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消えた国 追われた人々 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

カントが生まれ育った国、東プロシア。首都はケーニヒスべルク。ロシアが攻めてドイツ系難民1200万人は消え去り、国も消滅した。かつての首都は、現在ロシアの飛び地カリーニングラード州の首都カリーニングラード。

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2023/01/31

旅の過程が丁寧に描かれたかと思えば、著者の興味に沿ってあちこちの時代、歴史に脱線してから、もう違う土地に立っている。東欧の歴史素人のため、ほとんどの史実に色々なため息をこぼしながら追っていく。 ひらがな多めの文体が軽やかな感じを醸しているのか、なんだか読み心地がよかった。

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2021/01/20

 本書は著者の池内紀氏がギュンター・グラスの小説『蟹の横歩き』を訳出する際に、小説の舞台となった港町や他のバルト海沿岸の都市を旅した紀行文である。その小説は第二次大戦末期に、当時存在した東プロシアからドイツ本国に避難する9千人あまりのドイツ人が乗船していた豪華客船ヴィルヘルム・グ...

 本書は著者の池内紀氏がギュンター・グラスの小説『蟹の横歩き』を訳出する際に、小説の舞台となった港町や他のバルト海沿岸の都市を旅した紀行文である。その小説は第二次大戦末期に、当時存在した東プロシアからドイツ本国に避難する9千人あまりのドイツ人が乗船していた豪華客船ヴィルヘルム・グストロフ号がソ連潜水艦に撃沈されたことを採り上げたものだった。池内氏はその港町(現在はポーランド領で、グダニスクに近いグディニア)を訪れたり、バルト海沿いに存在した旧東プロシアの諸都市を旅し、そこから消えた国や追われた人々のことを追憶するのである。  今はロシア領のカリーニングラードは戦前は東プロシアの首都でケーニヒスブルクと呼ばれ、リヒャルト・シュトラウスや哲学者カントなどを輩出した文化都市であった。しかし、ケーニヒスブルクやグディニアを含む東プロシアという国は第二次大戦によりポーランドとリトアニアに分割されてしまった。13世紀にドイツ騎士団が北の十字軍運動で創り出した東プロシアという国は第二次大戦とともに消滅してしまったのである。その消えた国に存在した諸都市を巡り、歴史を知る旅を池内氏が語ると、消えた国の人々の生活がよみがえってくるのである。  日本は2千年を超える歴史のなかで国境がほとんど動かなかったが、欧州では度重なる戦争で国境は100年たたずに変更されることが多かった。またそれに応じていろいろな民族の人々が移動し、苦難の道を歩んできた。日本人が日頃感じない、国境の変化、多民族国家の共生などについて教えてくれる好著である。

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2020/12/14

歴史を学び直して再読を要す。 読後、真先に頭に浮かんだのは上の文言だった。 正直に言って、本書に対して評価も感想もできるほどの見聞が自分にはまだない。 だが、何故かものすごく惹かれる。 ダンツィヒ、メーメル、カント、グラス、、、 聞き齧りの心許ない知識とアンバランスなほどに...

歴史を学び直して再読を要す。 読後、真先に頭に浮かんだのは上の文言だった。 正直に言って、本書に対して評価も感想もできるほどの見聞が自分にはまだない。 だが、何故かものすごく惹かれる。 ダンツィヒ、メーメル、カント、グラス、、、 聞き齧りの心許ない知識とアンバランスなほどに惹かれている。 まずは、ブリキの太鼓を読んでみよう。 そして、蟹の横歩きを読んでみよう。 そのあと、カントを読み直してから、再び本書を読んでみたい。

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2020/12/11

第二次大戦が終了するまでは存在していた、かなり「変」な国、東プロシアをめぐる紀行文。カントやホフマンの故郷で、ヒトラーの「狼の巣」もここにあったという。 滑稽なエピソードも多いのだけれど、なくなってしまったものをめぐる紀行文は、やはり物悲しい。

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2020/08/24

狼の巣に迷い込み、ヒトラーと目が合った、という現地の老人の話が印象に残った。ロートや、オーウェルも併せて読み返したくなった。

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