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女性のいない民主主義 の商品レビュー

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2024/06/29

組織の規範と男性的なジェンダーの規範が一致。この言葉は本書で述べられることだが、そもそも男性的なジェンダーの規範って何。男は大黒柱であるべきとか、弱音を吐くなとか。女性は非力であり、守るべき対象であるとか。 でも、それって別にあっても良いと思う。問題は、規範と評価軸が重なって、...

組織の規範と男性的なジェンダーの規範が一致。この言葉は本書で述べられることだが、そもそも男性的なジェンダーの規範って何。男は大黒柱であるべきとか、弱音を吐くなとか。女性は非力であり、守るべき対象であるとか。 でも、それって別にあっても良いと思う。問題は、規範と評価軸が重なって、腕力至上主義だったり、よって男が優秀と決めつけたり、男性側の目線で仕事スタイルが決まるのは良くない。ブロプロプリエイションいう、女性の発言を横取りするような男性もいるらしい。勘違いが暴走するのも、正義マンみたいでお門違いだ。 それと、この本で最も考えさせられたのは「クッパとピーチ姫」に見える男女のロールプレイと、それがそこかしこに張り巡らされて、社会的に幼少時から刷り込まれているという事実だ。男女ともに、王子様やお姫様思想が脳内に宿る。実社会は想像世界の写像であり、そのエッセンスは、寓話から構築されていく。黒人差別が残ったり、逆にアファーマティブで歪になるように、こうしたものを取り除くのは容易ではない。 女性は筋力においてか弱きものという理解でも良いが、しかし、その自然発生的な男女差は、大部分の社会では、本来考慮不要なものだ。この社会は概ね筋力が無用だからだ。また、男性の性欲が暴力性をもつから、女性は夜間の残業も不安である。そんな事で、社会における自己実現の妨げられ片方のジェンダーだけ犠牲になるのは、問題だろう。 考えるきっかけ、視点の抜け落ちに気付かせてくれる良書である。

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2024/04/03

世の中はそういうものと思い込んでいたけれど、色々なところで誰かしらの意図が反映された結果できあがったもの

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2024/02/06

教えて頂いた本 社会の多くのことは何らかの形でフェミニズムと絡んでいる、という男性著者の主張に頷きながら読んだ たまたまなんだけど最近ジェンダー絡みの人文書、小説を読み、映画を観ることが多い。世の中が違って見えてくる

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2023/11/15

・政治、民主主義、政策、政治家といった言葉の政治学としての定義や概念を紹介した上で、これらの理解においてジェンダーという視点がなかったことが、男性政治学者の著者が反省のように語る。その偏り具合はデータで一目瞭然に示され、例えば、女性参政権の導入と市民の意見が平等に政策に反映される...

・政治、民主主義、政策、政治家といった言葉の政治学としての定義や概念を紹介した上で、これらの理解においてジェンダーという視点がなかったことが、男性政治学者の著者が反省のように語る。その偏り具合はデータで一目瞭然に示され、例えば、女性参政権の導入と市民の意見が平等に政策に反映される政治体制に近いかどうかの指標であるポリアーキー指標と関係している、というように。最後の章では現在世界ですすむ、ジェンダー・クォーター制について述べられ、ジェンダー比率と何らかの社会的指標には一定の関係があることも示される。この制度は社会を変えていくための手段となり得ることをを考えさせる。多様なアイデンティティを持つ人々の間で対立し、妥協が難しい場合には、自分の視点から見える世界の限界を認め、他者と対話していくことが必要という。政治に限らず大事なことに気づける一冊。(葉) ・世界の国や地域における民主主義の系譜をレビューした上で、金科玉条とされる民主主義自体が、女性が存在していないものとして取り扱っていることが問題だ、と主張します。最近話題のジェンダード・イノベーションでも、女性を対象としない臨床研究、自動車の安全研究の例が有名ですが、民主主義でもそうだったのか…。ちょっと待って! 私たちは他にも「いないもの」として誰かのことを扱っていないだろうか。(菊)

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2023/07/01

私がいた欧州の大学では、政治学の講義においてリアリズム、リベラリズ厶に次いでフェミニズムとコロニアリズムの視点が用いられるのが一般的であった。 この本は、そのようなジェンダーの視点で、日本の政治を丁寧に論じている本。 全国民におすすめしたい。

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2023/06/19

国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11444936

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2023/03/02

日本で女性の政治家が少ない理由を説明する。前提として、男女とも投票率はほぼ同じという状態が続いているから、問題は選挙および政治のメカニズムにある。一つ興味深いのは、欧米では選挙で破れた野党が女性を立てることで、与党にプレッシャーを与えてきたということ。日本では野党がそれをほとんど...

日本で女性の政治家が少ない理由を説明する。前提として、男女とも投票率はほぼ同じという状態が続いているから、問題は選挙および政治のメカニズムにある。一つ興味深いのは、欧米では選挙で破れた野党が女性を立てることで、与党にプレッシャーを与えてきたということ。日本では野党がそれをほとんどしてこなかった。立憲が2019年の参院選で候補者の40%を女性とする目標を掲げたのは画期的なことである。

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2023/02/07

ちゃんと消化しきれたわけではないが、政治や政策の視点から、日本社会の福祉政策の特徴やジェンダー関連の課題を考えたことはあまりなかったので、かなり新鮮な視点があった。 所謂「民主主義」と定義されているものをジェンダーの観点から問い直すことや、女性が政治に関わることで男性ばかりでやっ...

ちゃんと消化しきれたわけではないが、政治や政策の視点から、日本社会の福祉政策の特徴やジェンダー関連の課題を考えたことはあまりなかったので、かなり新鮮な視点があった。 所謂「民主主義」と定義されているものをジェンダーの観点から問い直すことや、女性が政治に関わることで男性ばかりでやっていたときには見えなかったアジェンダが浮かび上がってくる点にはなるほどと納得。 一方で、政策としての意図は本来別にありながらも、政策の帰結が違うものになることがある、という点は、その結果を当たり前として受け入れるのではなく政策の意図や目的にまでたちかえって一有権者として考える重要性を感じた。

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2022/11/07

まず、政治過程論の導入書として非常に素晴らしい。一つの政治イシューがどのような経路を辿ってある政策に結びついていくのか、政治の力学を学びたい人にはオススメ。 その上で、ジェンダーがどのように社会に、政治に影響を与えているのか、深い考察がなされている。 東大教授の本ながら、新書とし...

まず、政治過程論の導入書として非常に素晴らしい。一つの政治イシューがどのような経路を辿ってある政策に結びついていくのか、政治の力学を学びたい人にはオススメ。 その上で、ジェンダーがどのように社会に、政治に影響を与えているのか、深い考察がなされている。 東大教授の本ながら、新書として読みやすく、それでいて深みがある。 興味を持った方は是非手に取ってみてほしい。(T.I)

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2022/08/17

「マンスプレイニング」「マンタラクション」「ブロプロプリエイション」「クリティカル・マス現象」「コンドルセのパラドックス」「エコーチェンバー現象」 レベッカ・ソルニットの著作をこの本の前に読んで、名付けがいかに大切かを実感したところだったから、この本に出てきた多くの新しい言葉を...

「マンスプレイニング」「マンタラクション」「ブロプロプリエイション」「クリティカル・マス現象」「コンドルセのパラドックス」「エコーチェンバー現象」 レベッカ・ソルニットの著作をこの本の前に読んで、名付けがいかに大切かを実感したところだったから、この本に出てきた多くの新しい言葉を覚えようと思う。この言葉たちが存在することで、その現象も存在するようになるのだから。 人口の半分を占めるのは女性、ということ。当たり前すぎて、この本で改めて指摘されて、こんなに重要なことを忘れてるなあと反省。半分なのだ。その半分の意見の反映されない政治が罷り通る不思議さ。 なぜそうなってしまったか、研究者として解きほどいてみせてくれる。 がんじがらめだ。よく女性自ら動かなければ世の中変わらないんだよ、と言われるが、たしかにそうなのだが、それだけでは解決できないシステム上の軛があるのだ。 ジェンダークォーター制を取り入れてない国は少ないということ。野党から女性議員は増えていくということ。 何から変えればいいのか途方に暮れているより、具体的にやるべきことが見えてくるのはいいことだ。 女性のため、なんて姑息な(書いてみてすごい漢字だ…)ことを言ってるんでなくて、そうしなければ、男も女も関係なく、日本という国が衰退の一途を辿ることになるだろう。もう手遅れかもしれないが。

Posted byブクログ