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ネプチューンの影 の商品レビュー

3.8

7件のお客様レビュー

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2024/05/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

たゆたうアダムスベルグが追い詰められて気が短くなっているのを救うのは 素敵な3人の女性と3人の男性。 しかし、アダムスベルグに弟がいたとは初耳だったよ。 その弟を救うためにアダムスベルグは真犯人を執拗に調べ突き止め追いかけるが、あと一歩で手のひらからするりと逃げられ、挙句に自分が罠にはまる。 なんですが、 ダングラールよ、私も最初のアダムスベルグの話で、弟は死んでいると思い込んでいたよ。 そう、弟も、16年前に死んだとされていた真犯人フュルジャンスも生きてたんだよ。いやはや。 そういや、冒頭では、ダングラールが死ぬ死ぬと騒いでいましたね、飛行機に乗りたくないがために。 カナダでの、空白の2時間半だっけ? これ、絶対フラグだと思ってました。 挙句にノエラが飛行機に乗らなかったんですもの、完全にこれ、アウトなフラグですよね。 案の定、ノエラは殺害され、犯人としてアダムスベルグが疑われる。 状況はかなり不利である。 GRCのラリベルテは、彼を捕まえる気満々で捜査をしている。そんな中、アダムスベルグを救いたいと思ってくれてるのがわかるサンカルチエは良いねぇ。彼がいるだけで、救われる気がしたよ。 そんな絶体絶命のアダムスベルグを救うルタンクールが素敵。常に冷静、常に客観的、常に空気のように存在感を消し、観察をする。 彼女のおかげで逃亡計画がうまくいった。 弟とも無事に会えて良かったよかった。 ね、ダングラール。探してくれてありがとね。死んだと思ってたけどね。 そんな弟ラファエルも、逃亡劇に一役買ってくれました。 そして、フランスに戻ってきた彼をかくまってくれるのはクレマンチーヌと、同居人のジョゼット。 クレマンチーヌと同世代と思われるジョゼットが、まさかのハッカーで、非常に有能。おかげで、隠れ家にいながら色んな事を調べることができた。 あ、もちろん、ダングラールも協力してくれました。 一時期、アダムスベルグの落ち込みにつられて、ダングラールを怪しんだりしてしまったけれど、謝っとく。ごめん。 ケベックに連絡しているダングラールが出てきたとき、またちょっと疑いの目を向けそうになってしまいましたが、そういや、サンカルチエの事褒めてたのを思い出し、これは、そっちですね?と理解しました。 なのに、ダングラールったら意地悪するから、またそこで「え!?」って思わされたけど、人の良いサンカルチエが「ひでぇ!」って言ってくれて救われたw 真犯人は、最初からアダムスベルグが言ってた通りなんだけど、確証を上げられずに今まで来ていたのを、どうやって、解決するのか、が、見どころ(読みどころ?) 6週間の期限の間に事実を突き止めるため、みんなの協力のおかげか、どんどん答えが集まってくる。 まず、死んだとされていたのを覆した時、 そして、被害者の関連性が分かった時、 小気味よく進んでいくので、途中で読むのを止められず、おかげで読み終わったら朝でした。どうもありがとうございました。 弟も、無事にフランスに戻ってこられてよかった。 カミーユとは結局離れたまんまなの? 子供の父親の件、わかってよかったわね。きっと私以外の読者も、アダムスベルグがわーわー言ってるだけで、父親はあなただと確信していたけれどもね。 サンカルチエもダングラールも今回の事件のおかげで昇進したし。 さて、アダムスベルグはまた夢想家に戻るんですかね。

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2021/01/15

刑事アダムスベルグシリーズ第3作。翻訳されている中で。シリーズも作者も初読。 あらすじ 三本槍で刺された死体が発見される。それはアダムスベルグが30年も追いかけていた連続事件であった。犯人はわかっている。故郷で判事と呼ばれていた男だ。しかし、彼は必ず別の人間に罪を着せ消えてしま...

刑事アダムスベルグシリーズ第3作。翻訳されている中で。シリーズも作者も初読。 あらすじ 三本槍で刺された死体が発見される。それはアダムスベルグが30年も追いかけていた連続事件であった。犯人はわかっている。故郷で判事と呼ばれていた男だ。しかし、彼は必ず別の人間に罪を着せ消えてしまう。現にアダムスベルグの弟は犯人にされ、逃走している。そして、今回、警察チームが研修で行ったカナダにも判事の犯行が行われ、なんとアダムスベルグが容疑者にされてしまった。  シリーズ途中のためか、いまいち設定や登場人物のキャラクターがつかみづらかった。あと、作品のテンポも。私には唐突な感じがして読みづらかった。

Posted byブクログ

2020/09/15

大好きなヴァルガスのアダムスベルグ警視シリーズの最新訳。論理からは程遠く、浮世離れした直感だけによって真実を掴み出してしまう「困った」警察署長が、今回は自分と自分の肉親が深く関わる事件の記憶によってよって窮地に追い込まれる。本格ミステリーながらフランスサッカー部ならではと思わせる...

大好きなヴァルガスのアダムスベルグ警視シリーズの最新訳。論理からは程遠く、浮世離れした直感だけによって真実を掴み出してしまう「困った」警察署長が、今回は自分と自分の肉親が深く関わる事件の記憶によってよって窮地に追い込まれる。本格ミステリーながらフランスサッカー部ならではと思わせる一風変わった味わいのある作品で今後も翻訳が出ることを楽しみにしている。 小気味良い老嬢達(ジョゼットがとってもチャーミング)の言葉遣いとか、粗野なケベックのフランス語「ケバクワ」がどんな風に原語で書かれているかも知りたいなぁ。フランス語で読めるようにはならないだろうけど。

Posted byブクログ

2020/07/20

アダムスベルグ警視シリーズ。 ネプチューンの三つ叉槍の刺し傷のある死体。それはアダムスベルグが長年追い続けた連続殺人犯の手口だった。しかし彼が容疑者とみなしている男はすでに死亡しているはず。彼は再び捜査を開始するが荒唐無稽な話は信じてもらえず、そうこうするうちに彼自身も事件に巻き...

アダムスベルグ警視シリーズ。 ネプチューンの三つ叉槍の刺し傷のある死体。それはアダムスベルグが長年追い続けた連続殺人犯の手口だった。しかし彼が容疑者とみなしている男はすでに死亡しているはず。彼は再び捜査を開始するが荒唐無稽な話は信じてもらえず、そうこうするうちに彼自身も事件に巻き込まれてしまう‥ 奇想天外というかなんとも変な話だった。序盤はなかなか話が見えず進まなかったが、カナダ研修に行って一気に緊迫する。(カナダ人のフランス語が訳すと九州弁なのは笑えた。そんな感じなのか?)後半はかなりご都合主義のところがあるが、アダムスベルグのピンチに助力してくれる人々の活躍が楽しい。 本筋とは関係ないが、シリーズが飛び飛びで訳されているせいか、アダムスベルグとカミーユの関係がいまいちわからないのと、フランスではカエルにタバコを咥えさせて爆発させる遊びが普遍的なのかが気になった。

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2020/04/07

今までは主役なのにつかみどころのなく、元恋人カミーユへの思いだけがしつこく描写されて、いつのまにか事件を解決してる、よくわからないけど有能な警部、という印象。今作は人が代わったかのような人情物語。無罪にはなったが、悪評のため故郷から離れている弟の事件と、現在起こっている事件に繋が...

今までは主役なのにつかみどころのなく、元恋人カミーユへの思いだけがしつこく描写されて、いつのまにか事件を解決してる、よくわからないけど有能な警部、という印象。今作は人が代わったかのような人情物語。無罪にはなったが、悪評のため故郷から離れている弟の事件と、現在起こっている事件に繋がりを感じる。以前、その事件に深入りし、犯人には危険視されている。犯人は死を偽装し生きていて、警部を殺人事件の容疑者として、世の中から葬ろうとしていた。結構、謎解きというか、本筋に忠実に構成され、非常に楽しく読めた。

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2020/03/08

フランスのパリの警察署長を主人公にしたミステリー.知らなかったけどシリーズ4作目(邦訳は3冊目)らしい. 舞台はパリとケベックで,登場人物の名前が全員フランス系で頭に入りにくいのが難点. でも面白かった.前3作が未読でも全く問題ないと思う.主人公達がみなキャラが立っていて,魅力的...

フランスのパリの警察署長を主人公にしたミステリー.知らなかったけどシリーズ4作目(邦訳は3冊目)らしい. 舞台はパリとケベックで,登場人物の名前が全員フランス系で頭に入りにくいのが難点. でも面白かった.前3作が未読でも全く問題ないと思う.主人公達がみなキャラが立っていて,魅力的.

Posted byブクログ

2020/01/05

 キャラの立った小説は面白い。主人公が個性的で魅力的であること、他と違う唯一無二の人間であることは何よりも大切なことだが、名前を覚えることの苦手な読者にとっては、脇役陣であれ、早い時期に他のキャラと切り分けられるほどに個性的かつ印象的な人間であってほしい。そうすると物語が活き活き...

 キャラの立った小説は面白い。主人公が個性的で魅力的であること、他と違う唯一無二の人間であることは何よりも大切なことだが、名前を覚えることの苦手な読者にとっては、脇役陣であれ、早い時期に他のキャラと切り分けられるほどに個性的かつ印象的な人間であってほしい。そうすると物語が活き活きして、とても面白く感じられるのだ。  本作はその意味ではお手本のような作品だ。フランスとカナダとを往復する物語であるために、巻頭の登場人物一覧には、パリとケベックとの刑事たちの名前がそれぞれにずらりと並ぶ。他にも関係する何人もの名前が。そのうちの何人かは、物語の中でこの上なく重要な役割を、しかも相当に魅力的に果たすことになる。  主人公アダムスベルグは直観の男であり、最も仲の良い部下ダングラールは論理の男であるという対比構造がまた全体にビターテイストの香辛料みたいに効いている。これだけ個性と魅力豊かな面々がいれば事件なんて要らないんじゃないかと思えるほどに。まったく。  しかし、本書は本格ミステリー読者にも受けが良いのでないかと思われる。長年月における複数件の殺人事件を、ひとりアダムスベルグのみが連続殺人と確信し、その犯人の見当もつけていた。初期の頃に弟のラファエルが容疑者として巻き込まれた事件であったことから、彼は今も行方不明の弟との再会を望みつつ、極秘に資料を漁っていたのだ。しかし既に犯人と目していた男が死亡している。しかしその連続殺人の延長と思われる事件に彼は、ふたたび出くわす。  そしてその連続殺人者の魔手はカナダ出張中のアダムスベルグをもその渦中に巻き込んでゆく。容疑者はスーパーな天才的犯罪者にしか思えないが、それを追跡するアダムスベルグも相当にウルトラである。楽しいのは、追い込まれ逃亡しつつ真相を追及するという状況であり、そうした苦しい境遇を助ける仲間たちの稀有な活躍だ。  いくつもの出会いがあり、そこに描かれてゆく人間絵図がたまらなく面白い。前半、どこに寄り道してゆくのかと思われる助走部分を読み進んでゆくと、急展する思わぬ展開から後半部は一気に読み進めたくなる傑作である。  フレンチ・ミステリーはこうでなければ! と思わせる作品である。本来フレンチが持つノワールの気配や、対決構造や何気ない会話を含めた全体が、エスプリとゲーム性に満ちた、実に読みどころの多い傑作なのである。新年初の一冊としては文句なしの一冊であった。

Posted byブクログ