痴漢外来 の商品レビュー
医療関係者の強調する「エビデンス」とか「科学的…」なんてそんなものなんだ、とわかったのが最大の収穫かな。
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タイトルは「痴漢外来」だが、痴漢を含む様々な性犯罪・性的依存症について、様々な角度から言及しており、大変参考になった。
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依存症の中でも性的問題行動の治療に関わる著者。痴漢(全てではないが)を依存症の観点から見ること自体、新しい知識だった。 読んでいくと、加害者の治療・再犯の予防が必要と著者が強く訴えることに納得できる。治療と聞き、加害者を守るのかと反感を感じた人ほど本書を読んで欲しい。新しい被害や...
依存症の中でも性的問題行動の治療に関わる著者。痴漢(全てではないが)を依存症の観点から見ること自体、新しい知識だった。 読んでいくと、加害者の治療・再犯の予防が必要と著者が強く訴えることに納得できる。治療と聞き、加害者を守るのかと反感を感じた人ほど本書を読んで欲しい。新しい被害や再被害を防ぐ視点が社会に広まって欲しいと思う。 また、専門家の性犯罪再犯リスクのアセスメント的中が50%と言う話から「高い金を払って専門家を雇うくらいならば、ワールドカップのときに予想を次々と的中させたタコでも飼っておいたほうがよいだろう」に笑った。 批判的な一般人の意見はまだしも、経験則や感情のみで動く自称ベテラン専門家の存在が、支援や治療の邪魔になるのかもしれない。
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痴漢を処罰するだけではなくて、性的依存症の治療をする。それが、被害者をうまないことに繋がる。確かに其の通りだと思った。こういう活動が広がっていくといいな。
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新しい世界を覗いたような感覚でした。 犯罪心理学の中でも、 性犯罪は特に難しい分野なのですね。 科学的に、倫理的に、そして人情を捨てずに、 ひととかかわっていきたいとおもいました。 全ての人が出来るだけよりよく生きるための指南書としても、良いと思います。
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加害者の治療をもっと真剣に行っていくべきだと思う。それは加害者を守っているわけではなく、結果的に性犯罪被害を無くすことにつながる。 性犯罪だけではなく、加害者が生まれないように、再犯しないように、治療を行うことが重要 *性犯罪者のリスクファクター ①反社会的行動歴、②反社会...
加害者の治療をもっと真剣に行っていくべきだと思う。それは加害者を守っているわけではなく、結果的に性犯罪被害を無くすことにつながる。 性犯罪だけではなく、加害者が生まれないように、再犯しないように、治療を行うことが重要 *性犯罪者のリスクファクター ①反社会的行動歴、②反社会的交友、③反社会的態度・信念、④反社会的パーソナリティ、⑤教育・仕事上の問題、⑥家族葛藤、⑦物質使用、⑧不適切な余暇活用 *犯罪者治療の三原則RNR原則 リスク原則、ニーズ原則、治療反応性原則
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性にまつわる問題は難しい。特にそれが問題行動にまで発展した場合。本書は性犯罪の加害者、性的依存症、強迫的性行動症に加えて性犯罪被害者の現状に触れ、現段階での科学的な到達点からその治療や寄り添い方を示している。センセーショナルに報道されたり、感情的な取り扱いをされがちな分野だけに冷...
性にまつわる問題は難しい。特にそれが問題行動にまで発展した場合。本書は性犯罪の加害者、性的依存症、強迫的性行動症に加えて性犯罪被害者の現状に触れ、現段階での科学的な到達点からその治療や寄り添い方を示している。センセーショナルに報道されたり、感情的な取り扱いをされがちな分野だけに冷静で温かな対応が必要だと感じた。
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とにかく加害者被害者ともに壮絶な体験をしている。それらを知ることが出発点だろう。 以下メモ 性犯罪の再犯率は5%。しかし痴漢や盗撮の再犯率は30~50%ほどある。厳罰化は再犯率を増加させるというエビデンスもある。(適正化は必要だか) DSM5にもICD10にも疾患(パラフィリア...
とにかく加害者被害者ともに壮絶な体験をしている。それらを知ることが出発点だろう。 以下メモ 性犯罪の再犯率は5%。しかし痴漢や盗撮の再犯率は30~50%ほどある。厳罰化は再犯率を増加させるというエビデンスもある。(適正化は必要だか) DSM5にもICD10にも疾患(パラフィリア障害群)として分類されている。(ICD11では「強迫的性行動症」が新たに追加) 性犯罪のリスクファクターはその他の犯罪と基本的に変わらない。(反社会的な行動歴、交友、態度信念、パーソナリティ。教育や仕事上の問題、家族葛藤、物質使用、不適切な余暇活用。) 犯罪者治療には「RNR原則」というものがある。リスク原則は、リスクに逢わせて治療強度を変えるという原則(低リスク者に強い治療をすると再犯リスクがあがる)。 性的依存症の難しいところは他の依存症と違って被害者が生じること。だからリラプス(再発を意味する)をなんとしても避けねばならない。 思考ストップ法などコーピングを学習する。 性的強迫症者の自助グループもある。SCAという。
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性犯罪者をどう処するか、というのは「荒れる」議論になりがちだ。被害者に与えるダメージの大きさから、感情的な処罰が提言されることも多い。 しかし、厳罰化には抑止も再販防止の効果もなく、永久に施設に入れる(実際米国にはそういう施設がある)のは税金がかかりすぎる。 データが取りにく...
性犯罪者をどう処するか、というのは「荒れる」議論になりがちだ。被害者に与えるダメージの大きさから、感情的な処罰が提言されることも多い。 しかし、厳罰化には抑止も再販防止の効果もなく、永久に施設に入れる(実際米国にはそういう施設がある)のは税金がかかりすぎる。 データが取りにくいなか、現状で最も効果が高いと思われるのが認知行動療法や弁証法的行動療法を通した治療である。性犯罪につながらなくとも、性にまつわる「逸脱した」行動(カッコ書きにしたのは回数や頻度の面などで明らかに社会的な生活に支障が出ている状態を指す)はアルコール依存症等と同じくAddictionの要素が強く、似たようなアプローチをとっていくことで改善が見込めるというわけである。 フロイトの潮流を汲む精神分析に鋭く批判を与ている点も見どころだ。ここ20~30年で心理学は大きくアップデートされたが、日本においては追いついていない治療者が多いという告発には唖然とする。 筆者の主張の根幹にある「処罰に加えて治療を」というのは日本だと浸透しなさそうではあるが、アプローチとして有効だと感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
われわれにとって「性」の問題は、そのまま「生」の問題でもある。性は、われわれの人生を豊かで彩のあるものとしてくれる反面、大きな苦しみの源泉となることがある。 傷つけた人も、傷つけられた人も、人に受け入れられてはじめて、本当の自分を見出し、新しい人生を見据えて前を向かなければならない。
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