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魔女(下) の商品レビュー

4.4

6件のお客様レビュー

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2024/11/23

スウェーデンの作家カミラ・レックバリの長篇ミステリ作品『魔女―エリカ&パトリック事件簿〈上〉〈下〉(原題:Haxan、英語題:The Girl in the Woods)』を読みました。 カミラ・レックバリ作品は、先月に読んだ『獣使い―エリカ&パトリック事件簿』以...

スウェーデンの作家カミラ・レックバリの長篇ミステリ作品『魔女―エリカ&パトリック事件簿〈上〉〈下〉(原題:Haxan、英語題:The Girl in the Woods)』を読みました。 カミラ・レックバリ作品は、先月に読んだ『獣使い―エリカ&パトリック事件簿』以来ですね。 -----story------------- 〈上〉 また少女が消えた──バリィ家の娘ネーアが行方不明になったという報を受けたパトリックの頭を、30年前の事件が過ぎった。 当時4歳のステラ・ストランドは行方不明後、惨殺死体で見つかった。 バリィ農場は元ストランド農場で、ネーアも4歳。 しかも、ステラ事件のときに未成年だったため逮捕されなかった容疑者マリーは、つい最近女優として撮影のため町に戻ったばかり。 大人気シリーズ第10弾! 〈下〉 4歳のステラを殺した犯人は、後頭部を執拗に殴っていた。 30年前の事件の資料を集め、本を書く準備をしていたエリカは、今回のネーアの消息不明とステラ殺害との関連を直観した。 折しも町にはシリア難民が流れ込み、元からの住民との諍いも頻発、そして解決しない事件に苛立つ何者かが移民の住居に放火し、町は大混乱に……。 現代社会を映すミステリシリーズ、ついに怒濤のクライマックスへ! (解説/福田和代) ----------------------- 2017年(平成29年)に発表されたエリカ&パトリック事件簿シリーズの第10作目です。 農場に住む4歳の少女ネーアが森で惨殺遺体となって発見された、30年前に起きた4歳の少女ステラ・ストランドの殺人と全く同じように……北欧発大人気シリーズ第10弾。 フィエルバッカ郊外の農場で4歳の少女リネーア(ネーア)・バリィが行方不明になり、警察、地元住民有志等による捜索の結果、ネーアは森の池で死体となって発見されるが、そこは30年前に4歳の娘ステラ・ストランドが惨殺死体で発見された場所だった……ステラ事件では、ステラのベビーシッターを頼まれていた当時わずか13歳の少女マリーとヘレンの2人が容疑者となり、当初は犯行を自白するが後に否認、未成年だったこともあり逮捕されることはなかった、、、 2人の少女のうちマリーはハリウッド女優として成功し、新たな映画撮影のためにイングリッド・バーグマン役としてフィエルバッカに戻って来たばかりだった……もうひとりの少女ヘレンは父親の友人だった年上の軍人ジェームス・イェンセンと結婚し、地元で園芸店を営んでいた。 パトリックをはじめとするターヌムスヘーデ警察署の面々は、30年前の事件を本にするために取材を進めていたエリカも巻き込んで、ネーアとステラの2つの事件の類似性に悩まされながら捜査を進めるが真相解明は遅々として進まなかった……そんな中、シリア難民の犯行だと断言するものたちが現われ、難民収容所が放火される事件が発生し、捜査はさらに混迷する……。 4歳の少女ネーア殺害事件の犯人探しを中心に据えつつ、現在の事件だけでなく、30年前のステラ殺人事件の解明や17世紀の魔女狩りまでが絡んでくる重層的な展開……それに加えて、外国人排斥、親子の断絶、学校での虐め、民間人による銃の乱射事件等の社会問題も重要なテーマとなっており、重苦しくなりそうな要素が多いのですが、、、 相変わらずの読みやすさや、主人公をはじめとする登場人物の私生活が丹念に描かれており感情移入しやすいこと、そして物語が進むにつれて過去の事件と現在の事件が結びつき、バラバラと思われたエピソードがひとつに収斂していく堪らない展開が愉しめ、上下巻で1,000ページを超える大作なのですが、長くは感じなかったですねー どっちかというと、まだまだ終わらないで! という印象ですね。 本作は終盤に巻き起こる惨禍……虐められた子どもたちによる復讐、巻き込まれた子どもたちの惨劇、子どもたちを救出しようとした移民の悲劇が強く印象に残りました、、、 その惨禍の後、哀しくて辛い真相が明らかに……加害者も被害者なんだと思うと、切なくて、やるせなくて……何が善で、何が悪なのか……考えさせられました。 本シリーズは、硬派な社会問題を縦軸、エリカとパトリックを中心とした家庭的な事件を横軸とした絡む合う作風が魅力で、まだまだ先を読みたいのですが……現時点で邦訳されているのはこの作品まで、、、 本国では出版されているのかな? 続篇を期待しています。

Posted byブクログ

2023/04/10

複雑に絡み合う現代、過去の事件。そこへ1670年代の出来事がどう関わってくるのか最後まで分からなかったが、ほんとに最後の最後にこう来るのか…。魔女狩りの犠牲者の呪い?呪うのならあの最低な当人たちをと思うのだが、子孫が対象なのか…?同性愛や難民の問題もあり日本で起こる可能性だってな...

複雑に絡み合う現代、過去の事件。そこへ1670年代の出来事がどう関わってくるのか最後まで分からなかったが、ほんとに最後の最後にこう来るのか…。魔女狩りの犠牲者の呪い?呪うのならあの最低な当人たちをと思うのだが、子孫が対象なのか…?同性愛や難民の問題もあり日本で起こる可能性だってないとはいえない。時々差し挟まれるエリカたち家族の有り様が微笑ましくこうありたいと思う姿です。

Posted byブクログ

2022/04/29

エリカ&パトリックのシリーズ10作目、後半。 30年前の事件で容疑者だった十代の少女。 その年頃ならではの一途な友情関係にあったのだが、今は40代となって、別人のようになっていました。 30年前という時代の限界で、明かせない問題というのもあったとは。 地元に住み続けているヘレン...

エリカ&パトリックのシリーズ10作目、後半。 30年前の事件で容疑者だった十代の少女。 その年頃ならではの一途な友情関係にあったのだが、今は40代となって、別人のようになっていました。 30年前という時代の限界で、明かせない問題というのもあったとは。 地元に住み続けているヘレンの息子のサムと、女優マリーの娘イェシーは、ふとしたことから親しくなります。 問題のある家族関係も、えぐるような描写力で、ぐいぐい描かれていきます。 そして、300年前の出来事は。 異母妹が嫁いだ教区牧師館で女中のように働かされていたエーリンは、魔女裁判にかけられてしまいます。 この成り行きもリアルなため、やはり避けられないのか…と、ため息が出るよう。 パトリックが勤める警察の署長はうっかり人種偏見をあらわにしたために、移民である恋人母娘の逆鱗に触れて追い出されます。 そりゃあね自業自得、まったく、どうしようもないね!というキャラなのですが。 事件の深刻さや、その中で浮かび上がる底知れない闇に比べれば、まあまだ…許されるギリギリ? 主役カップルはというと、パトリックのいささかうるさい母親の再婚が決まって、その準備に忙しい。 エリカの妹アンナはこれまで一度ならず悲惨な経験をしてきたが、ここへ来てパートナーのダーンとの仲も安定し、一緒に式を挙げることに。 こういったところがシリーズ最終作らしく、いいまとまりになっています。 登場人物が多く、社会階層の(今回は年代までも重層的に増やして)あらゆる面に触れながら、大きな渦で巻きこむように怒涛の展開へ。 一段と迫力があり、圧巻でした。

Posted byブクログ

2020/03/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

(上巻より) とはいえ、このシリーズの中でもかなり楽しく読めた。 見慣れた登場人物の人間関係が安定してきたからだと思う。 ユスタが捜査で活躍し、 愛妻を亡くしたマーティンは新しい女性を知り合い、 姑が再婚し、それと一緒に妹アンナがダーンと結婚式を挙げる。 サプライズで行われた姑のヘンパーティーも楽しそうだったし。 いつものごとく大失敗をして、家を追い出された署長だったが、 移民の家族に太っ腹なところを見せて許してもらえて良かった。 エリカの執筆活動が殺人事件を招いたのでは、と パトリックが記者会見で突っ込まれた時に、 きっぱりとNOと言っていた署長はかっこよかった。 アンナの赤ちゃんが無事産まれますように。

Posted byブクログ

2019/10/23

大人には分からない若者の思考、やってきた難民を恐れる住民たち。新たな事件が起きる、何故か分からないまま。 合間に描かれる日常にホッとする。事件の真相が解かっては来るけれど、犯人も分かるけれど、悪人としてひとくくりに出来ない人たちばかりだった。 警察官にも良いことや悪いことが起き...

大人には分からない若者の思考、やってきた難民を恐れる住民たち。新たな事件が起きる、何故か分からないまま。 合間に描かれる日常にホッとする。事件の真相が解かっては来るけれど、犯人も分かるけれど、悪人としてひとくくりに出来ない人たちばかりだった。 警察官にも良いことや悪いことが起き、普通の人と変わらない日常の中で警官という仕事をしていると思うと何だか安心する。

Posted byブクログ

2019/09/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あらすじ  難民キャンプが誰かに放火される。女優マリーの娘イエシーと、同じく当時犯人にされたヘレンの息子サムは仲良くなり、いじめの主犯格3人に復讐を計画する。  30年前の真相、ヘレンは自分で殺害したと思っていたが、最終的に手を下したのは後に夫となるジェームズ。彼はヘレンの父と恋愛関係にあり、その隠れ蓑にするためヘレンと結婚した。現在の事件。ネーアはサムと一緒にいたときにたまたま落下して死んだ。それをヘレンが隠したのだった。  学校のパーティ。イエシーとサムは公民館を封鎖し、拳銃を持ち込み、いじめ3人を殺害。さらに公民館に火をつけた。駆けつけたパトリックとパウラは二人を射殺する。  シリーズ10作目。そしてシリーズラスト!え!最後なの?最後は怒濤の展開で、田舎町でまさかの中学生銃乱射事件。それでもエリカたちは幸せ。義母は再婚し、素敵な結婚式を開き、妹アンナも結婚式に便乗し、パートナーのダーンと結婚した。いろいろあるけどパトリックとも幸せだ。みたいな締めくくりになっていた。小さな町で事件が起こるのも難しいからネタ切れたのかな。確かにシリーズ後半から無理がある展開もあったけど、過去現在にわたる登場人物たちの細かな心情は読みやすかった。特に女性や弱い子どもがしぶとく立ち上がる場面が印象に残ったシリーズだった。作者の別の作品が出たらいいな。  

Posted byブクログ