山県有朋 の商品レビュー
山県有朋 明治日本の象徴 著:岡 義武 岩波文庫 青N126-4 山県有朋の一生を語ることは、明治・大正史を語ることであると扉にあります。 長州の奇兵隊として、明治維新に貢献し、帝国陸軍の創設、徴兵制の導入、廃藩置県、地租改正などの困難な政策をまとめ上げ、軍人勅諭、教育勅語の...
山県有朋 明治日本の象徴 著:岡 義武 岩波文庫 青N126-4 山県有朋の一生を語ることは、明治・大正史を語ることであると扉にあります。 長州の奇兵隊として、明治維新に貢献し、帝国陸軍の創設、徴兵制の導入、廃藩置県、地租改正などの困難な政策をまとめ上げ、軍人勅諭、教育勅語の制定にも尽力し、日清戦争、日露戦争を勝利に導いた、実行の人。それが山県有朋である 松下村塾に短期間であるが、入塾し、吉田松陰を終生敬愛をした。 奇兵隊に入り、軍監になったことが、陸軍へと道を拓くこととなる 旧弊とした、旧藩兵よりも、徴兵した農民兵のほうが強いことを、奇兵隊でも、西南戦争でも証明した 山県有朋に天から与えられた使命とは、維新なったばかりの日本を、強大なロシアから守ることであった。 そして、それは終生の仕事となる。 三度の外遊の機会を得たことも大きかった、山県を国際感覚をもった政治家へと変えていったのである 山県有朋の祖国防衛論は、主権線と、利益線の確保と防衛であった 主権線とは、国境である。日本本土の物理的境界 利益線とは、主権線の安全と厳しく相関係するの区域、主権線を防衛するための外縁に設けられた防衛ライン である すなわち、南下してくるロシア軍を大陸に設けられた利益線で防衛すること、それが、満州であり、朝鮮であり、台湾であった。 日清戦争がおこるまでは、ひたすら強敵と戦争することの非を説き、国内の兵力を充実することを優先した 無学の兵に学を教え、武器を購入するために、地租を上げてその準備をする。 日露戦争にあたっては、朝鮮を防衛するために、清とも協調し、また、親露を説く伊藤博文を押さえて、日英同盟を成立させ、来るべき日に備えた。国内に騒乱が起きることを嫌い、当時さかんになりつつあった、自由民権運動を、治安維持という観点から弾圧した。 山県有朋が、すごかったのは、政敵であっても、大義のためには妥協できるところであった。 また、疑いぶかい性格ではあったが、徐々にその人物を評価し、地位や名誉をもって、そのものに報いたことだ 大隈重信の葬儀が、国民葬として、国をあげてのものになったに対し、山県有朋の葬儀は、国葬にもかかわらず 国民にはあまりうけいれなかったようである。 死をもってしても、名声や人気をとるのではなく、まさに実をとった英雄であったと思います。 目次 序 一 生い立ち 二 奇兵隊とともに 三 「一介の武弁」 四 組閣 五 日清戦争と第二次内閣 六 「元老政治」の中で 七 築かれた権力の座から 八 老い行く権力者の喜憂 九 晩年とその死 附註 参考文献 解説 ISBN:9784003812648 出版社:岩波書店 判型:文庫 ページ数:288ページ 定価:840円(本体) 2019年09月18日第1刷発行
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友人は伊藤博文。同じ山口出身で、同じく身分の低い家の出。二人は身分が低いため藩校(明倫館)には行けず、私塾(松下村塾)で吉田松陰に学ぶ。 下関砲撃。奇兵隊を率いて倒幕に参加。陸軍の基礎を確立して西南戦争を鎮圧。 無駄な経費を削減、予算を圧縮して浮いた財源を地租軽減などの減税に...
友人は伊藤博文。同じ山口出身で、同じく身分の低い家の出。二人は身分が低いため藩校(明倫館)には行けず、私塾(松下村塾)で吉田松陰に学ぶ。 下関砲撃。奇兵隊を率いて倒幕に参加。陸軍の基礎を確立して西南戦争を鎮圧。 無駄な経費を削減、予算を圧縮して浮いた財源を地租軽減などの減税にまわし、民力休養が必要と主張。 長州の陸軍閥。山縣有朋・桂太郎・寺内正毅。 政党は大嫌い。政党は秩序を乱す集団。軍隊のことを分からないのに口を出してくる。軍に対する政党の影響力を阻止するため、陸海軍の大臣は(政党の人間ではなく)現役の将でなければならないことを法制化した1900。 枢密院の議長。天皇の諮問に応じて意見を伝える。 外交・安全保障の現実主義・慎重派。台湾出兵の際、日本にはまだ清に勝つ力がないと主張。日清・日露では戦争回避を模索。(原敬曰く)山縣が存命のうちは日米戦争は起こり得ない。 山縣有朋(1838-1922)
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日本戦前史を勉強し直そうと思って手に取った1冊。高校日本史を履修して以来、あまり触れる機会もなかったので前提知識は朧げ。無味乾燥な教科書的記述ではすぐ挫折しそうだったため、定評ある人物評伝から入ってみた。 彼の一生を語ることは明治・大正史を語ること、という著者の指摘はその通りで、...
日本戦前史を勉強し直そうと思って手に取った1冊。高校日本史を履修して以来、あまり触れる機会もなかったので前提知識は朧げ。無味乾燥な教科書的記述ではすぐ挫折しそうだったため、定評ある人物評伝から入ってみた。 彼の一生を語ることは明治・大正史を語ること、という著者の指摘はその通りで、晩年に至るまでフィクサーとして(時により濃淡は出ているようだが)政界に権力を及ぼし続ける山縣の姿が活写されている。非常に読みやすい文体で論理関係も明快だった。 枢密院の会議で仮睡してしまった明治天皇を、軍刀で床を叩いて起こしたというエピソードは興味深かった。現実の天皇ではなく理想の天皇を崇拝するというのは昭和前期であれあるいは現代の一部の右派であれよくある事例かとは思うがここまで出来るのはなかなか居ないと思う。あとは寺内に対して「軍隊式はいかぬ」といい、その意を「物を取り決めて後報告に来たり、それを相談というが如きは不可」と述べた点は笑ってしまった。軍隊特有かはよく分からないが現代社会でもよくある話。 彼が存命のうちは日米戦争は起こらない、という原の指摘。外国に対して腰が弱いというのはそうなのだろうが、これがオルタナティブ論として成立するかは疑わしい。 「山縣的な行動様式」は今の政治家にもよく見られる側面があり、確かに「政治的な人間」の一つの型が示されている。1957年刊ということで彼の異なる一面を描く後続の研究も出ているようだが、権力を追い求める彼の一面を否定することは出来ないだろう。山縣的な行動様式は、民主主義の制度も不十分な明治・大正にも出現しうる(出現した)型であり、制度は整備されているが…という現代にも出現しうるもの。政治家の在り方や民主主義についても考えさせられる。
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憲法も国家あっての憲法。憲法を中止しようと思えば、天皇が伊勢神宮に行幸して憲法中止を奉告すれば済む。「支那位な者を倒したからとて我帝国が発展する者か。まだまだ大きな者がある」将来の白色人種の攻勢に備えて、両国の緊密化をはかるべき。
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山県有朋が、長年の盟友、伊藤博文に先立たれ、故人を偲んで詠んだ歌に感動しました。 『かたりあひて 尽し人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ』
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安倍元総理の国葬の弔辞で菅前総理が引用した歌が載っている本であると知り、読み始めました。 まだ途中ですが 長州の下級武士の子に生れた山県有朋が明治政府の重鎮に至る生涯を、時系列に淡々と記しているのですが、面白い。 その生涯を追う事がそのまま幕末から明治への政治の動きであり、ページ...
安倍元総理の国葬の弔辞で菅前総理が引用した歌が載っている本であると知り、読み始めました。 まだ途中ですが 長州の下級武士の子に生れた山県有朋が明治政府の重鎮に至る生涯を、時系列に淡々と記しているのですが、面白い。 その生涯を追う事がそのまま幕末から明治への政治の動きであり、ページ数当たりの情報量が物凄く多い。 巻末に参考文献も載っているので山県の言の一次資料も明記されており信頼がおける。 山県の父は下級武士でありながら歌を嗜んでいたとのことで、山県もその節目節目に歌を残している。歌というのがいいのかも。よくある政治家の発言の切り取りより、歌なら全文が残る。 幕末、明治維新、近代というのは学校では詳しく教えない。最終学年の3学期頃にかかるので受験時期で慌ただしい、受験に影響しない、教える教師によって甚だしく思想が偏る、等々、色々理由はあるのかもしれないが、実にもったいない。 日本が近代最初に連合諸国の圧力に直面したその背景、選択は、その延長に現代があり、通じるものがある。 政治家はさすがそのあたりの書籍も嗜んでいるのだなとわかるよい機会だった。 各政治家のお勧め書籍などの一覧があっても面白いかもしれない。
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山縣有朋を通して明治・大正史を描くとともに、「政治史人間」の一つの型を示す山縣を描いた評伝。 自らが作り上げた日本陸軍、そして2度の内閣総理大臣経験など、明治国家の発展に大きく貢献しているのだが、藩閥の代表、政党政治の敵対者であり、後には元老として多くの政変の黒幕視される...
山縣有朋を通して明治・大正史を描くとともに、「政治史人間」の一つの型を示す山縣を描いた評伝。 自らが作り上げた日本陸軍、そして2度の内閣総理大臣経験など、明治国家の発展に大きく貢献しているのだが、藩閥の代表、政党政治の敵対者であり、後には元老として多くの政変の黒幕視されるなどのため、生前から人気はなかった。 そんなこともあり、憲法を作った伊藤博文に比べてあまり取り上げられることの少ない山縣であるが、本書を読んで、その“凄さ”を改めて知ることができた。 陸軍を背後に擁していたこと、自己を中心に派閥網を作り上げていったことの2つの利点を、著者は山縣の政治的財産として取り上げる。 そして、歳を重ねるにつれ権力の追求が目的化した如くに、著者の筆は山縣を描く。 通読しても山縣自身に魅力を感じることは出来なかったが、本書は明治大正の政治史の要点をコンパクトにまとめていて、大変参考になる。
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幕末から第一次世界大戦後まで生き抜いた明治政府の元老でもあるにも関わらず、正直あまりその功績を知らなかった。元首相の追悼演説で話題になったため読んだが、大変勉強になった。表舞台ではなく、どちらかといえば裏方で重要な役割を果たしていた人物、その心情や言説が分かった。
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山県有朋の古典的評伝。面白い指摘が随所にあるが、個人的には、山県の外交論を協調的・防衛的色彩が強いとみる点が最も興味をひかれた。満蒙での帝国主義的権益の擁護には熱心であった半面で、西洋に対する日中提携論や対米英協調を重視する姿勢が描かれている。もっとも、満蒙での権益独占と対中・対...
山県有朋の古典的評伝。面白い指摘が随所にあるが、個人的には、山県の外交論を協調的・防衛的色彩が強いとみる点が最も興味をひかれた。満蒙での帝国主義的権益の擁護には熱心であった半面で、西洋に対する日中提携論や対米英協調を重視する姿勢が描かれている。もっとも、満蒙での権益独占と対中・対米協調とが両立しうるのかについては、疑問も残るのだけれど。 ちなみに、原敬は「いくら陸軍の若手が騒いでも、山県公の存命中は大丈夫だよ」と考えていたらしい。裏を返せば、山県没後の陸軍の動向を実に的確に予見していたといえるだろう。 空井護氏の解説は、本書の執筆動機や『近代日本の政治家』との関連に触れられていて、読み応えがあった。
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1 生い立ち 2 奇兵隊とともに 3 「一介の武弁」 4 組閣 5 日清戦争と第二次内閣 6 「元老政治」の中で 7 築かれた権力の座から 8 老い行く権力者の喜憂 9 晩年とその死 著者:岡義武(1902-1990、千代田区、政治学)
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