生者と死者に告ぐ の商品レビュー
オリヴァー&ピアシリーズ7作目。犬の散歩中の女性の狙撃から連続殺人事件が始まる。臓器提供の闇と振り回される患者家族たち。事件は複雑に絡み合い、捜査は次の犯罪に追い付かず、捜査班は疲労困憊する。終盤は映画を見ているような迫力。 私生活がうまくいかないオリヴァーや、休暇返上で...
オリヴァー&ピアシリーズ7作目。犬の散歩中の女性の狙撃から連続殺人事件が始まる。臓器提供の闇と振り回される患者家族たち。事件は複雑に絡み合い、捜査は次の犯罪に追い付かず、捜査班は疲労困憊する。終盤は映画を見ているような迫力。 私生活がうまくいかないオリヴァーや、休暇返上で頑張るピアたちメンバーの人間模様も楽しい。
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初めて読みました。 デンポよく話が進んで、本の厚さを感じさせないくらい、あっと言うまに間に読み終わりました。 街の雰囲気を想像できるような描写でよかった! 酒寄さんの翻訳に感謝。 他の作品も楽しみ❣️
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一応楽しみにしているシリーズのつもりだが、今回は自分が集中できないせいなのか、全然ハマれなく。このシリーズは私生活ぐっちゃぐっちゃの警察官たちが、私生活そっちのけで正義という名の元で事件を解決する様子に共感できていたのだけれども、なんだかんだピア(主人公1)は最高潮に幸せだし、オ...
一応楽しみにしているシリーズのつもりだが、今回は自分が集中できないせいなのか、全然ハマれなく。このシリーズは私生活ぐっちゃぐっちゃの警察官たちが、私生活そっちのけで正義という名の元で事件を解決する様子に共感できていたのだけれども、なんだかんだピア(主人公1)は最高潮に幸せだし、オリバー(主人公2)も色々落ち着くところに落ち着いて、なんなら最終回なのか?と疑うような落ち着きっぷりで、こうなんですかな、のめり込むような要素が皆無だったよ。事件の方もわかりにくく、面白くなく、うーん。
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オリヴァー&ピアのシリーズ、第7作。 ドイツのミステリです。 オリヴァーは主席警部で捜査のリーダー。ピアは恋人ではなく、仕事上のパートナーです。 散歩中の女性がライフルで遠くから射殺される事件が起きた。 ピアは夫と休暇旅行に行くはずだったが、人手不足の時期に難事件が起きたのを案...
オリヴァー&ピアのシリーズ、第7作。 ドイツのミステリです。 オリヴァーは主席警部で捜査のリーダー。ピアは恋人ではなく、仕事上のパートナーです。 散歩中の女性がライフルで遠くから射殺される事件が起きた。 ピアは夫と休暇旅行に行くはずだったが、人手不足の時期に難事件が起きたのを案じて取りやめる。 次々に射殺事件が起きるが、被害者は誰も恨まれるような人柄ではなかった。 捜査は難航するが…? 思いがけない事件の描写がシャープで、ミステリとして興味を引く内容。 オリヴァーは離婚後、幼い末娘を可愛がって、ようやくだいぶ落ち着いた暮らしに。ただし、今の交際相手とはどうも仲が深まらないので別れを考えている。 今回は捜査に州の事件分析官が参加するが、これがやや戯画的というか、口は達者だが的外れで、お荷物になってしまう。 ピアの妹キムが登場、実は司法精神医で、彼女の見立ての方が、事件分析官よりも役に立つという結果に。 ピアは家族と上手く行っていないという話だけは以前からあったが、詳しいことは出てこなかったと思います。 旧弊な両親らしいけれど、それなりに和解が成立した様子にほっとする心地。 事件の関係者でキャリアウーマンのカロリーネの描写が丁寧で、ん?この人、オリヴァーとお似合いじゃないかしら…(笑) 重いテーマを背景とした事件に切り込みつつ、人間的要素で読ませます。 現実味のある登場人物、捜査する面々も等身大で、人生が少しずつ変わっていきます。 そのあたりも読みどころ。楽しみなシリーズです。
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前作の、児童虐待と性暴力の話も胸が悪くなる話だったけれど、今回もまた勝るとも劣らない嫌な話。 本来なら人類のためになる技術であるはずの臓器移植を、私利私欲のために行うという、何と愚劣な話。 殺人を犯した犯人は、もちろん悪い。 何しろ殺された人たちには何の落ち度もないのだから。 では、犯人はなぜそれらの人を殺さねばならなかったのか。 ここが、この作品の肝なのだけど。 怪しい人が何人も出てくるのね。 プロファイルされた犯人像に近い人が何人も。 この人が怪しそうに書いているから、実はあの人が犯人なんじゃないか?と思わせておいての…? と、脳内で翻弄され、裏切られ、肩透かしを食わされ、ミスリードされる。 で、被害者家族がまた、一筋縄ではいかないのよ。 どうして本当のことを言わないの? 何を隠しているの? そしてなんとまあ、自分勝手な人であることよ。 臓器移植が悪いのではない。 それを悪用する人たちが悪いのだ。 ということだけは、強く意識していないと、ドナーになる勇気が持てない。 前回警察の裏をかいて逃げた奴のその後が一行ほどで語られたけど、今後まだ何かあるのかな? そして、絶対彼女はオリヴァーと付き合うことになるよね。
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オリバー&ピアシリーズ7作。 あらすじ 散歩途中の女性が射殺される。犯人はスナイパーの腕を持つようだ。続いて女性が窓の外から、さらに若い男性は心臓を撃ち抜かれる。この男性が臓器移植を受けていたこと、それぞれの被害者の夫や娘が医療関係者であることもわかる。ほかには被害者の...
オリバー&ピアシリーズ7作。 あらすじ 散歩途中の女性が射殺される。犯人はスナイパーの腕を持つようだ。続いて女性が窓の外から、さらに若い男性は心臓を撃ち抜かれる。この男性が臓器移植を受けていたこと、それぞれの被害者の夫や娘が医療関係者であることもわかる。ほかには被害者の娘はかつて人命救助の不備を遺族に責められていたらしい。地元警察には犯人からの告発予告状も届く。一方、母親を殺害された娘は医者の父親が金庫に携帯を持ち、ある人間関係を隠していることに気づく。背後には臓器移植に際して、ドナー判定に関わる犯罪があるようだ。 相変わらず登場人物は多いけど、キャラクターの濃さとか、クセの強さが適度で読み進めやすい。ドナー判定とか、人間の尊厳とかも丁寧にかかれているし、チームも一生懸命に働く様子とか、安心して読める。
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このシリーズのなにがよいといって、シリーズの冠たるオリヴァーとピアが、カップルではないことだ。 それぞれに別のロマンスがあって、二人の間には一切ない。 オリヴァーとピアは上司と部下で、よき相棒で、ともに事件に取り組む仲間なのだ。 男女がともに仕事をするのが普通の世の中で、これはと...
このシリーズのなにがよいといって、シリーズの冠たるオリヴァーとピアが、カップルではないことだ。 それぞれに別のロマンスがあって、二人の間には一切ない。 オリヴァーとピアは上司と部下で、よき相棒で、ともに事件に取り組む仲間なのだ。 男女がともに仕事をするのが普通の世の中で、これはとても現実的だ。 ちょっと理想的すぎるかもしれない。ま、いいではないか。 シリーズ7巻目の本書は、分厚く、重い。 人物紹介は、長い。 そして、テーマは重い。辛い。痛い。 いつもどおり、読み甲斐がある。 読みながら、作者ネレ・ノイハウスは嫌いな人が増えたのではないかと、勘ぐった。 いや、むしろ、作者の嫌うような人物が、世の中に増えたのかもしれない。 権利ばかりを主張して、義務は頭にない人。 親しさを装っていちいち要らぬことを言う人。 口の達者な能力無し。言い訳だけは上手いできない人。 現場跡に群がり、血痕を撮りたがる有象無象。 傲慢で、身勝手な人々に、作中のあちこちで出くわすのだ。 「最近とみにひどいです。みんな、権利ばかり主張して、配慮は死語になりました」 (28頁) 舞台は2012年、発行は2014年。 ドイツで妙な踏切事故をよく聞くようになったのは、この頃ではなかったか。 警告音が鳴っていようが、遮断機が閉じていようが、かまわず車を突っ込んで、列車とぶつかる。 あげく「こんなところに列車が通るのが悪い」などと言う。 自分が通れば、電車もなにもかも全て、道をあけて当然と思っているらしい。 神に選ばれた唯一の人と勘違いしているのだろう。 「信じられない」ピアは血の跡に群がる人だかりを見て、嫌悪感をむきだしにした。(347頁) ピアのきわめてまともなこの気性が嬉しい。 礼儀正しく毅然として、言うべきことを言う姿勢が素晴らしい。 「捜査の妨害になります」ピアは冷静に答えた。「どうか出ていってください」 (27頁) オリヴァーはといえば、その育ちのよさ、親切心、鷹揚さの見える挿話がよかった。 貴族としての包容力でチームをまとめるべく努め、招いた客(元妻の母)はタクシーではなく自身が送ると、紳士らしく申し出る。 「オリヴァー、あなたこそ、わたしが欲しいと思っていた息子よ」(136頁) さらに娘からは「世界一の父さんよ!」と、心から言われるのだ。(134頁) ドイツ人の理想とする男性像かもしれない。 『彼は女性に関して信じられないほど鈍感だ。明らかな秋波にも気づかないときている。』(232頁) 女心の機微を読むに長けている――つまりは「すれている」こともなく、むしろ抜けている。といって朴念仁ではない。 その上、有能な女性が好みだなんて、有能な女性の理想の男性ではないか。 いっぽう、巻末の解説はいろいろいただけなかった。特に悪女云々が失笑ものだ。 まず女性は悪女について語らない。 そもそも男性が論ずる悪女たるや「ボクの心を乱して、ボクの懐からごっそり持っていた女」に帰結してしまうからだ。 悪女論なぞ、女は本を読まないとされた時代の遺物だ。 男性しか読まない本で、話の合う男性のみで、こっそり論ずるのをお薦めする。 このシリーズのなにが救いといって、オリヴァーとピアのよい関係だ。 事件がどんなに残酷でも、二人のやりとりにはほっとする。 二人の周辺の人々――捜査班の面々や、家族などの様子に、しばしばにやっと笑う。 最後はちゃんとひと息ついて、後味が悪くない。 だから、読み終えた時、さらに次が楽しみになる。 きっとまた重いテーマだろうなと、予想がついてしまってもだ。 シリーズの順番は以下のとおり。 1巻ごとに事件は解決しているので、どれから読んでもかまわない。 けれども、オリヴァーやピアたちの話も楽しみたければ、やはりシリーズ順に読むのがいい。 話の順が発行順とはちがっているので、要注意である。 『悪女は自殺しない』 『死体は笑みを招く』 『深い疵』 『白雪姫には死んでもらう』 『穢れた風』 『悪しき狼』 『生者と死者に告ぐ』 『森の中に埋めた』
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オリヴァ―とピアシリーズの第7作。 犬と散歩中の老女がいきなり射殺される。 かなりの長距離から。 翌日には、祖母が孫の目の前で同じく射殺された。 「仕置き人」を名乗る者から死亡通知が届くが、 被害者の共通点は、犯人の狙いは。 ピアは恋人とバカンスに行くところだったのをあきらめて、 連続殺人を追うことにする。 オリヴァーは署長に事件分析官を押しつけられ、 チームはいらつくことになる。 三人目の被害者が心臓移植を受けたと分かった時点で、 移植関係の動機だと見当はついたが、 そこからが意外と長かった。 義母からの遺産管理の申し出を受けることにしたオリヴァーの生活が 今後どうなるのかも気になるが、 いきなり新年の抱負に新しい恋人のインカと別れる、 と来たのには驚いた。 ピアは妹以外の家族とは仲が良くないのが初めて描かれていたが、 最後にみんなには言わずに結婚した恋人と 披露パーティーをしていたのが良かった。 その妹は署長はつき合うのか?
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読みずらい名前の沢山の登場人物がいるため、完読するのを一度諦めた作品。 最後まで、登場人物欄とにらめっこだった。
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オリバー&ピア、シリーズ、深い疵いらい2冊目を読んでみた(刊行順としても翻訳順としても無茶苦茶だが) 脳死と臓器移植の問題に切り込んでいくのが主題。金と名誉のために人の死の尊厳をおろそかにしていいのか?そういう結構重くて深いテーマを前面に出しつつ、無差別(と思われる)狙撃殺人事件を追うドイツ警察の捜査ミステリーを描く。 ちょっと長くて飽きてくるところと、登場人物の名前を覚えきれず誰が誰だか分からなくなりそうになる、という瑕疵もあるが、それ以外は非常に楽しめるし読みごたえもある小説。 ドイツ人っていい意味にも悪い意味にも真面目だなぁ。日本人の几帳面とはまた違う頑固な真面目さ。警察の側にも犯人の側にも悪役の側にもその真面目さがにじみ出る。そんなあたりも興味深い。
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