炎の中の図書館 の商品レビュー
これノンフィクションだとは思いたくないなぁ、オチも含めて凄惨な出来事すぎる。作者の行動力や表現力に心奪われた 図書館で働く愛すべき人々が、想像よりポジティブでエネルギッシュだったのは想定外だった タイトルに引かれて手に取ったが図書館についてより考えるきっかけになった、ありがた...
これノンフィクションだとは思いたくないなぁ、オチも含めて凄惨な出来事すぎる。作者の行動力や表現力に心奪われた 図書館で働く愛すべき人々が、想像よりポジティブでエネルギッシュだったのは想定外だった タイトルに引かれて手に取ったが図書館についてより考えるきっかけになった、ありがたい
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炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火 著者:スーザン・オーリアン 訳者:羽田(はた)詩津子 発行:2019年11月25日 精興社 アメリカ人はあまり本を読まないと思っていた。学生時代、グレイハウンドバスでアメリカを旅した時、バスディーポ待合室の椅子ひとつひとつに小型テレビがついているほど、彼らはテレビばかり見ていた。本を読んでバスを待っている人はほとんど見かけなかった。 アメリカでは、公立図書館がマクドナルドより多く、書店数の2倍あるという。スケールの違う図書館大国だ。そして、アメリカのことだからホーレスの利用も多いが、排除ではなく歓迎する。それどころか、もっとホームレスに利用してもらうためにと色々と工夫もしているようだ。 日本とは図書館の概念が違うかもしれない。映像や音楽のDVD類はもちろんだが、レストランのメニュー、あるいは、劇場で使われていた衣装、小道具、大きな操り人形だってある。もちろん、映画のポスターコレクション、反戦ポスターやパンフレットも。オーケストラの過去の貴重な楽譜だって借りることができるので、貧乏オーケストラにとってもありがたい。 1986年、ロサンゼルスダウンタウンにある中央図書館が7時間以上続く大火に見舞われ、100万冊以上が燃えるか、損傷するかした。建物は、1926年に人気建築家バートラム・グッドヒューの設計により建てられ、老朽化に対応して改修や増築が行われた名建築物。この火災で再び修復と増築が必要となり、1993年10月に再開館して現在に至っている。 このノンフクションでは、ある団体の読書室からスタートした当図書館の歴史、古代から行われた焚書の歴史、現在の図書館の仕事内容、放火容疑で逮捕されたが釈放された若者の民事訴訟について(容疑者とLA双方が訴訟しあった)、1960年代に盛り上がった老朽化対策の改修と増築、そして、1993年の再開館について書かれているが、いかにもアメリカのノンフィクション作家らしい、冗長で話があっちいったりこっちいったりという筆致だった。ユーモアでオチをつけるための無駄文こそなかったが、、、 ロサンゼルス図書館(に限らないとは思うがアメリカの図書館)にはレファレンスコーナーがあって、この内容が面白い。なんでも質問を受け付けるようだ。窓口ではもちろん、電話でも。例えば、米軍兵士が家族にあてた手紙は、正確な配備場所に触れるのが禁止なので手がかりをちりばめてある。それを読んだ家族が図書館に「男性が髪の毛をまっすぐになでつけている国はどこですか?」「鼻にリングをつけている人々がいるのはどこですか?」「どこの国の女性がふんわりしたスカートと白いエプロンをつけていますか?」といった調子で質問してくるそうだ。 また、警備担当者とホームレスとの心温まるエピソードにもジンとくる。ポケットマネーでお金を出してあげたホームレスが、数年後にすっかり安定した生活を送っていることを伝えに来てくれたり。 大火は本を愛する司書たちにとって魂を抜かれたような辛さだったに違いないし、1993年の復活たるや、えも言われぬ喜びだったに違いない。大阪でもつい先日、制限付きで図書館が復活した。2か月以上も前に予約した本がまとめて5冊来たが、この本はその内の1冊。このタイミングで読むにふさわしい1冊となった。
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場面や登場人物ごとの掘り下げが浅く、あまり面白くなかった。そのような事件があったんだという知識を得て途中で読むのをやめた。2/3まで読み進めて図書館へ返却。
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1986年4月29日、ロサンゼルス中央図書館で火事が発生。火事は7時間も燃え続け、40万冊が燃え、70万冊が消火の放水などを浴びて損傷したのち、鎮火された。 火の気のないところから出火したと推測されたため、放火が疑われた。 一方で、ハリー・ピークという白人青年は友人に、自分は火災...
1986年4月29日、ロサンゼルス中央図書館で火事が発生。火事は7時間も燃え続け、40万冊が燃え、70万冊が消火の放水などを浴びて損傷したのち、鎮火された。 火の気のないところから出火したと推測されたため、放火が疑われた。 一方で、ハリー・ピークという白人青年は友人に、自分は火災の時、図書館にいたと語り、ある時は放火したのは自分だとまで語っていた… ロサンゼルスの公共図書館に放火したと語る青年が本当に放火犯なのかを追跡する話かと思いきや、それはあくまでもサイドストーリーで、この火事に見舞われたロサンゼルス中央図書館の歴史、図書館長やロサンゼルス市の図書館、分館を統括する統括長の役割、そこで働く司書と呼ばれる人々、そして図書館を利用する市民、特に図書館が生命線となるホームレスの人たちへの支援など、街や市民に対して図書館が果たしてきた役割や、これからの図書館像についてがメインテーマだった。 昨年見たドキュメンタリー映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」、そして最近見た「パブリック 図書館の奇跡」、アメリカの地域において図書館の果たす役割を語る作品に触れる機会が多いが、どれも驚かされる。
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日本語タイトルは刺激的だが、内容はもっと多伎に渡っている。原題library booksの方が、やはりしっくりくる。 アメリカの図書館の懐の深さ。 昨年、映画「ニューヨーク公共図書館」を見ていたので、イメージ的にだいぶ補完されるところはあった。 でもそれ以上に、図書館の歴史につい...
日本語タイトルは刺激的だが、内容はもっと多伎に渡っている。原題library booksの方が、やはりしっくりくる。 アメリカの図書館の懐の深さ。 昨年、映画「ニューヨーク公共図書館」を見ていたので、イメージ的にだいぶ補完されるところはあった。 でもそれ以上に、図書館の歴史についても頁を多く割いている。
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火事で燃え落ちた図書館の再建物語を軸に、図書館の歴史やこれから図書館が担うべき役割などが語られていて面白かった。図書館ができたとき病気の伝染が心配された話や白人が多いというロサンゼルス警察による人種差別の問題は、現在にもリンクしてて興味深い。 「図書館は市民が情報と言論の自由の権利を利用するために不可欠なものである。情報に無料でアクセスできることが民主主義では必要だ。それによって開かれた議論をし、世論を形成するからだ」 「伝統的な本の貸出が常に図書館の第一の目的なわけではない」 「利用者に忠誠を尽くすために必要不可欠なのは、優秀なレファレンスデスクだ」 目からウロコ。本当にその通りだと思う。 日本の図書館は紙の本の貸し出しの役割が中心で、図書館という存在の重要性が抜け落ちてしまっている気がする。
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エピソードとしては面白いと思ったところはいくつかあったのですが、文章や章立てとの相性が悪かったかなあ。 プロローグ的な第1章が終わり、続く第2章は本当に素晴らしいと思いました。自分も図書館はちょくちょく行くのですが、開館前から並ぶということは、今のところしたことはありません。第...
エピソードとしては面白いと思ったところはいくつかあったのですが、文章や章立てとの相性が悪かったかなあ。 プロローグ的な第1章が終わり、続く第2章は本当に素晴らしいと思いました。自分も図書館はちょくちょく行くのですが、開館前から並ぶということは、今のところしたことはありません。第2章で図書館開館前の様子が描かれるのですが、それがとても生き生きと瑞々しく描かれています。 警備員にまだ開かないのか、と尋ねる人がいる一方で、図書館内では職員たちが忙しく働いている。ここを読んだだけで、開館前の図書館に行ってみようかな、と一瞬思ってしまった自分がいます(笑) そして図書館の火災の描写もまたすごい。あっという間に燃え広がり、あまりの高温に消防士たちからも多数の負傷者が出るという大惨事。火災はおよそ7時間半後ようやく収まったそうです。 続く第3章では火の手からは免れたものの、消火活動による放水でビシャビシャになった本の乾燥作戦が語られます。その数約70万冊。そして火災の翌日に集まったボランティアの数は2000人。さすがアメリカというか、このスケールの大きさには、不謹慎ながらもワクワクしてしまいました。 他に面白かったエピソードは、ロサンゼルス図書館の歴史が語られる中で出てきた図書館館長の”チャールズ・ラミス” 彼は元新聞記者でオハイオ州からカリフォルニアへ異動することになるのですが、その際旅行日記を出版するため、その距離を徒歩で移動したという変わり種。 その後、図書館館長になってからは、利用者のために図書館や職員の意識変革を行う一方で、私生活のだらしなさや、その変革意識から上層部から煙たがられて…… 図書館をやめた後ラミスは、仕事に飽きていた、時間を無駄にした、と語ったり、日記には解雇された後に「とても気分がいい」と書いていたりしたそうです。 でも、自分はとてもそうは思えませんでした。例えば図書館の蔵書の整理や、職員に利用者に声をかけるよう積極的に促したりと、利用者の視点に立ったエピソード、 エセ科学本の間に「この本は図書館で保有できる本の中で最低レベルのものです。あなたにもっと分別があれば、これを読まなかっただろうに残念です」と、警告のしおりを挟もうとした、というエピソード、 あるいは鉄道会社に「本は人間になくてはならないもの」と手紙を出し、従業員に図書館を利用するよう勧めてほしい、と依頼したエピソードなんかを読んでいると「そんなわけあるかい!」と思わずツッコみを入れそうになってしまいます。 そんな彼が「とても気分がいい」とうそぶきつつも、晩年は破産状態で人生を過ごしたという話を読むと、もっとこのラミスという男のことを知りたいと思うのです。 他にも電子化が進む中での図書館の役割の話であるとか、なぜか著者が本を燃やす話もあるのですが、それも面白かった。本を燃やすといえば思い出すのはレイ・ブラッドベリの『華氏451度』ですが、この本でもそのことについて言及されています。 『華氏451度』の本が燃やされる描写は、行為自体は許せないもののその描写は幻想的で、美しかった記憶もあります。この著者は本を燃やしたとき昏い興奮を覚えた、といったことを書かれているのですが、それもなんとなく理解できるかもしれません。 本は書き手の想いや物語と、これまでの読者、そしてこれからの読者の歴史が、詰まっているものだと思います。それが炎によって、一瞬で消し去ることが出来るという事実。それは、書き手の想いも読者の過去も未来も征服できるということのように思うのです。 だからブラッドベリの美しい描写や、この本の著者が感じた高揚感というのは、そうした本の偉大さと人間の支配欲や破壊衝動の裏返しなのかな、と個人的に思いました。 とまあ、こんな風に面白いエピソードは多かったのですが、話が全体的に散漫に感じたのも事実。火災の話かと思ったら、現代の図書館の職員の話に移り、次に図書館の歴史になり、また火災の話に戻り、という風に章ごとにまったく内容が変わってしまうことが多く、話に感情移入しきれませんでした。 もっと上手くまとまっていたら、図書館の歴史やエピソードに対し、感情移入して読めたと思うのですが「それもっと知りたい」となったら話が変わってしまうので、エピソードや歴史が、上手くつなげられず、単なる事実の羅列のように感じるところが多かったです。 原題が『The Library Book』なので、火災の話だけでないのは仕方ないのですが、それにしてももうちょっと、話と章立てはまとめてほしかったかなあ。
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1986年、ロサンゼルス中央図書館で火災が発生し70万冊の本が焼けたり水に浸かってしまった。その火事の原因を追いながら、図書館の歴史と図書館の現在、そしてこれからの使命まで語り尽くす。 7時間あまり燃え続け、歴史的な建物にも損傷を残し、数多くの資料が灰となった。なぜ記憶にないの...
1986年、ロサンゼルス中央図書館で火災が発生し70万冊の本が焼けたり水に浸かってしまった。その火事の原因を追いながら、図書館の歴史と図書館の現在、そしてこれからの使命まで語り尽くす。 7時間あまり燃え続け、歴史的な建物にも損傷を残し、数多くの資料が灰となった。なぜ記憶にないのだろうと思ったのだが、著者も同様だったという。それは、同じ日にチェルノブイリ原発事故が起こり、世間の目はそちらに注視されていたからだったのだ。 邦題の「炎の中の図書館」だと火事の事だけと思われてしまいそうだが、原題「The Library Book」の通りロサンゼルス図書館についての本であった。そのていねいな書き方は、昨年(2019年)公開されたドキュメンタリー映画「ニューヨーク公共図書館」のようだ。活字離れが嘆かれる昨今だが、著者は図書館のこれからの姿にも期待を寄せている。それは、米国の図書館界がこれまで提供してきた様々なサービス全体が生み出したものなのだと思う。日本の図書館もかんばらなくては。
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1986年に起きたロサンゼルス中央図書館の大火災をテーマにした本です。 衝撃的な家事現場の描写、歴代館長にスポットを当てたロサンゼルス公共図書館の歴史、現在の図書館の様子。 さらっと読める本ではありませんが、図書館好きなら読む価値ありです。
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濡れた本はすぐ冷凍する、という方法に目からウロコ。 一体何が原因だったのか…いつか判明するのだろうか。
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