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詳注アリス 完全決定版 の商品レビュー

3.9

8件のお客様レビュー

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2023/02/03

数学者マーティン・ガードナー (1914-2010) は、1960年に『詳注アリス』、1990年に『新注アリス』、1999年に『詳注アリス 決定版』を出版しましたが、2010年のガードナー没の後、アリスの出版150周年記念の2015年に『詳注アリス 完全決定版』が出版されました。...

数学者マーティン・ガードナー (1914-2010) は、1960年に『詳注アリス』、1990年に『新注アリス』、1999年に『詳注アリス 決定版』を出版しましたが、2010年のガードナー没の後、アリスの出版150周年記念の2015年に『詳注アリス 完全決定版』が出版されました。この最後の完全決定版を和訳したのが、本書です。 https://www.honzuki.jp/book/284527/review/284164/

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2022/02/09

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の先行研究を網羅的に参照し、膨大な量の語釈を施した注釈本の決定版。初代挿絵画家であるテニエルのイラストを全て(鉛筆スケッチも)掲載する他、古今のイラストレーターが描いたアリスの挿絵を多数収録。 重厚感にビビっていたけれど、一度開けば面白...

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の先行研究を網羅的に参照し、膨大な量の語釈を施した注釈本の決定版。初代挿絵画家であるテニエルのイラストを全て(鉛筆スケッチも)掲載する他、古今のイラストレーターが描いたアリスの挿絵を多数収録。 重厚感にビビっていたけれど、一度開けば面白すぎてあっという間に読み終えてしまった。ガードナーは数学者でもあり、『自然界における左と右』の著者と同一人物。同姓同名の別人だと思ってた。注のなかでもアリス由来の名前が付けられた数学問題などについて嬉々として解説してくれる。 とにかく丁寧に注が振られていて、ときにそれ自体ひとつの小咄としても読めるサービス精神旺盛な本だ。特に21世紀に日本語でアリスを読む読者にありがたいのは「ヴィクトリア朝イギリスでは当たり前だった/よく知られていたこと」「当時のオックスフォードでは有名だったこと」「キャロルとリデル姉妹の内輪ネタ」などを、当時の資料・キャロルの日記などをソースにレイヤー分けして教えてくれるところで、今までアリスに抱いていた難解なイメージがほぐれていく。元ネタになった詩などもほとんど全篇載っているから、比べることでキャロルは教科書に載るような詩を茶化したりCMソングを替え歌するような遊びをしていたのだとわかる。 キャロルが画家のテニエルともかなり密なやりとりをして物語を作りあげていったということも本書でよくわかった。その最たるものが巻末に収録の「かつらをかぶった雀蜂」。これは元々『鏡の国』の白のナイトの章にあったエピソードを、テニエルが気に入らず絵が描けないと言うので刊行するときに抜いたという。年齢的にもキャリア的にも、キャロルはテニエルに頭が上がらなかったのかな。 ただ、個人的にはこのエピソードを抜いたのはやっぱり正解だったと思う。ガードナーはアリスがクィーンに相応しい人格を備えたことを示すものとしてこの話の必要性を認めているようだけど、アリスが"模範的に"振る舞う姿は子どもに理想を押し付けているみたいで、あまり面白くない。 こうして解説付きで『不思議の国』『鏡の国』をぶっ続けに読んでいくと、アリスという少女の子ども時代が終わりに向かっていくイメージがたくさん散りばめられていることに気づく。『不思議の国』のこまっしゃくれたアリスに比べ、『鏡の国』のアリスは話し相手が押し付けてくる不文律を察することができるまで聞き役に徹するようになっている。一人の子どもに訪れる変化の時を混沌のトランプから「ポーンがクィーンになる」チェスに置き換えていったのがキャロルの洒落たところだろう。アリスとお別れをするためにキャロルが施した仕掛けについても多くの解説がある。 また、私を含め映像作品からアリスを知った世代の人間は、簡単に脳内で像を結べないことを狙って書かれた言葉遊びが多いことを忘れがちなんじゃないかと思う。テニエルの絵が添えられているから一瞬スルーしがちになるけれど、チェシャ猫の微笑みだってよく考えれば純粋に言葉のなかにしか存在し得ないのだ。 高山先生の訳もテンションが高くてよかった。キャロルが友だちになった少女の日記を出版すると嘘をつく手紙、前に『少女への手紙』(平凡社ライブラリー)で読んで「このクソ野郎…」と思ったものだが、ガードナーと高山先生から総ツッコミを受けていて胸がすいた(笑)。 キャロルは自分が老いていく男であることを強烈に意識しながらも、少女を己の鏡像のように感じていたのではないかと思った。自画像を十代の女の子姿で描く男性がSNSには散見されるけど、キャロルにはあれに近いマインドがあったんじゃないかと思うのだ。

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2021/03/06

この本は持ち歩けないし、いろんな意味で重たい! 尊敬するマーティン・ガードナー氏の遺作ということで読んでみることに。 「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の両物語が謎解きをしながら読めます。 ガードナー氏の注が本編以上の分量で記されており、キャロル(ドジソン)の研究をして...

この本は持ち歩けないし、いろんな意味で重たい! 尊敬するマーティン・ガードナー氏の遺作ということで読んでみることに。 「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」の両物語が謎解きをしながら読めます。 ガードナー氏の注が本編以上の分量で記されており、キャロル(ドジソン)の研究をしているみたいな感覚になりました。 「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」は、かつて何度か挑戦しましたがいつも途中で挫折し読み切れませんでした。 今回初めて読破しましたが、私にはやはりストーリー自体が(ハチャメチャで支離滅裂で)面白くありませんでした。 150年も前の時代の外国の作品ということもあり、物語の背景の文化や流行り事の知識がないのでそのパロディが存分に楽しめません。 あと言葉遊びが多く、注にもその語り口がどうして面白いのか説明されているが、説明されたところで素直に面白さを感じることができません。 そのまま訳すとダジャレとして伝わらないので、翻訳者が苦労して日本語のダジャレや言葉遊びに直していたりしますしね。 一歩引いてこの作品を眺めると、キャロル(ドジソン)ってちょっとヤバイ感じの人のように感じてきます。 この作品に、なぜマーティン・ガードナーがライフワークとして入れ込んだのでしょうか?謎です。 マーティン・ガードナーも実は奇人だったのかな?

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2020/08/16

本編より、テニエルのイラストが好きなアリスファンなので、注釈があればもっと理解できると思って何年ぶりかにアリスを読む。(佐々木マキさんイラスト版も平行読みしてたので、同じ訳者とはいえ違う訳で楽しめた。)こんなに訳のわからない詩ばかりだったろうか…。よく日本人に受け入れられたものだ...

本編より、テニエルのイラストが好きなアリスファンなので、注釈があればもっと理解できると思って何年ぶりかにアリスを読む。(佐々木マキさんイラスト版も平行読みしてたので、同じ訳者とはいえ違う訳で楽しめた。)こんなに訳のわからない詩ばかりだったろうか…。よく日本人に受け入れられたものだ。テニエルは刷り込みみたいなものだけど、この難解さがテニエルの決して可愛くはないイラストに合うのだ!ディズニーのアリスって詩の部分どうなってるのだろう。気になる!

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2020/06/12

詳注と新注の注釈は入ってゐるが、  ピイターニューエルのイラストがー。  結構面白い。  ロセッティさんちでウォンバットはもふもふしてたらしいのだが、  あんなでかいもふもふがデスクの上で「の」の字かくかが謎。

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2020/05/24

(当時の)オックスフォード大学の教師陣の誰よりも有名になり、長く名を残すことになったチャールス・ドジソン。 「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を書くことによって、お気に入りの少女を少女のまま永遠に残すことに成功したルイス・キャロル……。 彼が少女好きなのは知っていたけども...

(当時の)オックスフォード大学の教師陣の誰よりも有名になり、長く名を残すことになったチャールス・ドジソン。 「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」を書くことによって、お気に入りの少女を少女のまま永遠に残すことに成功したルイス・キャロル……。 彼が少女好きなのは知っていたけども、少年をあまり好きではないのは知らなかった。 なかなか難解な内容。専門的。 ただ、それによって、子供向けとひとくくりしてしまうには惜しい、アリスの世界の奥深さを知った。

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2020/05/06

「詳注アリス 完全決定版 」読了。 注釈の嵐と挿絵の豊富さにアリスファンは歓喜するだろう。キャロルが42という数字に拘ったとか、テニエルが描いたカエルやアリスのポーズはバレエだ(テニエルの父がダンス教師だった)とか、細かい分析がされている。間違ってアリスが引用する詩の正解版も当然...

「詳注アリス 完全決定版 」読了。 注釈の嵐と挿絵の豊富さにアリスファンは歓喜するだろう。キャロルが42という数字に拘ったとか、テニエルが描いたカエルやアリスのポーズはバレエだ(テニエルの父がダンス教師だった)とか、細かい分析がされている。間違ってアリスが引用する詩の正解版も当然掲載。アリスの論文を読んでいる気になるw。4800円とお高いがその価値はあると思う。高価な本だけあって、花ぎれまで2色使いで美しい。読破できて嬉しい1冊であった。あー、読み終えた-!!! -------------------------------- ■ルイス・キャロル。挿絵はジョン・テニエルが有名。好きな人:キャロリアン。 ■ルイス・キャロル(Lewis Carroll [ˈluːɪs ˈkæɹəł], 1832年1月27日 - 1898年1月14日)は、イギリスの数学者、論理学者、写真家、作家、詩人である。本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソン 。オックスフォード大学教授。 ■不思議の国のアリスは174の言語・方言に訳されている。 ■アリス・リデル。アリスがちょうど7歳のときの物語であると推測できる。 ■「地下の国のアリス」、ルイス・キャロルが1864年に知人の娘アリス・リデルに贈った手書きの本。『不思議の国のアリス』(1865年)の原型となった物語。 ■『子供部屋のアリス』(英:The Nursery "Alice")[1]は、1890年にマクミラン社から刊行されたルイス・キャロルの著作。キャロルの児童小説『不思議の国のアリス』(1865年)を、キャロル自身が「0歳から5歳」の幼児向けに短く翻案したもので[2]、『不思議の国のアリス』の特徴である言葉遊びやパロディなどを押さえ、子供に語りかけるような易しい文体で書き直されている。 ------ 次これ行くか???「詳注アリス」600ページ超。途中で挫折するやも。そもこの本はダンナが買ったもの。で、こりゃ積ん読棚に放置なんだろうなーと、本が気の毒になって借りてきたもの。お値段4800円。ダンナの本は毎度高い。デカイ本は重いから読みにくいんだよなぁ。挿絵付きだから仕方ないけど。 余りにもそんなにもこんなにも注釈が多いので、本文が分からなくなるから(折角の新訳だもん。ちゃんと読みたい)、気になる注釈だけ拾い読みして、本文をとにかく読み進める。挿絵を眺める。大半の注釈は本文読了後にのんびり確認する。という読み方で行くよ。 「詳注アリス」同じ場面の挿絵も画家が違えば雰囲気が変わる。注釈の量狂ってると思うしw、挿絵も豊富で良い。 さて、本文。きっと完璧な翻訳なんだろう。完璧すぎて、小説としては多少繋がりが悪いってか読みにくい部分もある。でも、これが100%原作に近いアリスかぁという感慨もある。 「詳注アリス」の中の「不思議の国のアリス」読み終わり。次は全部の注釈付きでもう一読。なんか、大学でレポート提出でもあるかのような気分になってきた。読書と言うよりお勉強w。アリスは何度か読んでいるがラストを忘れていた。てか、ラストがあまりにも唐突に終わるのだ。夢オチだから。なるへ- 「詳注アリス」注釈を一つ紹介。 >>ルイス・キャロル人物解説が「大英百科事典」に入る時、ドードー鳥の項目の直前に入ったのは、やっぱり面白い。P97 うんちくにしてもマニアックすぎるwww ------------------------------------- 以下「鏡の国のアリス」 ------------------------------------- 鏡の~を読むのは2回目だが、ハンプティ~が登場することくらいしか覚えていなかった。再読して分かったこと。鏡の~はつまらない。不思議の~の方が1000倍くらい面白い。チェスに見立てるようだが、メンド臭い。やってられっか。 ------------------------------------- 以下「かつらをかぶった雀蜂」 ------------------------------------- 鏡の~から削られたエピソード。ほんの数枚。著者は推しているがうーん。

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2020/03/04

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の完全新訳+大量の注釈、うんちく盛り沢山で本書1冊で普通の本の3~4冊分の情報量を摂取した気分に…。とにかく凄い。 翻訳者の方の後書きでも触れてましたが、もともと英語のナンセンス文学であるキャロルの文章や詩に、注釈で説明されている内容との...

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の完全新訳+大量の注釈、うんちく盛り沢山で本書1冊で普通の本の3~4冊分の情報量を摂取した気分に…。とにかく凄い。 翻訳者の方の後書きでも触れてましたが、もともと英語のナンセンス文学であるキャロルの文章や詩に、注釈で説明されている内容との整合性をとりつつ、それを『日本語』の言葉遊び的にそれを取り込みながら翻訳する……という、まさにどこをとっても発狂しそうな翻訳作業だったろうな、というのはこれを読んでる最中何度も脳裏をよぎりました。 でもお陰で、ただの翻訳版読むだけでは分からなかった知識が大量に摂取できて面白かった。

Posted byブクログ