特別ではない一日 の商品レビュー
様々な時代の様々な日々を小説化するという試み。 どれもひと癖ふた癖あって静かなんだけど、まともじゃない。暴力的とか、狂気的とかいう意味ではなく、「んな事思いつくかい」という異様さがある。 様々な一日のある瞬間を切り取った作品なので一様になんとも言えない。ただこれ、印象に残るなぁ。
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岸本佐知子さんが入っていることに惹かれて読む。ほかの作家さんはほとんど知らない。 私の感性ではすべてを楽しんだり親しんだりすることはできなかった。 嫌悪もない代わりに、すぐに忘れると思う話もあった。 でも、描いている情景の意味が理解できなくても、文章を読めること自体が嬉しくて読ん...
岸本佐知子さんが入っていることに惹かれて読む。ほかの作家さんはほとんど知らない。 私の感性ではすべてを楽しんだり親しんだりすることはできなかった。 嫌悪もない代わりに、すぐに忘れると思う話もあった。 でも、描いている情景の意味が理解できなくても、文章を読めること自体が嬉しくて読んだ。 アンソロジーは、自分では手に取らないだろう知らない人の文章を読めるのが楽しみ。
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『二人とも、八十代のころより今のほうが足腰も力もずっと強い。風邪もひかなくなった。これじゃどうやって死ねばいいのかわからないねえ、と笑い合ったあと、体のどこかがすうすうする』―『年金生活(岸本佐知子)』 何となく活字を受け付けない日があるかと思えば、急にすいすいと本を読み進めら...
『二人とも、八十代のころより今のほうが足腰も力もずっと強い。風邪もひかなくなった。これじゃどうやって死ねばいいのかわからないねえ、と笑い合ったあと、体のどこかがすうすうする』―『年金生活(岸本佐知子)』 何となく活字を受け付けない日があるかと思えば、急にすいすいと本を読み進められる日がある。活字が音を成し、その音が意味を成す。その過程は変わらないのに、意味を読み解くのに要する時差のようなものを強く感じる時とそうでない時があるのだ。特別といえば特別と言えなくもない、けれどやはり何か変わった事ことがある訳でもない、言わば特別ではない日。そんな日がたまにある。 この本は二年以上前に買って読み始めては中断し、また読み出しては放り出すということを繰り返した本。ふと思って読み直してみたら、今回は最後までするする読み終えてしまった。短篇ともエッセイとも呼び難いような文章が並ぶ本書は、何処から読み始めても、あるいは読まなくても構わないような本なのだが、何故かいつも途中で手が止まってしまう本だった。 それなのに今回はどれもぎくしゃくとすることなく読める。だからといってより深く言葉の意味が捉えられているとか、何か違った風景が読み取れるとかいうことがある訳でもない。岸本佐知子には諧謔的な面白さを相変わらず感じるし、円城塔の理屈っぽさに妙な可笑しみを感じることも同じ。そしてそもそも柴崎友香が参加していてこのタイトルであったからこそ本書を手に取った訳だけれども、その柴崎友香の切り取る風景に惹かれていく思いも再確認している。 けれどやはり何か言葉が身体を通り抜けて行く風情のようなものが異なる気がしてしまう。それが良いとか悪いとかではないけれど、これまで読んで刹那的に湧く思いを掬って来たことを思うと、そういう特別ではない日に読めた本は幸せだなと思えて仕方がない。逆にそうでない日にうんうんと言いながら読んだ本には申し訳のない気持ちも湧く。 ひょっとすると、無意識の内に散り積もっていた何かが洗い流されたのか。この「特別ではない一日」というタイトルの私家集にそんな浄化作用めいた効用があったのか。恐らくそう長くは続かないそんな時間がまだ残っている内に、取って置いた好きな作家の一冊を読み始めよう。何故だかそんな気になった。 『わたしは、端っこのポールにくっついて片腕を巻き付け、ポールのふりをした。自分はポールだ、と自分に言い聞かせた。赤信号の残り時間はまだ九十秒ある』―『日壇公園(柴崎友香)』
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毎日、何かがあるけれど…それは決して特別ではない。 そんな毎日に、そっと寄り添ってくれる本。 今の私には、こういう特別ではない"短文"たちの本が必要だったのだ。 当たり前だけど、全て日本語で書かれている。だけど書き手が違うだけで、こんなにもリズムや空気感が違...
毎日、何かがあるけれど…それは決して特別ではない。 そんな毎日に、そっと寄り添ってくれる本。 今の私には、こういう特別ではない"短文"たちの本が必要だったのだ。 当たり前だけど、全て日本語で書かれている。だけど書き手が違うだけで、こんなにもリズムや空気感が違ってくるものなのか。文章やそのリズムの美しさもあるし、ある種の不気味さを感じさせる短文もあり、それが心地よい。とても気分良く読めた。 特別ではないからこそ、いつだって、ふとした時に手に取って読みたい本。
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著者名を見るだけで楽しくなる、とんでもなく豪華な目次。山尾悠子さん、柴崎友香さん、滝口さん、小山田浩子さん・・・とキリがない。 好きな作家さんが多くいた中で、水原涼さんの「yさんのこと」はあまりにふいうちで全部持っていかれた。 昨日まで読んでいた阿川センリさんが「すごく意識し...
著者名を見るだけで楽しくなる、とんでもなく豪華な目次。山尾悠子さん、柴崎友香さん、滝口さん、小山田浩子さん・・・とキリがない。 好きな作家さんが多くいた中で、水原涼さんの「yさんのこと」はあまりにふいうちで全部持っていかれた。 昨日まで読んでいた阿川センリさんが「すごく意識した」と語っていた水原さんに繋がったのもご縁でしょうか。
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+++ この本はあなたの本棚のために特別に作られました──。 西崎憲がプロデュースする短文集シリーズ〈kaze no tanbun〉第一弾。現代最高の文章家17人が「特別ではない一日」をテーマに、小説でもエッセイでも詩でもない「短文」を寄せました。作品同士が響き合い、まるで一篇の...
+++ この本はあなたの本棚のために特別に作られました──。 西崎憲がプロデュースする短文集シリーズ〈kaze no tanbun〉第一弾。現代最高の文章家17人が「特別ではない一日」をテーマに、小説でもエッセイでも詩でもない「短文」を寄せました。作品同士が響き合い、まるで一篇の長編作品のようにも読めるかつてない本です。 我妻俊樹/上田岳弘/円城塔/岡屋出海/勝山海百合/小山田浩子/岸本佐知子/柴崎友香/高山羽根子/滝口悠生/谷崎由依/西崎憲/日和聡子/藤野可織/水原涼/皆川博子/山尾悠子(50音順) +++ 短編でも掌編でもなく短文、というだけあって、ひとつひとつの物語はとても短く、隙間時間にちょこちょこと読める。とはいえ、内容は気軽に読めるものばかりではなく、少々難しいものもあり、じっくり読みたいものも多い。特別ではない一日というキーワードに則って書かれているが、どれも特別感のある物語だと思わされる一冊だった。
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よかった。 〝特別でない〟光景、風景の中ににじむ、何かの思い、気持ち、心。 霞の先のそれらを薄く感じる文が好きだ。 自由があるし、より強さを感じる。 好きな作家が名を連ねていて、この感触で、この装丁。 すごくいい。
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『kaze no tanbun』シリーズ第1巻。 著者名を見ただけでワクワクするアンソロジーというもはそうは無くて、本書はその、かなりレアな1冊だった。ここまで豪華な面子を集めて、2巻以降はどうなるんだろう……。
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