旅の断片 の商品レビュー
世界19カ国での旅のエッセイを集めた一冊。全11章、317ページ。メキシコ、インド、サハリンなど地域ごとの章と、海、街角、土産などトピックごとに収録した章が約半数ずつ。 山と渓谷社に勤めた著者だが、プライベートの旅では山を離れたいと、基本的に山岳関連の話題は少ない。同著者の『街...
世界19カ国での旅のエッセイを集めた一冊。全11章、317ページ。メキシコ、インド、サハリンなど地域ごとの章と、海、街角、土産などトピックごとに収録した章が約半数ずつ。 山と渓谷社に勤めた著者だが、プライベートの旅では山を離れたいと、基本的に山岳関連の話題は少ない。同著者の『街と山のあいだ』とは違い、純粋に旅のエッセイとして楽しむことができた。 主観的な印象に従って旅の瞬間をそれぞれ短く切り取る、詩的な紀行文になっていることが持ち味で、読んでいて収録の順序や時間を意識させない。雄大な自然が見せる厳かな静寂や、素朴に暮らす人々の飾らない姿が清涼で心地よく旅情を誘う。心休まる旅のエッセイ。 全篇を通して世界の広さと、人との比較ではなく、ただ自らの生を全うすべしというメッセージが伝わる。著者が仕事へのわだかまりから解き放たれる「コルテス海にて」は後日、改めて再読したい一篇。 「そもそも自分などいてもいなくても大勢に影響はないのだから。自分にできることなんて、たかが知れているのだ。とどのつまり、だからこそ、自分のために生きればいいのだ。自分は自分自身の納得のために生きる。否、自ら死ぬことはできないから、そうやって生きるしかないのだ」
Posted by
旅行に行きたくなる一冊。夜の散歩は非日常で私も好きなので、とても共感できた。 著者は、本書ではあまり知られていない外国の地に行ってるが、日本版もあったら読んでみたい。
Posted by
旅に行きたくなった。 とても素敵な年の重ねかたをしている気がした。 とても優しくて軸が真っ直ぐ通った感じの筆者の様子が感じ取れた。
Posted by
独特な雰囲気のある旅の記録。 著者の人間性がとてもよく現れているんだろうなと思わせるような文体や内容。 タイトルの通り、旅の断片。 旅行記のような詳細な描写こそないけれど、その瞬間の著者の気持ちがよく伝わってくる。 ちょっとポエティックな雰囲気なので、好みが分かれるかと思う。 「...
独特な雰囲気のある旅の記録。 著者の人間性がとてもよく現れているんだろうなと思わせるような文体や内容。 タイトルの通り、旅の断片。 旅行記のような詳細な描写こそないけれど、その瞬間の著者の気持ちがよく伝わってくる。 ちょっとポエティックな雰囲気なので、好みが分かれるかと思う。 「Tさんのサンゴ」が特に印象的だった。 ある時、彼女は旅の土産に現地で拾った貝をある人にあげた。相手は困惑したような笑みを浮かべた。 拾った貝を土産にするなど少し感傷的過ぎたかと恥ずかしく思う著者。 自分の気持ちとそれを解ってくれるであろうと思っていた相手との気持ちの齟齬を感じることはよくある。 貝のお土産を素敵だなと思えるような人には、本書を是非お勧めする。
Posted by
生活の中に馴染む旅。わたしがいましてみたい旅。それがこの本のなかにたくさんつまっているように感じた。 物見遊山な旅ではなく、その土地で暮らしている人たちと同じように、生活するみたいに旅がしたい。 海外ってほぼ行ったことがないんだけど、日本とは全然違う文化にふれてみたいな。 刺繍の...
生活の中に馴染む旅。わたしがいましてみたい旅。それがこの本のなかにたくさんつまっているように感じた。 物見遊山な旅ではなく、その土地で暮らしている人たちと同じように、生活するみたいに旅がしたい。 海外ってほぼ行ったことがないんだけど、日本とは全然違う文化にふれてみたいな。 刺繍の入ったきれいなハンカチがほしい。
Posted by
短編が苦手だからか、あまり入り込めなかった。 結構淡々と、その情景が描写してあるような感じ。 「はじめに」はとても共感して、興味をそそられたので、また別の機会に読んでみようと思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
山に続き、旅についてのエッセイ。 余りメジャーな旅行先は出て来ないが、行き先がさほど名の知れた観光地でないところが、本書の魅力を増していると思う。 本書で描き出されているのは、『旅行』ではなく、一文字の『旅』。『旅』であるなら、行き先は、別にこの世に存在する場所ではなくてもいいのではないだろうか。
Posted by