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急に具合が悪くなる の商品レビュー

4.6

79件のお客様レビュー

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2021/01/19

病気のことから始まったやり取りが、そこで膠着することなく互いに渾身の問いを立て、考え、「人と人が出会うこと」のかけがえのなさへ至るまでの二人の旅。 相手へ踏み出す勇気、真摯に受け止め返す力。生きようとする命の炎は、眩しかった、熱かった、とても、美しかった。 こんなに相手の心に踏...

病気のことから始まったやり取りが、そこで膠着することなく互いに渾身の問いを立て、考え、「人と人が出会うこと」のかけがえのなさへ至るまでの二人の旅。 相手へ踏み出す勇気、真摯に受け止め返す力。生きようとする命の炎は、眩しかった、熱かった、とても、美しかった。 こんなに相手の心に踏み込んで、問いを提示できるだけの勇気が、そしてそれを体の芯まで考えて答えを導く意志が、自分にあるだろうかと思う。他者とこんなに深く関わり、互いに変わっていく体験を、してきたのだろうかと自問してしまう。私は今まで人と出会い、きちんと変わって来れただろうか。 生きようと、生き抜こうと、ここまでしがみつけるだろうか。現実的な死が日々をちらついている中で、それでも未来を思えるだけの、世界への信頼を持てるだろうか。それでも人と関わろうとする意志を捨てずに持っていられるだろうか。 このやり取りを前にして、私は代わりに言葉を失くしていくばかり。

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2023/07/08

多発転移のがんを患う哲学者・宮野真生子さんと、医療人類学者の磯野真穂さんの往復書簡。 「往復書簡」という情報だけしか知らずに読み始めました。SNSでフォローしている医療関係者のどなたかが紹介していたから「きっと、医療関係のことが書いてあるんだろうなぁ」程度の情報。 そして、...

多発転移のがんを患う哲学者・宮野真生子さんと、医療人類学者の磯野真穂さんの往復書簡。 「往復書簡」という情報だけしか知らずに読み始めました。SNSでフォローしている医療関係者のどなたかが紹介していたから「きっと、医療関係のことが書いてあるんだろうなぁ」程度の情報。 そして、読み始めて気が付きました。往復書簡の1人、宮野さんが多発転移したがんを患っていることに。医師から「急に具合が悪くなる可能性があります」と告げられていることに。そして、それが書籍のタイトルになっていることに。 あれ?もしかして、この本の結末って??? そして、慌ててググって、知ることになりました。 この書籍が発行されたとき(2019年9月)には、宮野さんはもうこの世にいなかったことを…。 正直言うと、哲学者と人類学者の2人の話はちょっとむずかしい部分もあって、視線が紙面をすべりまくって内容が頭に入ってこない部分もありました。哲学って難しいですよね…。必然とか偶然とか妖術とか確率とか…。 それでも、死を目前にした本人と、その死に巻き込まれて右往左往する周りの人が、どんなふうに考え、どんなふうにコミュニケーションして、その裏にはどんな困難があるのか、そんな情報をたくさんもらうことができました。 いつか、「周りの人」になり、そして最後には「本人」になるであろう自分に、たくさんの言葉をもらえました。 情報として知っていても、本当に直面しなければわからないことだらけだと思うけれど、直面する前に読むことができてよかったと思います。

Posted byブクログ

2021/01/10

癌が再発し自らの命の終わりが見えてきたときに まだ40代の哲学者は何を語るのか・・・ 生きる意味を問い続けるのが哲学であるならば、 宮野真生子という女性は最後まで哲学者であり続けた。 転移による痛みや具合の悪さに、全ての思考を放り出し 100%の病人になってしまうことの方が きっ...

癌が再発し自らの命の終わりが見えてきたときに まだ40代の哲学者は何を語るのか・・・ 生きる意味を問い続けるのが哲学であるならば、 宮野真生子という女性は最後まで哲学者であり続けた。 転移による痛みや具合の悪さに、全ての思考を放り出し 100%の病人になってしまうことの方が きっとどれだけ楽だったことだろう。 最後まで、命を人生を諦めずに考え続けた宮野さんの言葉に ただひたすら圧倒されるばかりだった。

Posted byブクログ

2021/01/02

自分が死を意識するような病気になったときにも、病について、自身の経験について、語ることを許し励まし、迷い、そして楽しんでくれる磯野さんのような存在を求めるんだろうな。

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2020/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

病気という理不尽で不合理なできごとを、予定調和的な病者の物語として腑に落とすのではなく、なんでやねん!と怒り、もがき、これは何なのだと文章で問うていく。すさまじいパワー。人文学者としての魂。すばらしい生き様だと感じた。特に後半、2人がまっすぐに心をぶつけ合う文章に、信頼が滲んでいた。宮野さん、磯野さん、素晴らしい文章をありがとうございました。 あと一医療者として「元気な人」と「患者」という固定された役割の間を往復するだけの、硬直したコミュニケーションになりがちなことに、自覚的であろうと思いました。

Posted byブクログ

2020/11/11

読み応えあった。 あぁ、 読んでしまった。 進むうち、読みたい気持ちと、読みたくない気持ちが入り混じる。けど、また、読む。

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2020/11/14

哲学者が綴る癌の体験記のような部分が流石の言葉選びで、読みながら顔を歪めるほどとてもよく伝わった。 文字から伝わる熱量がすごくて、声が聞こえてきそうだった。

Posted byブクログ

2020/10/08

この本の概要を見て、単純に興味を持った。 読んでみて驚いた。 凄かった。ただ凄い。 終始、哲学者・宮野真生子さんのパワーに圧倒される。癌を患い思うようにいかない体を抱えながらそれでも本を執筆したり講演に出かけたり、自分のやりたいことを諦めない。 そんな宮野さんと手紙のやりとりを...

この本の概要を見て、単純に興味を持った。 読んでみて驚いた。 凄かった。ただ凄い。 終始、哲学者・宮野真生子さんのパワーに圧倒される。癌を患い思うようにいかない体を抱えながらそれでも本を執筆したり講演に出かけたり、自分のやりたいことを諦めない。 そんな宮野さんと手紙のやりとりをするのは人類学者・磯野真穂さん。 宮野さんの話を自然に引き出し、豊富な知識量で「こういう文献があって、今の状態はこれで説明すると分かりやすいよ」と会話を膨らませてくれる。 主な内容は、病を宣告されると起こる「正しく選択する」事へのプレッシャー。 「お大事に」という定型分が使えない重苦しさ。そんな中で、病者とどんな関係を築いていくべきなのか。などなど。 ただ、私には内容が難しく、もちろん一度読んだだけでは到底理解できず、何度も読み直し付箋を貼ったところをノートに書き出してやっと話の輪郭が見えてきた。 本の内容がほぼ「二人の間だけで交わされた手紙」であることに驚く。病を抱えた人とその周囲の人との間に起こる色々な出来事・感情をリアルに、見事に説明している。 宮野さんの強さをよく表している、と感じる一文を引用。 【癌になった不運に怒りつつ、何とかその不運から自分の人生を取り返し、形作ろうともがいている/ しかし分からないものと対峙するのはしんどいし、怒り続けることも難しい/ でも、分かる必要などないのです。分からなさの前で、自分を取り返すために私達は問わねばならない。これは何なのだ、と。 分からないことに怒り、それを問う力を、自分の人生を取り返す強さを、哲学は私に与えてくれたのです。】 普通は癌になった時点で絶望して諦めて、100%患者モードで治療された方が楽に決まってる。 その楽な運命に抗い続ける強さ。 【死は間違いなく来ている】と感じる毎日の中で、その強さを保ち続けることがどれだけ難しいか。 真に生きると書いて真生子さん。 これほど名前を体現している人はいないんじゃないか。 この先私にも起こるであろう様々な事。 自分の死期は分かるかもしれないし、分からないかもしれない。 どっちになったとしても、最期まで自分を貫けるような大好きな事に出会いたい。 そして自分がここにいた、という踏み跡を一個でも世に残したい。 そんな風に強く思いました。

Posted byブクログ

2020/09/27

連続で良書にであう。連ツイで感想→ https://twitter.com/lumciningnbdurw/status/1310025457182470144?s=21

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2020/09/20

「言葉を扱う学者」同士の圧倒的な文章力で繰り広げられる、生と死にかかる豪速球のやりとり。最初は動物が野球しててかわいいデザインだな〜と呑気に捉えていましたが、読後はもうそんなふうには見れない。 図書館で借りたのですが読後即書店で購入しました。 これからも何度も読み直す本になると思...

「言葉を扱う学者」同士の圧倒的な文章力で繰り広げられる、生と死にかかる豪速球のやりとり。最初は動物が野球しててかわいいデザインだな〜と呑気に捉えていましたが、読後はもうそんなふうには見れない。 図書館で借りたのですが読後即書店で購入しました。 これからも何度も読み直す本になると思います。

Posted byブクログ