村上春樹の短編を英語で読む1979~2011(上) の商品レビュー
批評というのは、ミステリなんだな、と読みながら思った。著者はこういう意図をもって、こういう話を書いたのではないか、なぜなら・・・と論証していく。そのプロセスが楽しかった。 英語で読む、とタイトルについているけど、読んでいるのは日本語なので、それはあんまり関係ない。ただ、『納屋を...
批評というのは、ミステリなんだな、と読みながら思った。著者はこういう意図をもって、こういう話を書いたのではないか、なぜなら・・・と論証していく。そのプロセスが楽しかった。 英語で読む、とタイトルについているけど、読んでいるのは日本語なので、それはあんまり関係ない。ただ、『納屋を焼く』という短編について語ったときの話だ。この作品、日本人と海外の読者で、解釈がまったくちがうのだという。海外の人の多くは、この作品をものすごく怖い話として読んだというのだ。そして村上春樹という作家は、自分の作品がどのように読まれようとも、あるいは狙った読まれ方がされていなくても、まったく何も言わないという人の悪いところがあるのだとか。もとの版では入っていたディティールで、英語版では削られている箇所があった。加藤氏はそこから「これはね・・・」と推理を展開する。 最後の方は、もはや村上春樹が何を意図して、とは別のところで展開するくらいなものでさ。この本として、すごく楽しく読めた。下巻も読んでいこう。
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