幼な子の聖戦 の商品レビュー
はじめての作者。 2作目の「天空の絵描きたち」がよかった。知らない世界に生きる人たちの仕事に対する真剣さが心地いい。
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「幼な子の聖戦」――人妻との逢瀬を楽しみながら、親元で暮している「おれ」は青森県の小さな村で村議をしている。「おれ」は県議に人妻の件で決定的な弱みを握られ、立候補した同級生への選挙妨害を強いられる。疲弊した村の現実と、地元を愛する同級生の熱い演説。小さな村の選挙戦は、思いもかけぬ...
「幼な子の聖戦」――人妻との逢瀬を楽しみながら、親元で暮している「おれ」は青森県の小さな村で村議をしている。「おれ」は県議に人妻の件で決定的な弱みを握られ、立候補した同級生への選挙妨害を強いられる。疲弊した村の現実と、地元を愛する同級生の熱い演説。小さな村の選挙戦は、思いもかけぬ方向へと――。 ○「天空の絵描きたち」――安里小春(あさと・こはる)は、ビルの窓拭きを専門にする会社に転職したばかりだった。仕事を理由に彼氏と微妙な関係にあるが、小春は仲間同士で文字通り命を預けて仕事をする緊張感にのめり込んでいる。ある日、ビル内の盗難事件が原因でリーダーのクマさんこと権田が責任者を下ろされてしまう。クマさんにひそかに憧れていた小春は、思い切ってクマさんを焼き鳥に誘うが……。
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幼な子の聖戦 キリストの墓があることで有名な?新郷村が舞台の話。前々から行きたいと思っていたところだが、ここが舞台となっている小説を先に読むとは思わなかった。 主人公の「おれ」気持ちの変化が激しいかつ唐突過ぎて、もう少し丁寧に書いてほしかった。また、「おれ」と仁吾を対比させるためなのかもしれないが、下品な感じの下ネタ描写がやたら多かったのも気になる。内容、展開は自分の好きな感じだったので、もったいない気分である。 天空の絵描きたち 古市憲寿の「百の夜は跳ねて」に続くビルの窓拭き物語。こちらの方が窓拭きの仕事がよく分かる。(ちなみに「百の夜は跳ねて」はゴンドラの窓拭きのみしか登場しなかったが、こちらはロープの窓拭きも登場する)職人たちの危険な仕事に対する葛藤や熱い想いが迫力を持って伝わってきた。こちらの作品の方が個人的にはよかった。
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芥川賞候補となった幼な子の聖戦は地方の村長選挙をモチーフにした作品。南部弁が入り混じり、声にだして読みたい作品だった。田舎の選挙なんてこんな感じで工作やお金のやり取りがあるんだろうなというリアルな雰囲気が良かった。また人妻クラブなんて言葉も出てきて、官能小説ではないものの、こんな...
芥川賞候補となった幼な子の聖戦は地方の村長選挙をモチーフにした作品。南部弁が入り混じり、声にだして読みたい作品だった。田舎の選挙なんてこんな感じで工作やお金のやり取りがあるんだろうなというリアルな雰囲気が良かった。また人妻クラブなんて言葉も出てきて、官能小説ではないものの、こんな下世話な部分もありながら文学賞の候補に挙がるということは、個人的には文学や小説なんてそんな大層なものではなく、エンタメの1つということを感じさせてくれる作品だった。小説は敷居が高くない手軽なエンタメ、趣味の1つだと感じることができてよかった。 天空の絵描きたちはいっぺん変わって都会を舞台にしたビルの窓拭きの話。この世にはいろんな職業があり、自分が知らない、詳しく分からない仕事が沢山あるがその中の1つを取り上げていたのが、新しいことを知れて嬉しかった。
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40代の村議の男を主人公に、青森の小さな村で起きた村長選挙を描く。 「おれ」の情けない様子にハラハラしながらも、 どこか笑ってしまう。 併録されている『天空の絵描きたち』も良かった。 ガラス清掃会社で「窓拭き」の仕事を受け持つ安里小春(あさと・こはる)と社員たちの職人としての誇り...
40代の村議の男を主人公に、青森の小さな村で起きた村長選挙を描く。 「おれ」の情けない様子にハラハラしながらも、 どこか笑ってしまう。 併録されている『天空の絵描きたち』も良かった。 ガラス清掃会社で「窓拭き」の仕事を受け持つ安里小春(あさと・こはる)と社員たちの職人としての誇りが描かれている。 ビルの窓を拭く人、地上でその作業を見守る人、見ている風景はそれぞれ違う。 読み終えた日に「下見張り」をする人を見かけた。
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表題作がめちゃくちゃ面白い。村長選で暗躍する主人公の気持ちがあちこちに行ったり来たりする感じがとてもリアルで面白い。また主人公がヘタれなようでいて、したたかなものが根底にあって頼もしい。 目当てだった収録作『天空の絵描きたち』は登場人物があまり活き活きとしたものと感じられなかった。女性を主人公にしたのが難しかったのではないだろうか。また登場人物が多くて名前が出てきても誰だかよく分からず、前に戻って確認しながら読んだ。 この小説がネタ元だったという古市憲寿さんの小説も読んでみたい。
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