この海を越えれば、わたしは の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
自分のルーツを知りたい、と思うことは、子どもが大人になる過程の一つかもしれない。 クロウは赤ん坊の時に古い船に乗せられて、海に流された。流れ着いた島で彼女を拾ったオッシュは世捨て人で、絵を描いたり漁をしたりしてクロウを育てた。クロウはハンセン病患者の隔離施設のある島から流されたのではないかと思われ、他の人たちからは遠ざけられている。相手をしてくれるのはミス・マギーだけだ。 そんな中、自分は隣のペニキース島から来たのだろうか、と思うクロウの思いから、島に渡ったことから、宝を探す盗賊に遭遇、一気にスリリングな冒険に雪崩れ込んでいく…。 捨て子だった一人の少女がいわれのない差別を受けたり、血の繋がりのないオッシュとの交流、お互いの思い、自然と付き合いながらの暮らしの意味などを問い直していく。 海賊が残した宝をどうすべきなのか、一度、手にした宝をどうすべきか、どう捕らわれてしまうのかなど、少し未消化な気もしたが、久しぶりに一気に読み進んでしまった。面白かった。
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素敵な装画に惹かれて手に取った。 Marumiyan(マルミヤン)が描くクロウと猫のマウス、 その眼差しは一度見たら忘れられない。 舞台はマサチューセッツ州カティハンク島のそばにある小さな島。 地図の中にその島を見つけた。 海鳥の鳴き声や岩礁にあたって砕け散る波の音まで聞こえ...
素敵な装画に惹かれて手に取った。 Marumiyan(マルミヤン)が描くクロウと猫のマウス、 その眼差しは一度見たら忘れられない。 舞台はマサチューセッツ州カティハンク島のそばにある小さな島。 地図の中にその島を見つけた。 海鳥の鳴き声や岩礁にあたって砕け散る波の音まで聞こえてきそうで、すんなりと物語に入って行けた。 「カティハンク島の人たちがわたしを怖がっているのはなぜ」 「ペニキース島のハンセン病患者隔離施設からやってきたのは本当なのか」 クロウの"自分探しの旅"が始まる。 マサチューセッツ州ケープコッドに住む作者のローレン・ウォーク。 1925年当時の島の暮らしや時代背景を土台にしてこの物語を作り上げたそうで、魅力ある一冊になっていると思う。 ハンセン病については、末尾にルビ付きで説明があるので中学生以上なら理解できそう。 ペニキース島の療養所に日本や中国、ほかの国々からもハンセン病患者が来ていたと知って驚いてしまった。(作者あとがきより) 自分がだれかを知りたい、確かめたいとクロウは初めて海を超えた。 冒険の旅を終えてクロウが得たもの、 それは、オッシュとミス・マギー、猫のマウスと共に生きていくこと。本当の"家族"としてこの島で。 拾った赤ちゃんにクロウと名付けて育ててきたオッシュ。彼がなぜこの島にたどり着いたか、過去についてもう少し詳しく触れてほしかったと思う。
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とにかく食べ物の美味しそうな事! 100年ほど前の暮らしなのに・・・ 生き方 考え方 クロウはちゃんと育っている
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児童書に分類されてはいたけれど、この本も読み応え満点。クロウ(烏?!)と名付けられた、小船に乗せられて海の向こうからやって来た女の子と、人と付き合うことを止めたオッシユと呼ばれた男との(仮)の家族関係。 加えて、ハンセン病の恐れや閉塞感たっぷりの島の人たち。それとそれと!宝探し。...
児童書に分類されてはいたけれど、この本も読み応え満点。クロウ(烏?!)と名付けられた、小船に乗せられて海の向こうからやって来た女の子と、人と付き合うことを止めたオッシユと呼ばれた男との(仮)の家族関係。 加えて、ハンセン病の恐れや閉塞感たっぷりの島の人たち。それとそれと!宝探し。 大人のひとりとして勇気あるクロウに十二分に肩入れしてそして、感情移入して涙ぐみながら読み続けた。病気を差別すること、過去を自ら握り潰すこと、また、宝探しのために人を死に追いやることも厭わない人間もいるということ。美しいはずのエリザベス諸島での様々な出来事が胸に迫ってくる。
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主人公の少女クロウが自分がどこからきたのか、家族はどこにいたのか、突き止めるための勇気を持った行動が素晴らしい。それを見守り、必要な時には手を貸し、クロウを支えるオッシュやミス・マギー。偏見や欲にとらわれない生き方が潔く、また、幸せとは何かを問いかけてくれる作品。
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12年前、生まれてすぐ小舟で海に流され、エリザベス諸島カティハンク島の隣の小さな島に流れ着いた少女クロウは、画家のオッシュに見つけられ、それ以来一緒に暮らしていた。近くのペニキース島には、何年か前までハンセン病患者の療養所があり、クロウもそこから来たのではないかと、島のみんなから...
12年前、生まれてすぐ小舟で海に流され、エリザベス諸島カティハンク島の隣の小さな島に流れ着いた少女クロウは、画家のオッシュに見つけられ、それ以来一緒に暮らしていた。近くのペニキース島には、何年か前までハンセン病患者の療養所があり、クロウもそこから来たのではないかと、島のみんなから避けられていた。ある日、無人のはずのペニキース島から燃える日を見つけたクロウは、自分の出生の秘密を知るためにそこに行こうと考え始める。そんなクロウに、オッシュは、彼女が流されてきたときに身に着けていた、ほとんど読めない手紙とルビーの指環を手渡す。 自分の出生を知り、家族を求める少女と、それを温かく支えるオッシュとミス・マギー、善良ながら無知のために差別してしまう島の人達の様子を残忍なトレジャーハンターも加えたサスペンス仕立てで描いた作品。 *******ここからはネタバレ******* 描きたかったのはなんなのか?正直良くわからない作品です。ハンセン病患者への差別なのか?クロウが離れていくことへのオッシュの気持ちなのか?トレジャーハンティングのサスペンスなのか??? 最初から、クロウがペニキース島から来たことはわかりきった展開で、しかもその親がスザンナとエルヴァンということも確定済だった。唯一予想外だったのは兄のことだけで、それは謎のまま終わってしまう。 邦題も謎です。原題が「Beyond the Bright Sea」なのに、このままではいけなかったのか?「……わたしは」の後に何が続くのか想像もできない。 私には、内容はいろいろと中途半端で、文章も句読点が多くて読みにくいと感じる作品です。せっかくだからハンセン病患者の辛い現実だけでももっと描いて欲しかった。 読みにくいので、中学生以上からがいいと思います。
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生まれてすぐに小さな舟で海を流されたクロウ。12歳になり自らの出自を知るために、かつてハンセン病患者が隔離されていたペニキース島に向かう。 自分とは何なのか、思春期にアイデンティティーを求めて誰しも悩むが、出自が分からないことは根なし草のように寄る辺ないのだろう。 オッシュは過...
生まれてすぐに小さな舟で海を流されたクロウ。12歳になり自らの出自を知るために、かつてハンセン病患者が隔離されていたペニキース島に向かう。 自分とは何なのか、思春期にアイデンティティーを求めて誰しも悩むが、出自が分からないことは根なし草のように寄る辺ないのだろう。 オッシュは過去を捨て社会を拒絶し孤島で生きていたが、クロウを拾い育てることで変わっていく。どれ程救われたことだろう。 クロウの出自を求める行動に憤り、寂しさを抱きながらも理解しようとする気持ちに寄り添ってしまうのは大人読みだからだろうか。 後半は宝物を巡ってサスペンス的になり、ハラハラ。う~ん、宝物は必要だったのかなぁ…。
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※このレビューにはネタバレを含みます
海に捨てられてオッシュに拾われて育ったクロウが、自分のルーツを探していくところがワクワクした。しかも、財宝まで出てくるなんて! 引っかかったのは、凶悪犯に追われることになったのに、結構のんきにしていたところだ。普通、もうちょっと用心しない!? 最後に生き別れの兄?と思った青年が兄でなくて残念だったけれども、それでよかったのかもしれないと思った。
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1925年。 年代からしてハンセン病患者への差別はひどいものだっただろう。 まあ、そっちの話もあるけれど、12歳の少女が自分の出自を調べる、自分とは何か?どこから来たのか?という問いと オッシュの過去は捨ててきたというスタンス、 どちらもそれぞれに深い意味合いを持っていて、 文の...
1925年。 年代からしてハンセン病患者への差別はひどいものだっただろう。 まあ、そっちの話もあるけれど、12歳の少女が自分の出自を調べる、自分とは何か?どこから来たのか?という問いと オッシュの過去は捨ててきたというスタンス、 どちらもそれぞれに深い意味合いを持っていて、 文の語り口もなかなか。 おもしろかった。
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生まれてすぐにたった一人で小舟に乗せられ海に流された少女クロウ。小さな島で世捨て人のように暮らすオッシュに拾われ育てられた。かつてハンセン病患者を収容していたペニキース島から来たのではと恐れられ、村人たちは彼女に触れようとしない。それでもオッシュとの素朴な生活は満ち足りていた。し...
生まれてすぐにたった一人で小舟に乗せられ海に流された少女クロウ。小さな島で世捨て人のように暮らすオッシュに拾われ育てられた。かつてハンセン病患者を収容していたペニキース島から来たのではと恐れられ、村人たちは彼女に触れようとしない。それでもオッシュとの素朴な生活は満ち足りていた。しかし12歳になったクロウは、自分がどこから来たのか、両親はどこにいるのかを知りたくてたまらなくなり、誰も近寄らないペニキース島へ行ってみることに…。 暗い話かと思いきや、命がけの冒険にハラハラし通しの物語。
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