共感を超える市場 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
障害者のアートについて、アトリエインカーブのシンポジウムの講演録。 市場とは、あるルールに従ってお互いにプラスになることを交換する場所。見えない人と人を通貨を通して繋げてゆくこと。市場には匿名性の原理がある。 自立とは、依存先を増やすこと。 福祉に市場を取り込むことによって、いろんな人やものにつながりながら自立としていこうよ。と。 考えてみれば、至極当然のことかもしれない。 善いものを売って、それをもとに生活の糧にしましょうと。膝が痛い作家がいないように、障害のある作家はいないでしょう。良いものが売れて、そうではないものは淘汰される。それはなにも変わらない。障害のあるなしで評価は変わらないと。 でも、私の中にあるちょっとした違和感が抜けない部分もある。 本当に、障害アート、アウトサイダーアート、アールブリュットの作家は、障害を抜きにして、評価されているのか? あるいは、障害を全て抜きにして評価されることがよいと言いきれるのか? その特性がもとに差別されることがあまりに多く、障害があるという事ばかりがひとり歩きしてしまうことは残念に思う。でも、その作家やその表現を作ってきた過去や環境のひとつとしては、その特性は本来はとても大切なものでもある気がして、それを、引っ剥がしてしまうのもいいのかな?という難しさ。私たちはみんな一緒ですと言いきってしまう事へのちょっとした抵抗感。みんなバラバラてぐしゃぐしゃなまま、共にいられる社会になれたら本当はいいのにね。 正しい答えはまだわからない。 私のなかに差別感情がある気もする。 本当に難しい。
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