アルテミオ・クルスの死 の商品レビュー
生と死と、現在と過去とが行き来しながら進むある男の回想。記憶に紡がれる壮大な歴史であり、人生であり、最後は、宇宙と大地につながる生命の話となる。 しかしながら、読み進めるのに難儀した。長い。。。
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何も持たずに生まれた男性が、のし上がって全てを手に入れてから独りぼっちで死ぬまでを描いた壮大な物語。メキシコの国の成り立ちなども少し分かるようになる(かも)。
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だめだ、挫折した。難解な文章、現在なのか過去なのかよくわからない。 じいさんが、贅沢三昧の嫁と娘に財産を譲りたくない?という怨念はわかったけど。 図書館で借りた本。1か月たって半分も読めなかったため、返却。
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フエンテスに出会ったのは、おそらくラジオドラマFMシアター「アウラ」。 溝口健二監督「雨月物語」に触発されたとかいうゴシック趣味に開眼する思いだった。 南米文学=マジック・リアリズム、だけではないのだ、と。 それから岩波文庫「アウラ・純な魂」に手を出したり、「誕生日」のアヴァンギャルドだか文体実験だかにくらくらやられたり。 そういえば「誕生日」はシャーリー・マクレーン(「アパートの鍵貸します」)へ捧げられている。神秘主義だかニューエイジだかスピリチュアルだか、よりは、そのヌーヴォー・ロマン風味にやられたのだ。 アラン・ロブ=グリエより前にフエンテスのヌーヴォー・ロマンに触れたのである。 その後、「私が愛したグリンゴ」や「ガラスの国境」は積読状態、「澄みわたる大地」「テラ・ノストラ」「遠い家族」は高価ゆえ手を出せず文庫になればいいなーと、思っていたところへ、本作の岩波文庫入り。偉い。 というのは前置き。 本作はまるで「市民ケーン」(新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト)のように始まる。 死の直前のバイタリティ溢れる男が、半生を回想するのだ。 「バラのつぼみ」に当たるのは「わくわくしながらあれが来るのを待っていた。われわれは二人して馬で川を渡った」だろうか。 【一人称=わし=現在形=だ】 【二人称=お前=未来系=だろう】 【三人称=彼=過去形=した】 の記述が繰り返される中で、アルテミオ・クルスの半生と性格、そして彼が半ば寄生し半ば共作(政府との結託、よりよい大統領へに取り入る)してきたメキシコの歴史が浮き彫りにされていく。 この小説の感想をまとめるのは難しい。 というのも、生が、出会う要素を統合していく過程であるのに対し、死が、獲得し所有し積み上げてきた要素が否応なく解体していく過程だからだ。 語り手は組み立ててきた生活や記憶の愛おしさが、バラバラになっていくのを目撃する……これが死に際しての認知だ、と。つらい。 得て構築したものを、失い愛惜する事柄を、再度まとめるのが書評家なのだろうが、私はプロではないので、ただ要素を雑多に列挙して、再読する自分に、ここに注目せよと促すのみ。 ・鏡のイメージ=分裂と統合。 ・テープレコーダーというギミック=繰り返しと再確認。 ・失った女レヒーナへの思慕。得た女にはあきたりない。妻との恋(無理矢理奪取し所有)と離反(身分違い)と諦め(寝室を分けて、聞き耳を立てる)と和解(連想、ジョン・ウィリアムズ「ストーナー」)。もちろんカタリーナ側の視点も盛り込んで。欲望、追憶、混沌。嘘と自己欺瞞。 ・無神論者。にもかかわらず司祭による、無理矢理の赦しの儀式が施される。抵抗。 ・息子を失ったこと。革命後生き延びた自分は実業家になったが、革命による死という自分が果たせなかった人生を、息子ロレンソが代わりに果たしてしまった。喪失感と罪悪感。娘テレーサは兄の死を父のせいにする。 ・メキシコ対アメリカ。「チンガール」……凌辱、犯すなどなど幅広い意味。スペインに侵されたメキシコ。 ・そもそも軍隊ホモソーシャルにおける男色すれすれの関係性、そして女装司祭との男色。 ・連想、ルキノ・ヴィスコンティ監督による映画「山猫」旧世代バート・ランカスターと新世代アラン・ドロン。いやむしろ孫娘の恋人がドロンか。 ・見捨てて来た者たち。死者たちを思う。死者の名前。俺を覚えておいてくれ。 ・回想が進むその先は、壮年期でもなく青年期でもなく、少年期。ここで急にフォークナーっぽくなる。セバスティアン先生。黒人との混血に育てられた、という劣等感が、のしあがる熾火になった、と。 ・すべて記憶が統合されるのは、星や空や天体の運行において。
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久々にガツンと来た。自分は作者をつまらない、理解出来ない、巨匠、と思っていた。ところが、これ、最初から最後までずーっと面白い。1人の男の死に間際です。寝たきり。悲しみなんて全然ないぞ。家族は見舞いに来るけど、仮病とか言われ、遺産をあからさまに聞かれたり、誰1人まともな奴いない。そ...
久々にガツンと来た。自分は作者をつまらない、理解出来ない、巨匠、と思っていた。ところが、これ、最初から最後までずーっと面白い。1人の男の死に間際です。寝たきり。悲しみなんて全然ないぞ。家族は見舞いに来るけど、仮病とか言われ、遺産をあからさまに聞かれたり、誰1人まともな奴いない。その男のいきざまを通し、メキシコを勉強する本です。前はカリフォルニアからマイアミ辺りまで国土があったんだって。だからスペイン系の地名が残っている。しかし主役も含め、情報も何もかもが濃く、血の色をしている。全然フエンテス面白いよ!叫!
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何だか物凄いものを読んだ、という気がする。作中世界に引き込むパワーもさることながら、過剰という単語をキーワードにしたいほどエネルギッシュだった。読んだ後に何か疲れたような……w
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