閻魔堂沙羅の推理奇譚 金曜日の神隠し の商品レビュー
閻魔堂沙羅シリーズ初の長編。 殺人者の子供という業を必死に隠しながら41歳のシングルマザーとして生きる新山律子。 娘との関係にぎくしゃくした毎日を過ごす中、自身の過去を詮索するものと出所した母が現れる。 日常を守るために犯した殺人、そして自らも何者かに殺されて・・・。 テー...
閻魔堂沙羅シリーズ初の長編。 殺人者の子供という業を必死に隠しながら41歳のシングルマザーとして生きる新山律子。 娘との関係にぎくしゃくした毎日を過ごす中、自身の過去を詮索するものと出所した母が現れる。 日常を守るために犯した殺人、そして自らも何者かに殺されて・・・。 テーマは親子関係、それも殺人者の娘という特殊な関係。 奇しくも自分の娘に自信と同じレッテルを与えてしまった律子が閻魔堂で何を感じ、現世でどんな清算を取るのか。 長編に相応しい重厚なテーマと沙羅ちゃんの痛快な語り口、非常に読後晴れやかな作品。
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初の長編ストーリー。 いやミスに入るであろう、重いストーリーだった。 初期から辛い内容なので読み進めていくことが大変だったが、一応キレイに終わったので良かった。 人殺しの家族の苦悩に関する小説は他にもあるが、逃げ続けたことで数十年経った後にも苦労する主人公の話だった。 自尊心が...
初の長編ストーリー。 いやミスに入るであろう、重いストーリーだった。 初期から辛い内容なので読み進めていくことが大変だったが、一応キレイに終わったので良かった。 人殺しの家族の苦悩に関する小説は他にもあるが、逃げ続けたことで数十年経った後にも苦労する主人公の話だった。 自尊心が高いことも重要だが、それを周りに求めることで周りの人たちが苦痛に感じることを改めて思った。 全体的に内容の重さとその後の周りの苦労の大きさを想像すると、スッキリするものではないためハッピーエンドが好きな者としては評価は高くない。
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ついに長編。殺人犯の娘という汚名のもとで懸命に頑張り、現在の地位を築いた新山律子。人間関係にやや問題は抱えるもののそれなりに穏やかな生活を送っていた彼女に降りかかる過去からの災禍。孤立無援に陥りながらもなんとか現状を打破しようと奮闘する彼女だけど、ついには殺されてしまい。自らの生...
ついに長編。殺人犯の娘という汚名のもとで懸命に頑張り、現在の地位を築いた新山律子。人間関係にやや問題は抱えるもののそれなりに穏やかな生活を送っていた彼女に降りかかる過去からの災禍。孤立無援に陥りながらもなんとか現状を打破しようと奮闘する彼女だけど、ついには殺されてしまい。自らの生き返りを賭けたゲームに乗ることに、というのは前作までと同じ流れです。 主人公が殺されること、そして自らを殺した犯人を推理しなくてはいけないこと、という物語の流れは同じで、読者にもわかっていることなので。長編だとそのあたりがだれてしまうのではないかと思いましたが。杞憂です。事件が起こるまでの部分が長いのは当然だけれど、律子の懊悩や苦悩に感情移入できてサスペンス感にぐいぐい引っ張られました。たしかに律子のキャラって、身近にいたら気詰まりだなあって思いますが。人一倍頑張ってるのがわかるだけに嫌いにもなれないんですよね。だからこそ彼女には運命に打ち勝って幸せになってほしい気分で読みました。 ミステリとしては案外単純で推理のポイントとなるところも小粒ではあるのだけれど。案外気づけないものです。もっと思考力を鍛えねば。
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私には誰にも言えない秘密がある。私の母は――殺人を犯した。 過去を消しデザイナー業と子育てを両立する律子の前に、母に金を貸したという男と、縁を切ったはずの母が現れる。築いた地位と娘との日常を壊されてしまう――恐れた彼女は自宅で母を殴り倒してしまい、さらに数日後律子は刺殺される。誰...
私には誰にも言えない秘密がある。私の母は――殺人を犯した。 過去を消しデザイナー業と子育てを両立する律子の前に、母に金を貸したという男と、縁を切ったはずの母が現れる。築いた地位と娘との日常を壊されてしまう――恐れた彼女は自宅で母を殴り倒してしまい、さらに数日後律子は刺殺される。誰が私を殺したの? 蘇りをかけた閻魔堂沙羅との推理ゲーム初の長編小説!
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シリーズ6作目にして初の長編。育児放棄のあげく世間を騒がせた殺人犯になった母のせいで厳しい人生を送ってきた律子。過去を隠して仕事には成功したが娘の美久の反抗に悩まされる日々。そこに母の借金回収の為に川澄、さらに母本人までが現れ過去が周りに明かされそうになる。やがて律子は事件を起こ...
シリーズ6作目にして初の長編。育児放棄のあげく世間を騒がせた殺人犯になった母のせいで厳しい人生を送ってきた律子。過去を隠して仕事には成功したが娘の美久の反抗に悩まされる日々。そこに母の借金回収の為に川澄、さらに母本人までが現れ過去が周りに明かされそうになる。やがて律子は事件を起こし、その繋がりで刺殺される。事件の全容は?母娘関係や過去に苦しむ律子の背景ががっつり描かれていてその点では読み応えあった。しかし肝心の推理パートが何時もの10分設定なのでどうも都合良く繋げた印象。折角の長編だし沙羅の母や秘書官、もう少し出番あっても良かったかなー。
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閻魔堂沙羅シリーズ、初の長編小説。短編、中編の際には省略されている部分が詳細に書かれている。そのせいでテンポが悪いなと感じてしまったが、最後まで読むと、その部分が必要なかったわけではないとわかったので納得はいった。しかし、短編、中編の方が私の好みには合っているなと感じる。
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初登場の沙羅ママに対する沙羅の言動が新鮮で、そんな感じの今風の子なんだなあと理解が深まったし、一見そう見えなそうだが、実は仲が良い関係を微笑ましく思う。「あざーす」とか、女の子が使うべきでない言葉とか。このシリーズの最近の作は特にそう感じるのだけれど、被害者がたどる推理と沙羅の説明が被っているところが多く(それが正解なのだから仕方がないのだろうけれど)ちょっとくどいように思う。それと美久の気持ちを沙羅が律子に伝えるのはルール的にありなのだっけ? ラストは別な結末を一瞬期待したけれど、犯罪が消えてなくなるのではなく、しっかり罪を償ってこれまでのことをきっちり清算するのが、彼女たちにとってベストな選択なのだと気付かされた。
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長編。主人公は過去も現在もつらいことばかりなうえに殺されるってわかってるから読んでて楽しくなかった。そのかわり、沙羅ちゃんとお母さんの絡みがほのぼの。
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前作を読み終えた後、このシリーズの長編も読んでみたいと書いた。『閻魔堂沙羅の推理奇譚』シリーズ第6作は、初の長編である。元々、十分に長編にできるネタばかりのこのシリーズ。一ファンとしては読むしかない。 色々複雑な境遇にある人物が登場したが、今回は主人公の実の母が殺人犯である。父は知らず、幼い頃から虐待されて育ってきた。殺人犯の娘という風評にずっと苦しみながら、努力を重ね、デザイナーとして現在の地位を築いた。 今なお幼少時のトラウマに苦しむ彼女の前に、出所してきた母が現れる。さらに、筋の悪い借金取りが職場や別れた夫の周りまでうろつき、彼女は再び過去に苦しめられる。ただでさえ、思春期の一人娘とはうまくいっていないのに。 とまあ、ここまで思い出しながら書いてみても、ずっしりと重い。現実に、親族が罪を犯し、このような境遇に置かれる人は少なくないだろう。作り話とはいえあまりの過酷さに同情する一方、幸い自分自身は平穏であることに胸をなで下ろす。 生い立ちを考えれば無理もないが、完璧主義で自分自身にも他人にも厳しい彼女。もちろん娘にも。いつも独力で道を切り開いてきた彼女が、絶体絶命のピンチをどう切り抜けるのか。重さがどんどん増すのにページをめくる手は止まらない。 詳細は書けないが、今回はミスリードの手腕が光る。読みながら彼女に同化した読者には、彼女が見ているのと同じ風景が見えるだろう。だが、見え方は本当なのか? 閻魔堂沙羅の前にやってきた彼女は、ようやく自問自答する。 ひたすらに過去を隠し、人に頼らず生きてきた彼女は、自らの推理に打ちのめされる。沙羅が指摘するように、ここまで追い込まれる前に、気づけなかったのか、心を開けなかったのか。まだまだやり直しはできる。そう信じたいが。 とはいえ、彼女のような境遇に置かれたことがない自分に、彼女を責める資格はないだろう。家族を想いつつ、平穏な日常に感謝するのみ。
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6冊目にして初の長編。 やはり長編だけあって殺されるまでのバックグラウンドが長い。長いだけあって濃厚。そして相変わらず沙羅の形容がくどい。 親の心子知らず、子の心親知らず。が、テーマの今作品。親子間って言うのは本当に難しい。美久には幸せになって欲しいですね。
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