー+自由主義経済の国家も安泰ではなく、「国家」と「社会」の力関係が変われば、「衰退」する側になりうることを古今東西の豊富な事例を挙げて説明している。

Posted byブクログ

2023/03/25

Amazon Audible にて。ワイマール帝国の民衆がなぜ自ら主権を手放してしまったのか、とか、日本の戦後の民主化が成功した理由、とか、上巻よりも興味が惹かれるテーマが多かった。日本の民主化はエリート層の取り込みがカギだった、と言う話みたいだから、あまり胸を張れるような例では...

Amazon Audible にて。ワイマール帝国の民衆がなぜ自ら主権を手放してしまったのか、とか、日本の戦後の民主化が成功した理由、とか、上巻よりも興味が惹かれるテーマが多かった。日本の民主化はエリート層の取り込みがカギだった、と言う話みたいだから、あまり胸を張れるような例ではないけど。 スノーデンについても触れられていて、彼がなにを暴露したのかがようやく理解できた。国家による国民の監視はテロとの戦い云々なんだけど、そもそもアメリカの国家の成り立ちから踏まえないといけないと。 国家と社会それぞれが力を持ち、共に影響を与え合いながら自由を維持していけるよう、赤の女王効果を保っていくことの重要性は理解できた。上下巻と長いんだけど主題が分かりやすいから読みやすくはあると思った。

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2023/03/05
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※このレビューにはネタバレを含みます

人類の歴史において稀有な「自由を獲得した社会」が、どのように生まれるのかについて考察した本。 誰もが自由を享受したいと思っているが、享受できない国・地域で暮らす人は多いし、享受できている国で暮らす人も、それが続く保証はどこにもない。(本書で紹介される不自由を強いられる人々の話を読むと、自由がいかに稀有かを痛感させられる)そう考えると、本書のテーマは非常に意義深い。 自由を獲得した社会は、国家と社会の力が均衡する狭い回廊内にしか存在しないという本書の結論は、国家が暴走しないように社会が監視し続けなければならず、自由の獲得は不断なく続くプロセスであることがよく理解できる。 一方、本書末尾の『解説』でも指摘されているように、”社会”の概念がやや抽象的で整理しきれていないように感じた。”社会”には、国家に対抗する”民衆(非エリート)の力”とインドのカースト制のような”社会規範”の両方が含まれてしまっているようで、それが混乱の原因だと思う。おそらく、国家が力を持つ過程で”社会規範”は弱まり、”民衆の力”が強まっていくというイメージなのだと思うが、そのグラデーションを”社会”という言葉だけで表現するのは厳しいのでは。

Posted byブクログ

2021/12/23

下巻は、各種リヴァイアサン(政治権力)のうち、インド、西欧(近代)、アメリカ、中南米、アフリカ、現代スウェーデンの事例を紹介するとともに、理想の国家体制についての取りまとめとそのための方策を紹介。

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2021/11/13
  • ネタバレ

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考えさせられるのは、 狭い回廊(足枷のリバイアサン)に入る国はこれから増えるのか 狭い回廊に入らずに発展する国は今後出てくるのか 我が国は狭い回廊に留まれるのか というところです

Posted byブクログ

2021/05/29

民主的で自由な社会(足枷のリヴァイアサン)は歴史の必然ではなく国家と社会との絶え間ない競争と緊張関係(赤の女王効果)によって辛うじて成り立っているのだというモデルが新鮮だった。豊富な実証はこのモデルへの説得力を生む一方様々な疑問も湧いてくる。

Posted byブクログ

2021/05/14

下巻では地域別の例として、インド、スイス、ロシア、アメリカ、南米などの国々が取り上げられているが、いずれにしてもリヴァイアサンの狭い回廊の範囲を保つバランス、すなわち国家による社会への強制を、強め過ぎず緩め過ぎずの状態に保つことの重要性を理解した。 「プロイセンは軍隊を持つ国...

下巻では地域別の例として、インド、スイス、ロシア、アメリカ、南米などの国々が取り上げられているが、いずれにしてもリヴァイアサンの狭い回廊の範囲を保つバランス、すなわち国家による社会への強制を、強め過ぎず緩め過ぎずの状態に保つことの重要性を理解した。 「プロイセンは軍隊を持つ国家にあらず。国家を持つ軍隊である(ヴォルテール)」p62 「合衆国の経済成長には多くの不平等が伴い、南北戦争以前の奴隷だけでなく、人口の特定の階層が、経済成長の恩恵から完全に取り残されてきた」p122 「中東の規範の檻の下では、専横者を批判することがとても難しい。なぜなら専横者がイスラム代表を自認しているからだ。専横者を批判することは、すなわちイスラムを批判することになる」p238 「過去30年間の技術変化とグローバリゼーションが、限られた人々を豊かにした反面、先進国の多くの市民がごく限られた経済的利益しか得ていないことは紛れもない現実であり、そのことが大きな不満の種になっている」p285 「不平等、失業、生産性と所得の伸びの低迷、制度への信頼喪失、これらの要因は、大恐慌期の政治的不安定を生む土壌となった。今日の先進国経済を取り巻く危機は大恐慌ほど極端ではないものの、共通点を考えると、うかうかしていられない」p372 「スウェーデンから得られる教訓は明らかだ。妥協を図り、足枷のリヴァイアサンと新しい政策を支持する幅広い連合を築く方法を考えよ」p374 「われわれは、そろって腹をくくらねば、別々に首をくくられるのみである(ベンジャミン・フランクリン(1776年))」p389 「もし個人の自由を大切にする社会を実現したければ、「狭い回廊」に入り、そこからそれないようにしなければならない」p399

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2020/09/10

スミマセン、お腹が一杯です。世界各・古今東西、まあよく調べたもんだ。「専横のリヴァイアサン」「不在のリヴァイアサン」「足枷のリヴァイアサン」の3本建てに終始するかと思いきや、回廊の形状が変化する主題図が出てくるわ、「張り子のリヴァイアサン」が中途参画するわで、最後まで息をもつかせ...

スミマセン、お腹が一杯です。世界各・古今東西、まあよく調べたもんだ。「専横のリヴァイアサン」「不在のリヴァイアサン」「足枷のリヴァイアサン」の3本建てに終始するかと思いきや、回廊の形状が変化する主題図が出てくるわ、「張り子のリヴァイアサン」が中途参画するわで、最後まで息をもつかせぬ展開であったー。

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2020/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

いろいろなリヴァイアサンの例があり、勉強になります。 不在のリヴァイアサン インドカーストダリット、モンテネグロ、タジキスタン、足枷のリヴァイアサン スイス ポーランド コスタリカ 南アフリカ 日本、ナイジェリア 専横のリヴァイアサン プロイセン ソ連ロシア グアテマラ サウジアラビア、張り子のリヴァイアサン 官僚機構が回っていない アルゼンチンのニョッキ コロンビア リベリア、ジンバブエ アメリカの民主主義は南北妥協の産物故、人種問題は尾を引いている。 一旦足枷のリバイアサンに入っても抜け落ちることがある ポピュリズム ワイマールからナチへ、チリ、イタリアの都市国家、ペルー、ベネズエラ、エクアドル、トルコ、 マルティン・ニーメラーの詩:彼らがユダヤ人を襲った時、私は声を上げなかった 私はユダヤ人でなかったから。

Posted byブクログ