旅の断片 の商品レビュー
前から読みたかった本。 上手く言えないけど、正直さと透明感があるいい本だった。 特に花の玉座が好き。
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ひとつ一つの旅に添えられた最後の一文に、 ちょっと笑ってしまったり、 シンみりしちゃったり、 どんでん返しのようで、 たまらなく好きです。 旅したいな。
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各国の旅のエッセイだが静かに時が過ぎていく、読んでいる人に癒しの時間に、その国のいい面や自分ならもう2度と行けない国だからガツガツ予定を組んで頭パンク状態の画面や音など詰め込んでそれでも満足できずにリフレッシュすら皆無の旅行と違い、海外旅行なのに現地の周辺を散歩するかの様に、また...
各国の旅のエッセイだが静かに時が過ぎていく、読んでいる人に癒しの時間に、その国のいい面や自分ならもう2度と行けない国だからガツガツ予定を組んで頭パンク状態の画面や音など詰め込んでそれでも満足できずにリフレッシュすら皆無の旅行と違い、海外旅行なのに現地の周辺を散歩するかの様に、また次回にも行く事を想定したゆったりとした内容みたいに感じられる。そしてパートナーと一緒にいるのが伝わるが存在を感じないので余計な情報も入らない。ひとり旅の雰囲気なので個人的にひとり旅のエッセイが好みなのかも知れない。
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旅に中々いけない。 行ったとしても、観光地だろう。 自分の人生におそらく触れないものを他者の目を通じて知り、感じることができるのは読書の醍醐味だと。
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旅先を決めるときって、ここに行きたいだとか、あれがしたいだとか、だいたいにおいてメインとなるものがある。でも行ってみたら、それとはまた別のところで不意に感動する景色に出会ったり、人の優しさに触れたり、はたまたアクシデントが起こったり、旅のハイライトは意外とメインにしていたものと違...
旅先を決めるときって、ここに行きたいだとか、あれがしたいだとか、だいたいにおいてメインとなるものがある。でも行ってみたら、それとはまた別のところで不意に感動する景色に出会ったり、人の優しさに触れたり、はたまたアクシデントが起こったり、旅のハイライトは意外とメインにしていたものと違った、ということが往々にしてある。この本は、著者にとってのそういう“断片”たちがいっぱい集まっていた。華やかさはないけれど、すっと心に沁みるような景色。心温まる出会い。注意しておかないと通り過ぎてしまうような、ささやかなものまで。著者の優しい心のフィルターを通して見るその断片たちが、すーっと心に流れていって、ああ、旅っていいなあ、と思う。そこにしかない景色があって、そこに住む人々がいて、それらに出会う。とてもシンプルだけど、なんて心の動く素敵な断片なんだろう、と。 すごく心に留まった言葉があった。 なぜ私は今、この駅を後にして先に進まなければならないのだろう。(p.312) 単純な、素朴な疑問。わたしの中にも幾度となく現れた類の疑問だけど、現実的な答えがすぐに浮かぶから、いつも一瞬で消えてしまう。著者がその一瞬の思いを書き留めて、教えてくれた。過去も未来も切り離して、立ち止まって今だけを見つめると、思うのだ、この幸せな時間を置き去りにして、なぜ進まなきゃいけないの?現実はそんなこと言ってられないってわかっている。これは、その瞬間だけの気持ち。自分の立っている場所を確認しているだけ。忙しなく過ぎていく時間に流されて、自然に湧き上がる自分の気持ちを見過ごさないようにしよう。 それにしても、あああ、もっともっと、いろんな世界が見たい。 ただ美しい。ただそれだけで美しいものなんて人間にはつくれないでしょう。(p.165) 自然の美しさとか力強さって、そういうことなのか。なんの計算もない美しさ。でも人間がつくったものには、その人の思いが込められていて、それもまた美しいと感じる。それが融合したりすると、何乗にも素晴らしい。そういうものたちが地球には無数にある。それらを見尽くしたいのだけれど、ううん、人の一生って短いものだなあ。
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同僚から借りた。派手ではない優しい旅の随筆。馬の蹄の音をパカランパカランではなくパッカコッコ、パッカコッコと表していたけれど音の表記の少しの違いで浮かべる情景が異なるなと思った。旅先で出会った人との一期一会が沢山描かれていて会話の断片に笑みがこぼれてしまうものが多かった。作者の人...
同僚から借りた。派手ではない優しい旅の随筆。馬の蹄の音をパカランパカランではなくパッカコッコ、パッカコッコと表していたけれど音の表記の少しの違いで浮かべる情景が異なるなと思った。旅先で出会った人との一期一会が沢山描かれていて会話の断片に笑みがこぼれてしまうものが多かった。作者の人柄の良さがすごく出ているし世界中に優しい人がいるんだと思えた。サモサのおじさんの話、インド門の僧侶の話、ロニのお守りの話がすごく好き。筆者の五感を通して自分も旅をした気になれた。旅の随筆も色々読んでるけど今までで1番静かな旅の随筆だったかもしれない。実際騒がしい所にも行っていると思うけれど筆者の書き方は静かですごく時の流れがゆっくりに感じた。あと他の人の感想で気づいたけれどこの分厚さでこの軽さの本は確かに珍しい。
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行ったことない場所なのに、まるで自分も著者と同じ世界を目にしているかのような錯覚に陥る。 好きなフレーズメモ 『遠ざかりすぎると今度はよくわからなくなって、手放してしまったりもするけれど。しかし必ずつながるし、だめになるものはやはりそれまでのことだったのだ。』
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スイスのミューレン、メキシコのサン・イグナシオ、キプロス、スリランカのキャンディなど行きたいと思うところが多い。旅先の人が親切にふるまってくれるの自分にも経験があるけど、日本人が幼く見えるというが、実際、中身がちょっと幼いのかなと思った。
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「私にとって旅とは、未知なる国への旅であり、未知なる自分への旅でもある」(p.3) →ここから始まる様々な旅について、断片的な情景がとても静かに美しく書かれた文章で、この著者の本は読んでいてとても心地よい。 「いつも海外から帰国するとしばらくはぼんやりとして、日本にいる実感がも...
「私にとって旅とは、未知なる国への旅であり、未知なる自分への旅でもある」(p.3) →ここから始まる様々な旅について、断片的な情景がとても静かに美しく書かれた文章で、この著者の本は読んでいてとても心地よい。 「いつも海外から帰国するとしばらくはぼんやりとして、日本にいる実感がもてない。まだ自分がかの国の民衆のなかにいて、昨日までいた街を旅している錯覚に陥っている。おそらく肉体は現実的に帰ってきているけれども、たましいは帰ってきておらず、旅先を漂っているのだろう。そこにはすで距離的な隔たりが現前として横たわっているのだけれども、そのものとの距離感は自分自身の感覚でしかないので、それがまだかの国と同一化しているのだ。そのために日本に帰ってきていつもの仕事机に座っていても、なんで今自分はここにいるのかな、いつ帰ってきたのかな?と思ってしまう」(p.56) →この感覚を実感するためだけに海外旅行にいくことも楽しいと思っている。定期的に読み返しつつ、そろそろ旅行にも色々行きたくなってくる。 「旅の夜といって夫が思い出すのは、夜中に暗くなった機内でふと目を覚ますと、周りの乗客が毛布をかぶったり横になったりして眠っているなかに、私がひとり掟、手もとのライトをつけて一心にノートを書いている姿だという。そのページがまた昼間見たときよりもものすごく進んでいて、もう寝なよと思う、と言っていた。たしかに人々が寝静まった機内は、コーッという絶え間ない飛行音と暗闇を流れる涼やかな空気だけで、どこの国の上空とも知れぬ、時間の境目も定かでない、地上はるかに浮き上がった時空間である。そこで私はさらに自分の記憶の箱を開けて、昼間は体験するので忙しかった、自分が出会ったことや見聞きしたものや考えたことや思ったことをせっせと書き留めている。そうして私はここではないどこかをいつも旅していたいのだ。(p.316)」 →よく気持ちが分かる。あの何とも言えない機内の空気感を、しっかり表していてとても好き。
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情景描写が優れていて 一緒にその土地の空気を吸っているような気さえする。 「夜、馬車に乗って」 では、若菜さんはインドネシアのブキティングで おじいさんが引く木製の馬車に乗る。 足音を〈パッカコッコ、パッカコッコと走る馬の体が上下に動く〉と。 優しいおじいさんと馬の様子が目に見え...
情景描写が優れていて 一緒にその土地の空気を吸っているような気さえする。 「夜、馬車に乗って」 では、若菜さんはインドネシアのブキティングで おじいさんが引く木製の馬車に乗る。 足音を〈パッカコッコ、パッカコッコと走る馬の体が上下に動く〉と。 優しいおじいさんと馬の様子が目に見えるようだ。 「心の木」では 旅先で木を描こう、描き始めても失敗したと思ってしまう、若菜さん。 夫さん、〈いいんです、この木は君の心の木ですから〉 なんて素敵な言葉。 この随筆集に出会えてよかった。
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