一億三千万人のための『論語』教室 の商品レビュー
高橋源一郎先生が20年かけて翻訳した論語の解説本。なかなかのクセつよ翻訳だが、そのクセがゆえに、何が通説から漏れていた情報なのかが分かりやすい。 高橋先生がはじめて論語を翻訳した時、意味はわかるのだが、孔子が何を言いたいのかは分からなかったそうだ。そして、「孔子先生がいうことが...
高橋源一郎先生が20年かけて翻訳した論語の解説本。なかなかのクセつよ翻訳だが、そのクセがゆえに、何が通説から漏れていた情報なのかが分かりやすい。 高橋先生がはじめて論語を翻訳した時、意味はわかるのだが、孔子が何を言いたいのかは分からなかったそうだ。そして、「孔子先生がいうことがわかるまで決してこの人のもとを離れまい」と決めたのだそうだ。だからこの本は、「孔子先生の教室に20年通っている間に、ぼくがとったノート」なのだと。 このエピソードは、内田樹先生がエマニュエル・レヴィナスに(勝手に)弟子入りした時のことを思い出させる。賢い人は、師をみつけるセンサーが敏感で、師から勝手に学んで、そうしてまた賢くなっていくんだなあ。 499個の孔子先生のメッセージの全ては読んでないけど、最後の499個目に「ことばというものを理解しなければ、ほんとうに人間を理解することはできない」とあったのが興味深い。 言葉にとらわれるなとか、言葉より心だとか、そんなことを言わない孔子先生が好きです。
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考えなさい。 正しく生きなさい。 正直に生きなさい。 そして、行動しなさい。 たくさんの格言の中から自分が感じたポイント。 知るだけでもダメ、行動しなければ。 面白かった。 極端に現代風な意訳。著者の政治的スタンスが垣間見れるのも楽しい。 知った僕。 次は行動だよな。
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※このレビューにはネタバレを含みます
■ひとことで言うと? 論語は「人」としての生きる道を指し示すコンパス ■キーポイント ・仁:私 < 公の精神 - 「仁者」に至るのは困難だが、日々の生活で実践することはできる - 恭・寛・信・敏・恵の実践 - 人を愛する ・礼:人間としての在り方 - 社会を成立させる基盤(すべての基本) - 「己れに克ち、礼に復えるを仁と為す。」 ・「剛毅木訥なるは仁に近し」 - 強い意志があり かつ 素朴であること - 反対「巧言令色には、鮮いかな仁」 ・「子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず。」 - 楽しいが最強
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単純な対訳だとあまりに簡素になってしまうのに対して、非常に工夫されて訳されており感心した。ただ、あまりに分かりやすく訳されていて、論語を読んでいるということを忘れてしまうほど軽妙であるとも言える。これはどちらかと言うと著者ではなく自分の問題で、論語を噛みしめて血肉に通すような経験...
単純な対訳だとあまりに簡素になってしまうのに対して、非常に工夫されて訳されており感心した。ただ、あまりに分かりやすく訳されていて、論語を読んでいるということを忘れてしまうほど軽妙であるとも言える。これはどちらかと言うと著者ではなく自分の問題で、論語を噛みしめて血肉に通すような経験のためには、それこそ著者のように何十年もかけて味わい尽くす、何度も本文を行ったり来たりする必要があるということを痛感させられた。
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作家高橋源一郎が20年ががりで論語と向き合い、超訳でも創作でもなく、現代版に通訳した高橋版論語。 現代語訳なだけにすんなり入っていきやすい。 まずは駆け足で読んだが、次はじっくりと再読したい。
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凄い訳業だと思う。 自身を孔子の門下に入門した弟子であると夢想して、論語を先生が弟子に語った血肉の通った言葉として現代語訳する。 言葉は、その言葉が発せられた背景にある時代背景や、誰に向かってどんな場面で言った言葉かを踏まえていないと正しく理解できない。考えてみれば当たり前のこと...
凄い訳業だと思う。 自身を孔子の門下に入門した弟子であると夢想して、論語を先生が弟子に語った血肉の通った言葉として現代語訳する。 言葉は、その言葉が発せられた背景にある時代背景や、誰に向かってどんな場面で言った言葉かを踏まえていないと正しく理解できない。考えてみれば当たり前のことである。 そうして理解した論語の内容を現代語訳に落とし込んでいる。 なんて書いてもちっとも伝わらないのだが、とにかく一読すればこの翻訳に傾けた著者の情熱がすぐに伝わってくる。 ただ悲しいかな。 未熟な私には、4章まで読んでも殆ど孔子の言葉はピンとこずに、投了となった。 私には論語が染みるほどの器量がまだないようだ。 もっと歳を取ったら、論語が心にしみるようになる日がくるのだろうか。
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2021/2/14 図書館返却。また借りたい。高橋源一郎先生のユーモラスを交えた現代語訳には感嘆しますが、それも現代の我々の社会生活に当てはまることばかりで、思わず笑ってしまいます。弟子との問答も面白いが(人物評が多いが)、最後はなるほどね。上手いこというなあと感心させられます。
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「論語読みの論語知らず」ならぬ、全巻の「論語読み」すらしていない者には、「論語知らず」も何もないのである。 今回、全巻の通読ができたのは、偏に訳者に負うところが全てである。 通読してみると、孔子が伝えたかったことが多少なりとも理解できたように思う。これも、偏に訳者・高橋源一郎に負...
「論語読みの論語知らず」ならぬ、全巻の「論語読み」すらしていない者には、「論語知らず」も何もないのである。 今回、全巻の通読ができたのは、偏に訳者に負うところが全てである。 通読してみると、孔子が伝えたかったことが多少なりとも理解できたように思う。これも、偏に訳者・高橋源一郎に負うところが全てである。
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2020.11.1 やっと読み終わった、、 長らく論語の全訳が読みたいと思っていた中、本屋で発見。積読状態が長かったが、ようやく読み切ることができた。 時代背景の理解も必要な論語を、現代風にわかりやすく訳された内容で大変素晴らしい。何より孔子への愛が伝わる文章で、とても気持ちよく...
2020.11.1 やっと読み終わった、、 長らく論語の全訳が読みたいと思っていた中、本屋で発見。積読状態が長かったが、ようやく読み切ることができた。 時代背景の理解も必要な論語を、現代風にわかりやすく訳された内容で大変素晴らしい。何より孔子への愛が伝わる文章で、とても気持ちよく読めた。あとで調べたら筆者の経歴も中々のもので、「よくぞ書いてくれた」といった感想を抱きます。 論語は年1は必ず読んでいますが、読むたびに自分の悩んでいることの答えが見つかり、自分の定点観測的な立ち位置になってます。たくさんの解説本を読みましたが、その中でも今回の本はバイブル入り間違いなし。 今回もまた、孔子に学ばせていだきました。
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高橋源一郎が論語を翻訳した一冊。翻訳とはいっても直訳ではなく、現代風に、というか現代に生きている我々日本人にもわかりやすいように意訳も含めての翻訳、といったところか。 全499本、すべてを訳しているので、500ページを超える厚い本になっているが、僕なんかは原文をスルーして翻訳のパ...
高橋源一郎が論語を翻訳した一冊。翻訳とはいっても直訳ではなく、現代風に、というか現代に生きている我々日本人にもわかりやすいように意訳も含めての翻訳、といったところか。 全499本、すべてを訳しているので、500ページを超える厚い本になっているが、僕なんかは原文をスルーして翻訳のパートのみを読み進めたので、思ったよりも早く読み終えた。それでもかなり時間はかかったけれど。 先にも書いたように「現代風に、というか現代に生きている我々日本人にもわかりやすい」ように訳されており、それはそれで興味深いし、なるほど、と思えることも多かったのだが、「現在の政治家に言い聞かせたい教えだ」的な、今の政府、政治界を揶揄、あるいは批判するような高橋氏の私情が挟まれる部分が必要だったのかどうか。 論語の教えを現行の政府や政治システム等になぞる行為は実は高橋氏がやることではなくて、読み手である僕ら自身がやることのように思える。「有難迷惑」とまでは言わないけれど、もう少し含みを持たせて読者諸氏のイメージを膨らませるような内容だったら、もっと良かったように思う。
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