ルポ トランプ王国(2) の商品レビュー
「ルポトランプ王国2」金成隆一著、岩波新書、2019.09.20 303p ¥1,034 C0236 (2024.08.23読了)(2024.08.16借入) 副題「ラストベルト(rust belt)再訪」(赤錆地帯) 2016年のアメリカ大統領選挙でトランプさんが当選しました。...
「ルポトランプ王国2」金成隆一著、岩波新書、2019.09.20 303p ¥1,034 C0236 (2024.08.23読了)(2024.08.16借入) 副題「ラストベルト(rust belt)再訪」(赤錆地帯) 2016年のアメリカ大統領選挙でトランプさんが当選しました。この本は、その3年後に出版されたものです。トランプさんはなぜ当選できたのか。当選後の実績の評価はどうか。次の選挙にも勝てるでしょうか。 有権者の望んでいることを上手に探り当てて公約に盛り込んでいたんですね。働く場所の確保、選挙は自己資金でやる、メキシコからの不正入国は国境にフェンスを作って防ぐ、フェンスをつくる代金はメキシコに出させる。アメリカの不利なTPPからは離脱する。 対抗馬のヒラリー・クリントンが嫌いだからトランプ氏に投票したとかヒラリー氏がどうせ当選するだろうからと投票に行かなかった、ということもトランプ氏に有利に働いたようです。 当選後の評価については、公約通りよくやっているという評価が結構多いようです。 もちろん、効果が実感できないとか、メキシコ国境のフェンスの代金をメキシコに出させてない。大統領のスタッフを気に入らないからと言って次々と懐妊している、というようなことで批判的な人たちもいます。 2020年の選挙では、トランプ氏はバイデン氏に負けてしまいました。2016年の選挙でも総得票数では、ヒラリー氏のほうが勝っていたので、ヒラリー氏への批判票やヒラリー氏が勝つだろうから投票に行かなかった人、白人以外の人たちに投票機会を与えることによってバイデン氏が勝利したということでしょう。 2024年の大統領選挙はどうなるか。トランプ氏はお金がないので自己資金では戦えません、したがって大口支援者に対しては、自由な政策が打てません。メキシコ国境のフェンスはバイデン氏でも作れました。トランプ氏の敗北でしょうね。今度は敗北したら大統領権限は使えないので反乱を先導したら、刑務所行きですね。 イ―ロン・マスク氏やロバート・ケネディジュニア氏を取り込んでますが、自分が目立つことを優先するので、いずれ顕川涸れでしょうね。トランプ氏は、中学生みたいだ、と誰かいってました。 【目次】 はじめに プロローグ―就任式へ、ラストベルトから山を越え 第1章 新たなブラック・マンデー 1 就任式 2 トランプ凱旋集会 3 地元の民主党トップと飲みに行く 4 果たされない約束 第2章 3年後の「王国」再訪(ロードトリップ前半) 1 ペンシルベニア州ルザーン郡 第3章 次もトランプで決まり(ロードトリップ後半) 2 ペンシルベニア州ウェストモアランド郡 3 ペンシルベニア州ワシントン郡 4 オハイオ州マホニング郡 5 オハイオ州メダイナ群 第4章 郊外で「王国」に揺らぎ? 1 中間選挙でのスイング 2 郊外の象徴「レビットタウン」 第5章 帰還兵とアメリカ ロングインタビュー①どうしちまったのか民主党? トマス・フランク 第6章 バイブルベルトを行く 1 アラバマ州北部 2 ルイジアナ州からテキサス州へ ロングインタビュー②アメリカン・ドリームという『物語』を生きる右派 アーリー・ホックシールド 第7章 もはや手に入らないアップルパイ エピローグ―クリスマス、ラストベルトから山を越え おわりに ☆関連書籍(既読) 「ルポ貧困大国アメリカ」堤未果著、岩波新書、2008.01.22 「ルポ貧困大国アメリカⅡ」堤未果著、岩波新書、2010.01.20 「ルポトランプ王国」金成隆一著、岩波新書、2017.02.03 (アマゾンより) ニューヨークを飛び出し中西部に広がるラストベルトへ。再訪のロードトリップで見えてきたトランプ王国のその後を追う。都市と地方の中間に位置し揺れる「郊外」、さらには深南部(ディープサウス)に広がる熱心なキリスト教徒の多い「バイブル(聖書)ベルト」へ。4年半で1005人に取材した真のアメリカがここに。
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トランプ当選後、2018年中間選挙までの2年間の取材録。 アメリカの分断(貧富の差)、経済的苦境と抱えるラストベルトと文化的危機を感じる南部バイブルベルト、民主社会主義の台頭など、2024年現在にも通じる論点が多数。 トランプとはやや関係性が薄いが、帰還兵の苦悩という観点は考...
トランプ当選後、2018年中間選挙までの2年間の取材録。 アメリカの分断(貧富の差)、経済的苦境と抱えるラストベルトと文化的危機を感じる南部バイブルベルト、民主社会主義の台頭など、2024年現在にも通じる論点が多数。 トランプとはやや関係性が薄いが、帰還兵の苦悩という観点は考えたことがなかったので、大変勉強になった。世界の警察として活躍する米軍も、多くの軍人の犠牲や苦悩によって成り立っていることは忘れてはいけない。
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ラストベルト、白人主義のところでトランプ氏の素直さが受け入れらた。真っ直ぐで、有言実行。よく言えばそうなりますね。
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前作に引き続き、地道な取材を通して等身大のアメリカを描出したルポ。 加えて本書では、専門家へのロングインタビューも収録されており、これがたいへん面白い。市民取材による各論と、専門家取材による総論。この両輪があるお陰で前作以上に読み応えがある。
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トランプ王国の続編となる、ルポ書籍。 アメリカンドリームというのは、一攫千金で成り上がることだと漠然と思っていたが、「親の世代より裕福になること」のようだ。それはサービス業ではなく、製造業で成り立っている。 残念ながらそうなれなかった人たちにトランプのメッセージが刺さっている...
トランプ王国の続編となる、ルポ書籍。 アメリカンドリームというのは、一攫千金で成り上がることだと漠然と思っていたが、「親の世代より裕福になること」のようだ。それはサービス業ではなく、製造業で成り立っている。 残念ながらそうなれなかった人たちにトランプのメッセージが刺さっている、という構造。 結局トランプが公約を全て達成できるわけでも、紳士的な振る舞いをするわけでもない現状に対し、引き続き支援する人、離れる人、理論的、感情的な実情について。 本筋とは離れるが、アメリカでは、(製造業のような労働集約型では、)時給ベースでの賃金体系で雇用されているようだ。
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トランプがなぜあの時勝ったのか。既に今のアメリカはトランプが1期やってバイデンになってさらに中間選挙が終わったところ。トランプを積極的でも消去法でも応援、投票した人々の顔がくっきりと見える。 『貧困になるのは「働かない人だけだ」「教育を受けなかった人だけだ」と。全部私には当ては...
トランプがなぜあの時勝ったのか。既に今のアメリカはトランプが1期やってバイデンになってさらに中間選挙が終わったところ。トランプを積極的でも消去法でも応援、投票した人々の顔がくっきりと見える。 『貧困になるのは「働かない人だけだ」「教育を受けなかった人だけだ」と。全部私には当てはまらない。両親や国家から、やるべきだと言われたことを私は全てやった。私は働き、学び、軍隊にも入った。それでなぜ、私は空腹なの?なんで借金返済ができないの?』 この人はトランプを応援している人ではない。オバマからトランプの間もずっと生活に苦しんでいる。そして自分の声を届けてくれると信じた候補者のために活動している。 選挙の時に活動するということがどういうことなのかもまた、彼らに教えられる。
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トランプ王国1からの続き。とはいえ2020年の大統領選のかなり前までの記述。前著と同じように丁寧な取材でアメリカの多様性を描く。明るい未来を描くことができない市井の人々という図式は日本も似たようなものかも知れないけど、逆説的に考えるとそれでもアメリカは(生き方の困難さですら)多様...
トランプ王国1からの続き。とはいえ2020年の大統領選のかなり前までの記述。前著と同じように丁寧な取材でアメリカの多様性を描く。明るい未来を描くことができない市井の人々という図式は日本も似たようなものかも知れないけど、逆説的に考えるとそれでもアメリカは(生き方の困難さですら)多様性に富んでいる。とはいえ第二次世界大戦後1950年代の黄金時代は日本の高度成長期と同じように二度と戻らない時代であることは受け入れざるを得ないだろうし、本当に身近にいない他人のことを自分のことのように気にして生きることも現実にはできない。ではどこに解決策があるのか。いや、そんなものはないのだろう。それでも人生には期待を持たないとやっていられないし。というように出口のない話であることは確かなので読んでいるとかなり落ち込む。 トランプの敗戦後の姿を見た人々の、特に東西海岸でない場所での声を聞きたいけどそこは含まれない。
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トランプ大統領を支持した人々の生活する街をめぐり、様々な人から話を聞く。 単純に旅とともにある取材の様子が生き生きと描かれており、すごく面白かった。 トランプ前大統領は演説の言葉も荒々しく、なかなか個性的すぎる人物だっただけに、なぜ支持を受けているのかという点は非常に興味があっ...
トランプ大統領を支持した人々の生活する街をめぐり、様々な人から話を聞く。 単純に旅とともにある取材の様子が生き生きと描かれており、すごく面白かった。 トランプ前大統領は演説の言葉も荒々しく、なかなか個性的すぎる人物だっただけに、なぜ支持を受けているのかという点は非常に興味があった。 また、これだけ個性的な人物が大統領となっても堅持されている政策もあり、アメリカという国がどのような国家なのかも改めて興味を持って眺めることが出来たような気がする。
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いわゆるエリートが闊歩するNYやワシントンでなく、庶民が暮らす労働者の街を巡ってトランプ大統領政権下のアメリカの実情を探る著書。 米国民主党員が前回選挙の敗因として挙げた「トランプが『今晩のメインディッシュは大きくてジューシーなステーキ(=労働者の雇用、賃金といった経済問題)です...
いわゆるエリートが闊歩するNYやワシントンでなく、庶民が暮らす労働者の街を巡ってトランプ大統領政権下のアメリカの実情を探る著書。 米国民主党員が前回選挙の敗因として挙げた「トランプが『今晩のメインディッシュは大きくてジューシーなステーキ(=労働者の雇用、賃金といった経済問題)です』と売り込んでいる時に、民主党は『メインはブロッコリー(=LGBTQ優遇や移民難民救済、BLM)。健康にいい』と言っているように聞こえてしまった」という例えが言い得て妙。 国民が本心で望んでいることを外してしまったと。だから本来民主党側であった人々もトランプ支持に回ったという。 また、トランプが勝ったのでなくクリントンが酷すぎたという意見も多い。あと、トランプの政権運営は支持するが人格が下品だから人前で支持していると言えないという意見も。 トランプ大統領の支持・不支持の大まかな理由が見えたような。2019年9月発刊なのでコロナ後の評価がどう変わったかは興味ある。その審判が明日からの大統領選で明らかになる。その前に読めてよかった。 あの反日反トランプで定評のある朝日新聞記者が結構公平な目で記述しているのが意外といえば意外。 様々な人種がアメリカの理念の下に溶け合うるつぼであったはずが、今は英語も話さず各人種の価値観を維持しようとするサラダボウル状態になっている。それをトランプ大統領は「アメリカグレートアゲイン」の号令で一つにまとめようとする。 しかもその給料は1ドル。残りは全額寄付してるという事実はもっと知られていいと思う。
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ラストベルトから新南部まで、トランプ支持者の当選後の話を聞いて回ったルポ。 民主党支持からトランプ支持に変わった労働者の多くは、トランプの政策を支持して、次もトランプに投票するという意見が多いようだ。 民主党が労働者の意見に耳を傾けなくなってしまい、エスタブリッシュメントな人達の...
ラストベルトから新南部まで、トランプ支持者の当選後の話を聞いて回ったルポ。 民主党支持からトランプ支持に変わった労働者の多くは、トランプの政策を支持して、次もトランプに投票するという意見が多いようだ。 民主党が労働者の意見に耳を傾けなくなってしまい、エスタブリッシュメントな人達の政党になってしまった事がその大きな要因と思われる。 左派の候補者の政策は極端で、民主党主流派の支持は得られず、サンダースではトランプに勝てないだろう。困ったものだ。誰でもいいからトランプを引き摺り下ろして欲しい。
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