残酷な進化論 の商品レビュー
ものすごく簡単に言うと、進化にはいろんな分岐があるから、人間が進化の最先端ではなく、優れているわけでもないよということだけど、それにしてもこのタイトル。 手に取ってもらうためにはしょうがないことなのか。 難しい話をかみ砕いて説明をするために、たとえ話を使っているところ、逆にわかり...
ものすごく簡単に言うと、進化にはいろんな分岐があるから、人間が進化の最先端ではなく、優れているわけでもないよということだけど、それにしてもこのタイトル。 手に取ってもらうためにはしょうがないことなのか。 難しい話をかみ砕いて説明をするために、たとえ話を使っているところ、逆にわかりにくいです。元の文章でも十分わかりますので。
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ある政党がダーウィンの言葉を誤って伝えたそうだ。 それは幾度も、各国で誤用される内容だという。 言葉は時には曲げられ、自己に都合の良いように解釈されるものだ。 言葉とは不完全で、解釈は難しいものだ。 本書でもダーウィンの言葉が登場する。 中でも印象的なものが、 「進化は進歩では...
ある政党がダーウィンの言葉を誤って伝えたそうだ。 それは幾度も、各国で誤用される内容だという。 言葉は時には曲げられ、自己に都合の良いように解釈されるものだ。 言葉とは不完全で、解釈は難しいものだ。 本書でもダーウィンの言葉が登場する。 中でも印象的なものが、 「進化は進歩ではない」71頁 「存在の偉大な連鎖」を信じたい人が多い、という指摘であるが、まさにこの言葉は我々が心に留め置くべきことだろう。 「ある条件で優れている」ということは「別の条件では劣っている」ということだ(70頁)も同様に、忘れてはいけない。 だから、他人の欠点や動物の一部の性質を見ただけで、即ち自分より劣ると考えることは愚かなことだ。 いやいや…そう考えてしまうこと自体が、ヒトの欠陥だ。 そしてまた優れたところなのかもしれないが。 さて、おもしろいのはヒトと馬の競争。どっちが勝つと思う? もちろん、ここに条件をつけなければいけない。 馬には人が乗っている、短距離か長距離かでも違うのだが、なんと、ヒトが長距離走で勝った! 逃げることには長けていないが、追いかけていくのは人は得意らしい。 また、ヒトは4色覚から2色覚になり、3色覚になったそうだ。 ただ、本書で触れられてはいないが、いわゆる色覚異常は男性にはかなりの割合でいるそうだ。 一説にはAB型の人と同じくらいだとか。 それが自然淘汰されないのは、多分何かの理由があるのだ。 たまたま今は、それが業種によっては不適なだけで。 色の見え方も、発達の仕方も、たとえ他の人と違っていても、大丈夫だ。 218頁のロマン・ロランの言葉のように、 「あるがまま世界を見たうえで、それを愛するには勇気がいる」 のならば……。 それを受け止められるだけの強さを私は持ちたい。
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○生き物は生きるために生きている。 ただ生きているだけで立派、何もできなくたって恥じることではない。 ○見方によってはいい面と悪い面があり、 それは環境や状況によって変わる。 ○自然淘汰は大きな変化をもたらす。 ○行動によって進化の方法が決まる。 ○見方を変えれば違った結果とな...
○生き物は生きるために生きている。 ただ生きているだけで立派、何もできなくたって恥じることではない。 ○見方によってはいい面と悪い面があり、 それは環境や状況によって変わる。 ○自然淘汰は大きな変化をもたらす。 ○行動によって進化の方法が決まる。 ○見方を変えれば違った結果となる。 他の星に行ったら松やミミズの方が重宝されるかもよ。 わたしを誰だと思っているの!と思わない方がいいかもよ。ということ。
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この本で繰り返し言われていることは、ヒトは進化樹の一番上にいるわけでは無いと言うこと。人類が他の生物に較べて特に優れているわけではないということである。進化がすべて良いと言うわけでなく、腰痛だとか他の動物と較べて難産になったとかヒトが進化する中で抱えてしまった問題も多々ある。 面...
この本で繰り返し言われていることは、ヒトは進化樹の一番上にいるわけでは無いと言うこと。人類が他の生物に較べて特に優れているわけではないということである。進化がすべて良いと言うわけでなく、腰痛だとか他の動物と較べて難産になったとかヒトが進化する中で抱えてしまった問題も多々ある。 面白いトピックスも満載である。 生きものの定義によっては台風も生きものといえる 窒素の捨て方の種による違い。人であれば尿にして捨てるが魚はどうしてるの ヒトと腸内細菌の微妙な関係 大人になってもミルクを飲むのは人間だけ ヒトとチンパンジーはどちらが原始的か・・・最終共通祖先からどちらの方が進化したか 一夫一妻制は絶対ではない・・・ヒトが他の類人猿と別れた要因が一夫一妻制が契機かもしれないが、だからといって今の人類の本質が一夫一妻制と限らない 単細胞生物は永遠に生きるが、死ぬことがないと進化をする事もないので一瞬で死滅する可能性がある。死ぬことで多様性がうまれ変化に耐えられる個体が出てくる可能性がある。 等々読んで損はない一冊である。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
教科書には載っていない内容であり、眼から鱗の連続であった。我々人類は、人類が生物の中で最も優れていると考えてしまいがちであり、私自身も無意識のうちにそう思ってしまっていた節があるが、実際は単なる生物の一種であるということを再認識させられた。本書を読了した時点で、人類に対する認識が変わった気がする。
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「絶滅の人類史」が面白かったので、こちらも読んでみた。前著同様、読みやすく「ついこう思いがちだけど、ちょっと待て」という論調が多く面白い。 でも、タイトルは内容に比して少々大げさかも。
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地球上の生物は長い年月をかけて進化を続け、今も続いている。一般的な考えでは「進化」とはバージョンアップであり、その頂点に人類がいる、ということだろう。が、本書で語られる「進化」とは単なる変化であり、その生物にとって良いこともあれば、悪いこともある。生物にとって何より重要なのは次世...
地球上の生物は長い年月をかけて進化を続け、今も続いている。一般的な考えでは「進化」とはバージョンアップであり、その頂点に人類がいる、ということだろう。が、本書で語られる「進化」とは単なる変化であり、その生物にとって良いこともあれば、悪いこともある。生物にとって何より重要なのは次世代を残すことであり、そのためには犠牲にされた能力や残された欠陥もある。進化は進歩ではないのだ。 今の人類だって、多くの欠陥を抱えている。直立二足歩行は脊椎や骨盤に過度な負担がかかるし、心臓の血管は非常に細くて心筋梗塞の可能性が高い。生まれたばかりの子供が自立するのに長い期間が必要。チンパンジーやゴリラよりも劣り、原始的な部分はいくつもあるのだ。 生物は生と死を繰り返して、環境に適応できない遺伝子を排除し、適応できる遺伝子を受け継ぎながら、進化する。もし、死なない生物がいれば、環境に適応する必要はなく、その生物は進化することがない。進化とは、死んでこそ起こることであり、その意味では残酷な出来事なのだ。 人類は進化によって寿命を伸ばしているのかもしれないが、死を遠ざけることは進化を遅らせることだ。
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更科さんの本が面白いのは、文章が上手いからだと思う。 進化について、更科さん並みに理解している人は他にもいるだろう。しかし、これほどわかりやすく面白く書ける人はいないんじゃないか。 研究者や専門の学生に向けた文章ではなく、あくまで(生物学や進化に興味があるとはいえ)一般向けの本な...
更科さんの本が面白いのは、文章が上手いからだと思う。 進化について、更科さん並みに理解している人は他にもいるだろう。しかし、これほどわかりやすく面白く書ける人はいないんじゃないか。 研究者や専門の学生に向けた文章ではなく、あくまで(生物学や進化に興味があるとはいえ)一般向けの本なのだから、あまり知識のない人にもわかるように書かないといけない。しかし、よく知っている人も読む可能性があるから、そういう人も納得させられないといけない。さらに最後まで読めるリーダビリティが文章と構成にないといけない。そのバランスのすばらしさ。 書き出しの台風のたとえも良いが、「私たちは小さい物なら、親指の先と人差し指の先で掴むのがふつうである。でも、チンパンジーは、親指と比べて人差し指が長すぎるので、親指の先と人差し指の横腹で物を挟むことが多い。」(P139)と、ここまでは、ほかの人でも書ける。しかし次の一文「私たちも、ドアの錠前に鍵を刺して回すときに、こういう指の使い方をする。」これを読んだら、誰しもやってみて「ああ、なるほど」と腑に落ちる。この一文が書けるか書けないかで、一般向け科学の本を書く才能が決まると思う。 また、更科さんの人柄が素晴らしい。変に煽ったり、予測を暴走させたりはせず、自説を語るときも、読者が納得できるよう、きちんとエビデンスを提示し、違う可能性も示してくれる。また、人間が思い込みがちな「人間はほかの動物より優れているのだ」という考えをあらゆる方向から「それは間違っている」と語るのもいい。 いい科学の本を読む悦びがあった。
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生物の進化に関する最近の理論。ヒトが生物進化の到達点かというテーマで進むさほど残酷でない進化論。 新書ならではの実に分かりやすい進化論。進化は決して完璧なゴールがあってそれに向かっているんけではなく、あくまでも偶然の産物。結果として飛んだり二足歩行したりの役に立っている。 鳥...
生物の進化に関する最近の理論。ヒトが生物進化の到達点かというテーマで進むさほど残酷でない進化論。 新書ならではの実に分かりやすい進化論。進化は決して完璧なゴールがあってそれに向かっているんけではなく、あくまでも偶然の産物。結果として飛んだり二足歩行したりの役に立っている。 鳥や恐竜の肺の方がヒトのものより効率的だしタコの眼の方が構造は優れている。 心臓病、腰痛や難産などヒトならではの課題についても述べられている。 広く浅く進化に関する内容を紹介した一冊。もっと各テーマを深く掘り下げるきっかけとしたい。
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進化とはこんなものだという小話がいくつも続く感じ。結論があるというわけではないけど、読み物として読むのにはちょうど良い。この手のテーマは読んでてもあんまり食指が動かず読み進め難いことも多かったけど、この本はズンズン読めた。 200224
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