日本の地方議会 の商品レビュー
首長の権限に比べて、大きく制限されている地方議会の議員。反首長でも与党でもなかなか役割が見いだせず、首長の追認機関とならざるを得ないという指摘は鋭い。予算を通さないことには、自身へもたらされた陳情にこたえることが出来ず、各論反対でも予算を通さざるをえないというのは苦しい。 一方で...
首長の権限に比べて、大きく制限されている地方議会の議員。反首長でも与党でもなかなか役割が見いだせず、首長の追認機関とならざるを得ないという指摘は鋭い。予算を通さないことには、自身へもたらされた陳情にこたえることが出来ず、各論反対でも予算を通さざるをえないというのは苦しい。 一方で、多くの小規模自治体で与野党形成がされておらず、地縁的な結びつきでしか施策への関与度合いを測ることが出来ない状態になっているというのは、必ずしも二大政党がよいとは感じないので、なんとも言えないところ。なり手不足への対応といして、専門職化(現行は兼業を前提にしているとする。)を図り、議員報酬を一定の生活給として支給することや、夜間議会の開催等で、なり手の多様化を図るべきとする。 アメリカの大統領制では、大統領は予算提出権を持っていないため、議会に大きな権限があるとしたうえで、地方議会には、専任のスタッフがいない(全員首長部局として採用されるため)ことを指摘し、政策立案機能を果たすために十分でないとする。 また、地方議員の日常についても紹介することで、単に制度面のみからの批判ではなく、フィールドに根差した研究も行っていることがうかがえる。 かなり勉強になった。なぜ、無茶を言ってくるのかということを考えるにあたって、彼、彼女らの果たしたい熱意と与えられた権限、役割が非常にアンバランスな結果として、執行機関への有形無形の圧力となるということを考えさせられた。 現行制度のもとでは、彼、彼女らはなにかしたくてもほとんどできないということに尽きる。
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町村の議会で、議長選挙が繰り返されたという報道が記憶に残っていた。議員選挙では、県議会でさえ無投票当選の選挙区があった。民意を反映するはずの議会や議員が、住民の思いと乖離している。本書では、二元代表制と言いながら、強すぎる首長の権限に対抗する議会(議員)側からの議会改革と、有識者...
町村の議会で、議長選挙が繰り返されたという報道が記憶に残っていた。議員選挙では、県議会でさえ無投票当選の選挙区があった。民意を反映するはずの議会や議員が、住民の思いと乖離している。本書では、二元代表制と言いながら、強すぎる首長の権限に対抗する議会(議員)側からの議会改革と、有識者が提唱する政党主体の、住民が政策を選択しやすい選挙制度+国への橋渡しを期待する内なる議会改革が紹介されていた。自分としては、多様な住民の要求を地方自治の施策に活かすには、政党主体には反対だ。
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とても良かった。日本の地方議会が抱える問題とその解決策を学ぶことができる。まず成り手不足の問題。名誉職と専門職のあいだの中途半端さが問題である。また、男性、高齢者のか代表など色々なもんだい関心につながる。解決策としては、より柔軟で多様性を認めていくこと。なるほどと首肯できた。
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議員のなり手不足、首長との関係……課題山積の地方議会を基礎から解説。過疎地と大都市それぞれの現状を分析し、改革の方法を考える
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本書は、最も身近な政治の舞台である地方議会について、その制度的仕組みや仕事、なり手、選挙制度、お金などの現状を丁寧に描いた上で、議会改革について論じている。本書の特色の一つは、これまで人口規模の違いを考慮せず一括りにされてきた地方議会や地方議員について、大規模自治体のそれと小規模...
本書は、最も身近な政治の舞台である地方議会について、その制度的仕組みや仕事、なり手、選挙制度、お金などの現状を丁寧に描いた上で、議会改革について論じている。本書の特色の一つは、これまで人口規模の違いを考慮せず一括りにされてきた地方議会や地方議員について、大規模自治体のそれと小規模自治体のそれとを区別して論じているところである。 「第1章 強い首長、弱い議会」では、地方議会や地方議員をとりまく制度について説明を行っている。本章では、執政制度に注目し、日本の国レベルの議院内閣制とは異なり、地方レベルでは、住民が首長や議会の議員双方を個別に選出する「二元代表制」が採用されており、その制度の下、首長には強い権限が認められた一方、議会の有する権限は限定され、それが議会の存在感を低下させたことを指摘している。また、地方議員という職業が、「名誉職」と「専門職」の間に存在するようなものとして法律上位置づけられており、議員をサポートする体制も限られていることも明らかにしている。 「第2章 議員の仕事」では、各議員がどのような活動を行っているのかについて説明している。議会の1年間、そして議会での審議過程を確認し、議員質問の場が議員にとって非常に重要であることを指摘している。また、ある公明党の地方議員に対するインタビューに基づき、議会内外での議員活動についても紹介し、片手間ではこなせない「24時間365日議員」としての職務を解説している。 「第3章 議員の選挙―なり手と制度」では、地方議員になるのはどのような人なのか、それは議会過程にどのように影響しているのかについて検討している。地方議員のなり手や選挙制度について紹介し、高齢者と男性が過剰代表されていることを確認するとともに、選挙制度と都鄙の違いが議会の政党化に違いをもたらしていることを示している。そのうえで、政党化が進んでいる大規模自治体では、首長与党・野党の色分けがわかりやすくなるものの、首長与党が多数の場合に議会が「脇役」になりやすく、そうでない場合に「敵役」になりやすいことを確認している。逆に、政党化が進んでいない小規模自治体では、議会過程が有権者に見えにくくなることを指摘している。 「第4章 議員とお金」では、議員をとりまくお金の問題として、議員報酬、政務活動費、議員定数を取り上げている。それらは、各自治体の人口規模や財政状況に左右されることを示す一方、議会の役割を認識したうえで、それに見合うだけの議員定数・議員報酬・政務活動費を考える必要があることを指摘している。 「第5章 議会改革の行方」では、地方分権改革が自治体や地方議会に及ぼした影響について概観するとともに、「内からの」議会改革、すなわち、議会・議員自らが、情報公開の促進や住民との接点の重視など、総体として議会そのものの強化を目指す改革と、「外からの」議会改革、すなわち総務省内に設置されら研究会などで提唱されてきた、政党の重要性に着目して地方議員の選挙制度や執政制度を変革すべしという議会改革論の双方について検討し、これら「内からの」議会改革と「外からの」議会改革論が目指す方向性がずれていることを指摘している。そして、諸外国の地方議会制度について紹介し、これからの地方議会に必要なのは、多様な選択を可能とする制度設計であると論じている。 本書は、地方議会の全体像を、コンパクトかつわかりやすく、また中身濃く解説しており、地方議会の現状と課題を理解し、今後の在るべき方向性を考える上で必読の書といえる。 著者の主張する、地方議会について多様な選択を可能とする制度改革の必要性についても強く賛同するものである。
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地方議会に興味があったわけではなく、何が書いてあるのかを知りたくて読んでみました。 資料に基づく情報が満載。おもしろかったのは議員へのインタビュー。議員のお仕事を見る目が少し変わりました。
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◯地方議会や地方議会議員のことを概要として学ぶには適切な一冊。地方自治法の説明と合わせて、非常にわかりやすい。 ◯地方議員は普段一体何をしているのか、そんな疑問を解くにもひと役買う。結局は、自治体の規模・人口規模によって、その役割が異なっているということが大きな要因としてありそう...
◯地方議会や地方議会議員のことを概要として学ぶには適切な一冊。地方自治法の説明と合わせて、非常にわかりやすい。 ◯地方議員は普段一体何をしているのか、そんな疑問を解くにもひと役買う。結局は、自治体の規模・人口規模によって、その役割が異なっているということが大きな要因としてありそうだ。 ◯田舎の市議会であれば、普通の主婦が議員を勤めることもあるが、大都市では政治活動を専門とする人が勤めているというのは、やはり人口規模による政治的な必要性から生まれてくる制度なのだと思う。 ◯地方制度改革が実施されている昨今、まさに制度は過渡期にあり、より良い政治が行われる環境づくりが求められていると感じた。
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