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ザ・ロイヤルファミリー の商品レビュー

3.8

86件のお客様レビュー

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2020/02/16

仕事を辞め他ばかりの栗須に、馬主活動をする人材派遣会社の社長山王は、自分のマネージャーになるように言いつけた。… 馬主とそのマネージャーの話です。 期待していなかったので、面白さに面食らいました。 世代を超えて繋がっていく馬と馬主。 その複雑な人間関係にも魅了されます。 著者...

仕事を辞め他ばかりの栗須に、馬主活動をする人材派遣会社の社長山王は、自分のマネージャーになるように言いつけた。… 馬主とそのマネージャーの話です。 期待していなかったので、面白さに面食らいました。 世代を超えて繋がっていく馬と馬主。 その複雑な人間関係にも魅了されます。 著者の仕事、上手いなと感心しました。 レースのシーンは、その情景が目に浮かぶよう。 そして、ラストシーンは、その先を馬の戦績の一覧で見せるという終わり方で、鼻の奥がキューッとなりました。 今までとは違う目でこれからは競馬を見ることになると思います。 素晴らしい作品でした。

Posted byブクログ

2020/02/09

サラブレッドと聞くと優雅に走っている印象でしたが、競走馬の世界がこんなに厳しいという事を初めて知りました。そして競馬とは馬主や農場、調教師、騎手、そして馬券を買う人によって成り立つ深い世界だとも知りました。物語は馬主となった男のひとつの家族を追いながら、それを近くで見つめ続けた主...

サラブレッドと聞くと優雅に走っている印象でしたが、競走馬の世界がこんなに厳しいという事を初めて知りました。そして競馬とは馬主や農場、調教師、騎手、そして馬券を買う人によって成り立つ深い世界だとも知りました。物語は馬主となった男のひとつの家族を追いながら、それを近くで見つめ続けた主人公を話し手に展開していきます。競馬というものに心を奪われた人々の、レースにかける思いがドラマチックに物語を展開させ、最後まで引き付けました。競走馬を見る目がかわる本です。

Posted byブクログ

2020/02/06

競馬に全くもって興味ありません。そもそも賭け事全般に興味が無いと言っても過言ではありません。 そんな賭け事の中でも一番ロマンがあるであろう競馬。興味は無いけれど馬はかわいいので大好きです。牧場行くと馬に餌あげられるコーナーで永久に居られるくらい好き。無心になれるランキングでも相当...

競馬に全くもって興味ありません。そもそも賭け事全般に興味が無いと言っても過言ではありません。 そんな賭け事の中でも一番ロマンがあるであろう競馬。興味は無いけれど馬はかわいいので大好きです。牧場行くと馬に餌あげられるコーナーで永久に居られるくらい好き。無心になれるランキングでも相当な上位に行く事でしょう。 さて、そんな競馬の馬主を軸にした競馬界の物語です。お金持ちの絢爛豪華な世界と思われがちですが、その通りです。小金持ちではなれないのが馬主という存在(ちなみにバヌシではなくウマヌシというらしいです。)です。 お金を儲けるという目的ではなく、名誉欲が満たされるというのが一番大きい趣味だと思います。しかしこの本を読んでハッとしたのは、酔狂なお金持ちがこの文化を支えなければ、あっという間にサラブレッドは絶滅してしまうんですね。速く走るという事だけに作り出された動物ですからね。 そしてこの本は、ワンマンで傲慢でどこか憎めない社長と、彼に見込まれてマネージャーを勤め上げる栗須。そして馬の血統そのものが主人公です。 ボリュームのある本で読みごたえもありますが、テンポよく進んでいくのでとても読みやすいです。しかし中身はとても濃密で彼らの20年間を凝縮しています。 登場人物も皆魅力的で、力強く存在感があります。 血の継承という血統馬の最も大事な部分と、人間同士が血によらない精神的な部分で継承し、いつか先人を追い越そうとがむしゃらに駆け抜ける姿に興奮を覚えました。 ここから何かが展開するのかな?という所からの肩透かしが沢山ありますが、たぶん意図的なんだろうと思います。 競馬が好きだったらこの本の面白さは倍増する事でしょう。恐らくモデルになる馬がいるのでしょうから、重ね合わせて胸ときめかせて読むのでしょう。この本をそうやって読める人がいるのがうらやましいです。競馬興味ない僕がこんなに楽しめたのだから、どれだけ楽しいだろう。 今回本屋大賞に「店長がバカすぎて」でノミネートされていますが、推すならこちらだろうと力を込めて言いたい。書店員さんが選ぶ賞なのでどうしても書店を舞台にした本に思い入れが有ったんだと思うんですが、あちらはあくまで凡作です。名作と肩を並べる価値があるとはとても思えません。でもこの本であれば格的には他の本と十分いい勝負になるし、何よりこの本やイノセントデイズ、小説王のような本をまず読んで彼の真価を知ってほしい。早見一真さんは打率がいい方ではないと僕は思っています。外れも結構あるので最初に読むならいい本から入ってほしい。この本は入り口としても適していると思います。

Posted byブクログ

2023/01/01

競馬好きが本作を読んで感動するのは必定だが、競馬に関心のない人、もっといえば忌み嫌っている人にも読んで欲しい作品。ギャンブルとは違う側面の競馬があることを、そしてそれは連綿と受け継がれる巨大な人生であることを、ひとりでも多くの人に知ってもらいたい。

Posted byブクログ

2020/02/02

王宮の話かと思いきや馬主一家の物語。 馬主であった父が子供に夢をたくし、子供は父を超えたいと願う。 そんな一家を見守り続けるマネジャーもまた一家族なのかもしれない。そして馬も騎手も家族。 競馬を全く分からないのが読んでいてちょっと残念だった。

Posted byブクログ

2020/02/02

男手一つで育ててくれた父の背中を見て育った29歳の栗須栄治は、父と同じ税理士となり、いつか一緒に働きたいと思いながら夢果たせぬまま父を亡くし、仕事への意欲を失っていた。後悔の念を抱き続けるクリスの前に現れたのは、癖のあるワンマン社長で馬主の山王耕造だった。彼の専属マネージャーとな...

男手一つで育ててくれた父の背中を見て育った29歳の栗須栄治は、父と同じ税理士となり、いつか一緒に働きたいと思いながら夢果たせぬまま父を亡くし、仕事への意欲を失っていた。後悔の念を抱き続けるクリスの前に現れたのは、癖のあるワンマン社長で馬主の山王耕造だった。彼の専属マネージャーとなったクリスは、その日から想像もできない光と影の世界へと飲み込まれていく・・・ 競走馬の馬主であることの矜持、血の継承、牧場経営の苦悩、厩舎の努力、ジョッキーの才能と栄光、そして、耕造にどこか亡き父を重ねていたクリスの思い・・・ クリスの語り口調で進行するソフトな印象の物語は、競走馬に寄せる多くの人々の熱い想いを巻き込んで読み応えある大河小説となる。 前半は耕造とクリス、そして耕造がもっとも大事にしていた馬「ロイヤルホープ」の物語として、後半は耕造の外腹の息子・耕一とクリス、そして「ロイヤルホープ」を父に持つ「ロイヤルファミリー」の物語として描かれる。 前半の終わりから後半にかけてはもう涙ぼろぼろ。放漫でがさつと見えた耕造の不器用な生き方、父と子の思い、馬への優しいまなざしに胸を熱くした。 正直言うと、そこで物語の山が来たからか、後半はなくてもよかったかな・・・と思わなくもないが、クリスの物語としては、後半があってこそ完結なのかな~とも思う。 そして、ラストでの耕一の決断が文中では示されず、最終頁として添えられた「ロイヤルファミリー戦績リスト」でわかるという仕掛けがなかなか粋でした。 競馬の世界を知らなくても、知っていればなおさら楽しめる、読後も爽やかな人間ドラマでした。

Posted byブクログ

2020/01/19

事前の触れ込みを全くなしで読んでたもので、競馬会の裏側とか黒幕とか、そんな穿った見方で読み進めていて途中で気付いた。これってもしかして普通の良作?と(笑)競馬物の小説ってレースの展開とかどうしても説明中心になりがちだけど、この作品は一番内側にいる部外者の視点として風景や心情を文章...

事前の触れ込みを全くなしで読んでたもので、競馬会の裏側とか黒幕とか、そんな穿った見方で読み進めていて途中で気付いた。これってもしかして普通の良作?と(笑)競馬物の小説ってレースの展開とかどうしても説明中心になりがちだけど、この作品は一番内側にいる部外者の視点として風景や心情を文章にしており、競馬好きの僕にはすっと入ってきた。競馬を知らない人にとっては?それは知らん奴が悪いとゆうことで(笑)勝てそうで勝てない、マキバオー的な結果に人は惹きつけられる。勝利をその後の話として物語の外においたのも個人的に大好き。

Posted byブクログ

2020/01/18

読み応えあり ちょっと変わった丁寧な語り口で訥々と語られるのが心地良い。月ごとに章立てが進みながら年月は進んでいくのもテンポがあって良かった。 ただちょっと長かったか、後半は別の本でも良かった。

Posted byブクログ

2019/12/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

P.257 「…ギャンブルとしてじゃなくて、趣味として折り合えるようになったら、競馬は本当におもしろい。ミステリー小説好きなんかには絶対にハマる要素があると思う」 その通りです!ずっとそう思ってました。 わたしは血統表や馬柱、競走成績でごはんが食べられる人間なので、最後の1ページを読み込んで行くほどに涙が止まらなくなった。 これは新しい。というかこのファイナルストロークは競馬小説でしか使えないんだけど、やられた。 グリーンチャンネルの「競馬場の達人」に作者が出た回を見ていたので、この本が出るのを楽しみにしていたが、競馬好きには刺さる場面が頻出で、その都度泣いてしまった。 競走馬、特に牡馬は素晴らしい成績を残し、種牡馬となることが幸せな余生を過ごすことに繋がるというオーナーの哲学が語られるが、ディープインパクトやキングカメハメハはもっと幸せになってよかったのではないか…などと考えるとまた泣けてくる。 近藤利一氏っぽいオーナーが出て来るが、先日の香港でのアドマイヤマーズの調教師の涙が重なるし。 競馬はずっと続いていくところに素晴らしさがあることを描いているのだが、競馬に興味のない人にも伝わるといいな。

Posted byブクログ

2019/12/11

栗須栄治は、ひょんなことから人材派遣業を経営しつつ競馬の馬主をする山王のマネージャーになる。競馬という未知の世界。馬主、ジョッキー、調教師、魑魅魍魎たち。山王の愛人の子が登場し、また栗須の昔の恋人は北海道で馬を育てている。山王と栗須はG1を制覇出来るのか・・・ 競馬には興味がな...

栗須栄治は、ひょんなことから人材派遣業を経営しつつ競馬の馬主をする山王のマネージャーになる。競馬という未知の世界。馬主、ジョッキー、調教師、魑魅魍魎たち。山王の愛人の子が登場し、また栗須の昔の恋人は北海道で馬を育てている。山王と栗須はG1を制覇出来るのか・・・ 競馬には興味がないのにもかかわらず、「シービスケット」や「優駿」には痺れた。本作も、競馬を特に馬主から見た素晴らしいドラマにしてくれた。 何かに本当に、全身全霊費やす者の物語はやっぱり読ませる。

Posted byブクログ