ゴリラに学ぶ男らしさ の商品レビュー
実際この本で「男らしさ」はつかめませんでしたが、「推しの霊長類」ができて動物園がより楽しくなります。※ちなみに私の推しはオランウータン、ボノボ、キツネザルです。 あらかじめ帯文等の内容紹介を読んだところ、この本は私にとって関心がある「男性学」や「男の生きづらさ」に触れた社会学的...
実際この本で「男らしさ」はつかめませんでしたが、「推しの霊長類」ができて動物園がより楽しくなります。※ちなみに私の推しはオランウータン、ボノボ、キツネザルです。 あらかじめ帯文等の内容紹介を読んだところ、この本は私にとって関心がある「男性学」や「男の生きづらさ」に触れた社会学的な本ではないかと思い、だとしたら皮肉が効いたいいタイトルだなあという好感もあり手に取りました。 しかし蓋をあけてみると、私たち人類の男の根源である霊長類のオス達の生態がほとんどで、もう9割がた動物記です。しかしその霊長類の生態こそが私を惹きつけてやみませんでした。ひとくちにサルと言ってもこんなにバラエティに富んだ生態なのかとワクワクが止まりません。メスとの関わり方、子供との関わり方、どこに居をかまえ、どうやって群をなし、群れの中はどんなパワーバランスなのか…。ゴリラ、チンパンジー、ニホンザル、ヒヒ、キツネザル、その他多くの霊長類によって千差万別な暮らしぶりを知るたび、人間との共通点を見つけて親近感が湧いたり、人間社会では考えられない習慣にびっくりしたり。 しかしそれらが私たち人間と分断されたものではなく、繋がっていることを感じます。人間の男もドラミングこそしないけれど周囲に男らしさをアピールする仕草はあるのです。サルが人類に進化していく上で変化した行動、残した本能、捨てた習慣、多様化させた社会構造、人類オリジナルの限りない発情……さらにそこから人間は多様な個人差、文化的差異があるわけで。最終的には人間そのものだって引けを取らないぐらい不思議な存在なのだと気づきます。つくづく生物学は生物を通して人間そのものを知る学問なんだなと思います。 ちょっとガッカリだった所については、最後にやっと現代を生きる男にフォーカスして男らしさを論じるパートがあるのですが、結局は旧来の男らしさこそを正しいとするような論調のように思えてしまい、私の考えとは相容れなかったという点です。最後の最後にちょっと残念な気持ちになってしまいましたが、そのガッカリを差し引いて余りある面白さでした。「男らしさ云々はいったん傍に置いといて、霊長類オモロい!!!」ってなります(笑)。感情移入するあまり、推しの霊長類も出来てしまうくらいです。動物園のお猿さんコーナーが楽しくなりますよ。
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『ダブルファンタジ-』と同時進行で読んだから、日がな貪欲にセックスの快感を求めるヒトの雌の愚かさを感じたのかもしれない(笑)。霊長類の性と食は本当に大変なものだ。オスもメスも油断なんか少しもできない暮らしだ。それにしても、なぜヒトだけ発情期がいつまでも続くのかなあ。
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山極先生、2冊目。 男性性に絞った内容だから、初版当初は批判もあったみたいですが(あとがきより)別に男尊女卑的な内容じゃない。むしろ、男、もっと頑張れヨ的な内容。 山極先生は膨大な時間をフィールドワークに費やしていらっしゃる方なので、やっぱりエピソードが抜群に面白い。ゴリラやニホ...
山極先生、2冊目。 男性性に絞った内容だから、初版当初は批判もあったみたいですが(あとがきより)別に男尊女卑的な内容じゃない。むしろ、男、もっと頑張れヨ的な内容。 山極先生は膨大な時間をフィールドワークに費やしていらっしゃる方なので、やっぱりエピソードが抜群に面白い。ゴリラやニホンザルのエピソードはもちろんなんだけど、あとがきにあったアフリカの小さな村の若者の話がまた印象深かった。人間て、どっちかというとゴリラ的で、父系社会で群れを作ってきたらしい。そういう群れの中で生きていかなきゃならないという縛りが男を苦しめてきた、と考えられるのだけれど、それが無くなると無くなるでまた、生きてくのが大変になるのだな、と感じられる。答えが簡単に出せない問題に、改めて向き合わせてもらえた。
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◯ゴリラに学ぶ、とタイトルにあるが、ゴリラに限らず類人猿、サルのオスに見られる行動と、そこから考える人間の男性について、という感じ。ゴリラ以外にも様々な類人猿の行動について記載されており、著者の幅広い研究や勉強がうかがわれる。 ◯内容については、「男性」を考えるだけあって、性的な...
◯ゴリラに学ぶ、とタイトルにあるが、ゴリラに限らず類人猿、サルのオスに見られる行動と、そこから考える人間の男性について、という感じ。ゴリラ以外にも様々な類人猿の行動について記載されており、著者の幅広い研究や勉強がうかがわれる。 ◯内容については、「男性」を考えるだけあって、性的な話題が多い。その中でも個人的に気になったのは、子殺しやオスの暴力についてである。 ◯類人猿における子殺しは、研究や解釈では雌の発情を促し、自らが生殖活動を行うためであると。オスの暴力については、類人猿の進化の過程の中で止むを得ず生じてしまったが、メスの発情によってうまくコントロールする類人猿もいる。 ◯しかし、人間はというと、脳を肥大化させて、知恵をつけただけ複雑な精神をもったがために、動物ですら凄惨だと思うような行為を平然とやっているのではないか。オスという生き物は余分な生き物である気がしてくる。 ◯オトコという生き物は、生物的な面以上に、文化的に規定されなければ、居場所なく孤独な生き物であるようだ。孤独に耐えられず、群をなし、社会を作りたがるオトコは、時代に合わせて進化の過程にあるのでなければならないのだと思う。そうでなければ、いつでもオンナに捨てられる悲しい生き物なのだと思わずにはいられない。 ◯あとこの本もあまりゴリラ感はない。類人猿感が満載である。
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ボク的にはとても面白い本でした。しかし読んでて「この本題詐欺じゃね?」と思ってしまいました。本屋さんで題名だけ見て買ったのであれですが、僕はこの本は「ゴリラはこんなに男らしくて家族のためにこんなにも尽くしているんだ諸君らもゴリラを見習いなさい!!」みたいな内容だと思っていました。...
ボク的にはとても面白い本でした。しかし読んでて「この本題詐欺じゃね?」と思ってしまいました。本屋さんで題名だけ見て買ったのであれですが、僕はこの本は「ゴリラはこんなに男らしくて家族のためにこんなにも尽くしているんだ諸君らもゴリラを見習いなさい!!」みたいな内容だと思っていました。しかし読んでみるとサルと霊長類の生態、人類の性に関する進化について論じているみたいです。僕は生物学に興味があるので「ゴリラにもホモがいるんだ」とか「ニホンザルのオスは孤児の世話をするのか」とか知れて面白かったです。でもぶっちゃこういうのに興味ない人はこの本は買わない方がいいと思います。僕が題名をつけるなら「ゴリラとサルの性事情---ヒトとの違い、共通点」にします。(売れないだろうけど)
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※このレビューにはネタバレを含みます
ゴリラに学ぶ「男らしさ」。このテーマに惹かれた。 内容的は専門的な動物学が取り入れられてて正直理解するのが難しい。ゴリラだけではなく、サル、チンパンジーなど多種の動物を参考にしてるところが難しさなのかな。 オスが群れの外に出て行ったり、子育てをしたり、ゴリラも人間も似ている一方、違いは高度な社会生活を営んでいる点だ。ゴリラに学びつつ、より人間らしい男らしさを追求しければと思った。
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