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エナジー・トリプル・トランスフォーメーション の商品レビュー

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2021/06/06

エネルギーの歴史、技術、システムの特徴を踏まえた変革ロードマップの提案。具体性があり読み込む価値あり。 ◯エネルギー概観 ・比較的再エネ導入に不利な状況  欧米:偏西風帯による風力  中東・インド:日照時間3500時間超、広大な土地による太陽光 ・座礁資産論による化石燃料発電...

エネルギーの歴史、技術、システムの特徴を踏まえた変革ロードマップの提案。具体性があり読み込む価値あり。 ◯エネルギー概観 ・比較的再エネ導入に不利な状況  欧米:偏西風帯による風力  中東・インド:日照時間3500時間超、広大な土地による太陽光 ・座礁資産論による化石燃料発電の事業持続性の減退 ・中国等の需要増による天然ガス調達コスト増(パイプライン対船舶輸送) ・原発事故による事業持続性の減退、高コスト化、再エネ大量導入による変動調整電源の需要増(ベース電源の相反) ※小型モジュール炉(SMR; Small Modular Reactor)、進行波炉(TWR, Traveling Wave Reactor)の技術動向は要注視。ただし実用化は2030年以降か →火力発電、原子力発電等の重電技術人材の枯渇 ・将来的な人口減少による電力需要増 →EV、電化、AI/IoT需要増の相殺度合い? ・電力自由化による投資余力の減少 <グリッド> ◯再エネ導入が促したグリッドの技術革新 ①電力損失解消:高圧直流送電。直交変換器、高圧直流送電ケーブルの技術開発 ②国際連系線の混雑緩和:送電権オークションの単一プラットフォーム but広域送電網の限界 ③変動調整:風力発電の予測技術(36時間前予測)、需給マネジメントシステムの統一、市場活用 ◯需要サイドのグリッド調整技術 ・シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)等のパワー半導体の進化によって高電圧・大電流化 →コンパクト化、放熱が少なく直交変換の電力損失を抑え省エネ →高度な制御が可能 ◯日本の取組(コミュニティレベルでの融通システム) ・六本木ヒルズのマイクログリッド ・NTTの地域直流送電 ・三井不動産の自営線による柏の葉スマートシティ ・大阪ガスのマンション内マイクログリッド ・積水ハウスの東松島防災スマートタウン(太陽光、バイオディーゼル、蓄電池、自営線) ・パナソニックの芦屋市(太陽光、蓄電池、VPP)、藤沢サステナブルタウン(太陽光、燃料電池、蓄電池) ・トヨタの宮城県大衡村(工場融通)、愛知工業大(キャンパス内太陽光、ディーゼル、蓄電池、EV) ・トヨタPCU:発電・蓄電を含む需給制御機能の電源ユニット化 ・特定送配電事業、特定供給:エリア内の自己電源を50%まで保有すればよく、設定されれば系統からのバックアップ <燃料> ・化石燃料への移行は、木炭からの転換。森林破壊という目に見える環境破壊から、地球温暖化という複雑な構造の問題に移行 ◯燃料革命を推進する3つの条件 ①高密度性 ②需要多様性  火炎、炉・高炉、蒸気レシプロ、内燃機関、蒸気・ガスタービン、燃料電池 ③持続可能性 →これらを満たすものが水素? ◯燃料需要の分析 ・用途(熱(自家発電含む)、動力)と部門のマトリクス ・石炭、石油、天然ガスで用途・部門の比重、推移が異なる ◯レガシーシステム問題 ・既存燃料のインフラ整備に要した時間・コストを考慮せず新規燃料と比較 ・低成長時代のインフラ投資余力 ①既存インフラを利用することができる ②普及当初の割高な水素燃料の影響を緩和する ③既存事業者が課題な投資判断を追わない ↓ ・改造負担の少ない分野:ガスタービン・コンバインドサイクル、ガスエンジンへの水素混入 ・既存設備の更新時に燃料電池等への転換が図れる分野:工場、業務施設向け自家発電設備 ・新たな設備設計が必要な分野:工場、業務施設、家庭での熱利用(都市ガス道管を活用して厨房設備、ガス空調機器等を水素混入可能なものに) ・新たな社会インフラが必要な分野:自動車 <データ> ①センサーの性能(精度、範囲、コスト等)の向上 ②エッジ側機器を含めたセンサーへの給電 ③エッジ側機器とセンサーからのデータ送信 ④熟練者の役割を代替し得るデータの分析・AI化 ◇トランスフォーメーション ◯産業インキュベーション機能 ・燃料電池が住宅よう太陽光発電と同じ轍を踏まないために ・中国に学ぶ:自国産業の育成を目指す一方で、個別企業の行方に対して冷淡 ◯天然ガス、バイオガス等の気体燃料と混合して利用する時代を橋渡しとするロードマップ ◯燃料電池の分散配置による自律型エネルギー拠点 →アウトソーサーは誰が務めるか?

Posted byブクログ