流浪の月 の商品レビュー
愛でも同情でもない関係がそこにあった。世の中からは決して理解されることのない形。思いやりにすり替えられた善人っぷりをなすりつける第三者たち。事実と真実の違いについて深く考えさせられる。私たちが想像で紡いだ事実など薄っぺらく、真実は当事者しか分からないのだと、反面教師にして胸に刻ん...
愛でも同情でもない関係がそこにあった。世の中からは決して理解されることのない形。思いやりにすり替えられた善人っぷりをなすりつける第三者たち。事実と真実の違いについて深く考えさせられる。私たちが想像で紡いだ事実など薄っぺらく、真実は当事者しか分からないのだと、反面教師にして胸に刻んでおきたい。そして自分が安心するために被害者を抱きしめるのではなく、被害者が幸せになれるよう関わっていきたいと思った。
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- ネタバレ
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読みやすい本でした。 よくある、毒親に育てられた主人公が恋をして変わっていく、というような話よりも、 もっと複雑で、もっと深い話だなと感じました。 恋愛物語は好きだけれど、恋愛に終わらない関係で終わったのもよかったです。 いとこ以外は悪い人ではないし、むしろ優しくしてくれるけれど、その優しさが主人公を苦しめる、、歯痒いと思いつつ、これがリアルなのかなとも感じました。
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読みながら、そして読み終わった後も溜息ばかりついていた。 想像していたより何倍も重く絶望的な内容で、どうかこれ以上悪いことが起きませんようにと何度も何度も祈りながら読み進めた。 文と更紗の間には、言葉で説明しようがない、本人達にしか分からない繋がりがあって、真実を知らない殆どの人...
読みながら、そして読み終わった後も溜息ばかりついていた。 想像していたより何倍も重く絶望的な内容で、どうかこれ以上悪いことが起きませんようにと何度も何度も祈りながら読み進めた。 文と更紗の間には、言葉で説明しようがない、本人達にしか分からない繋がりがあって、真実を知らない殆どの人がそれを歪んだものだと決め付け否定するけれど、結局のところそれは2人以外には触れられないしどんなに他人が寄り添ってもどこか理解出来ないようなもっともっと深いところにある。 何よりその繋がりによって本人達が救われているのであれば、決して誰も侵してはならないのだと思う。 「せっかくの善意を、わたしは捨てていく。 そんなものでは、わたしはかけらも救われない。」 この言葉の意味も、私は分かったようで本当は分かっていないんだろう。自分の中の似たような感情を重ねて、分かったつもりになっているだけだと思う。 それでも、文と更紗の“自由”がどこまでも続くようにと願わずにはいられない。
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私たちは、テレビやネットの、表面だけをなぞった報道でしか出来事を知る術は無いけれど、その報道がより面白く、よりインパクトがあるように印象操作されているのかもしれないと考える一助になる。何があったのか、どんな気持ちなのか、実際のところ当人しか知らないのだから。 報道だけで全てを知っ...
私たちは、テレビやネットの、表面だけをなぞった報道でしか出来事を知る術は無いけれど、その報道がより面白く、よりインパクトがあるように印象操作されているのかもしれないと考える一助になる。何があったのか、どんな気持ちなのか、実際のところ当人しか知らないのだから。 報道だけで全てを知ったような気になってはいけないなと改めて思う。そしてその一端だけを見てとやかく言う人にはならないでおこうとも思う。色々な角度から考えたり、人の思いを想像できる人でありたいな。
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凪良ゆうさん、2作品目です。 恋や愛などを超越した、愛です。 もしかすると愛とも違うのかもしれない。 生きるための共依存、、、とでも言いましょうか、、、 他人には理解されないでしょう。 真実とは、私たちが勝手に作り上げたものであって、その人たちだけが知っている事実とは全く違うと...
凪良ゆうさん、2作品目です。 恋や愛などを超越した、愛です。 もしかすると愛とも違うのかもしれない。 生きるための共依存、、、とでも言いましょうか、、、 他人には理解されないでしょう。 真実とは、私たちが勝手に作り上げたものであって、その人たちだけが知っている事実とは全く違うということ。全て、他人の憶測でしか無いのだと学びました。 読了後、すぐに映画を観ました。小説を読む前に映画、の方が良かったかもしれません。1冊を2時間強に収めるのは至難の技ですね。松坂桃李はハマり役でした。
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「歳の離れた男女のいびつな愛のかたち」 と、周りは見るだろう。 いびつなのかいびつじゃないのか、それは2人のみが知っていて、 周りにも分かってもらおうと、何度ももがいたけど、分かってなんかもらえなくて、 ようやく私たちの形は私たちだけが理解していれば充分だと、諦めることができるま...
「歳の離れた男女のいびつな愛のかたち」 と、周りは見るだろう。 いびつなのかいびつじゃないのか、それは2人のみが知っていて、 周りにも分かってもらおうと、何度ももがいたけど、分かってなんかもらえなくて、 ようやく私たちの形は私たちだけが理解していれば充分だと、諦めることができるまでに何年もの長い月日がかかった。 そんな話。 彼と彼女の関係を表す適切な、世間が納得する名前はなにもない。 難しい心の描写が丁寧に描かれており、作者の「異質なもの」への理解と優しさが、すごく伝わってきた。 朝井リョウ「正欲」に似たものを感じた。 傑作。
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トネリコは可愛らしい丸っこい葉を付ける落葉広葉樹だ。花言葉は、「偉大」、「高潔」、「荘厳」。風水的には家族運がUPすると言う…。辞めよう、読後の今息が詰まりそうだ。 普通では無いから、それでいいから放っておいて、朝井リョウ著の「正欲」にもそのメッセージがあったように思う。 社会は...
トネリコは可愛らしい丸っこい葉を付ける落葉広葉樹だ。花言葉は、「偉大」、「高潔」、「荘厳」。風水的には家族運がUPすると言う…。辞めよう、読後の今息が詰まりそうだ。 普通では無いから、それでいいから放っておいて、朝井リョウ著の「正欲」にもそのメッセージがあったように思う。 社会は都合よく解釈をしていく。パート先の平光さんがそのいい例で、話を聞く振りして自分の立場を固める人間は数多くいる。社会はそれに迎合されない人間も含まれて社会なのに、世論の下或いは公共の福祉の下異質なものは排除する傾向にある。少し騒ぎすぎだと思う。 誰も僕の心の詰まりは理解してくれない。誰も喉の取れそうな気持ちは分からない。穏やかに暮らすことが出来ればそれでいい。けどそれでも昔の僕には戻れない。 この間内定式があった。140人程度の同期と言われる人達はみんなキラキラしていた。僕はその仕事がしたくない訳では無いけど、内定通知書を貰って、人生が決まった気がして愕然としてしまった。 僕は穏やかに暮らしたい。幸運なことにもまだ文のように世間様に騒がれる事件は起こしたことがない。だから彼等よりもずっと穏やかに生きていけると思う。じゃあこの仄暗い井戸の底みたいな心臓はなんなんだ。 読み終わって涙が出そうになった。出そうになっただけで出なかった。涙に任せて全部流してしまえば楽なのに。それが無責任のように思えるけど、僕はそれをしたい。それが出来ない僕が嫌い。
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不足しているものを求めあって補うことができて一緒にいることの必要性と正義を手に入れた文と更紗。 切実に求めあう姿に心を揺さぶられた。 思い込みの罪、同情することの罪、正義感の罪、インターネットで刺激的なことに関心が偏る世界に生きている私たちはいろいろな罪を負っているのだと思った...
不足しているものを求めあって補うことができて一緒にいることの必要性と正義を手に入れた文と更紗。 切実に求めあう姿に心を揺さぶられた。 思い込みの罪、同情することの罪、正義感の罪、インターネットで刺激的なことに関心が偏る世界に生きている私たちはいろいろな罪を負っているのだと思った。 先に映画をみてから小説をよんだのだが、多少脚色されていたが概ね小説通りだった。どちらも良い
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2020年本屋大賞受賞作。 凪良ゆうさんの作品、初めて読みました。 面白かった!! 重たいテーマなので時間かかると思ったけど、 一気に読み終えた。 最後の終わり方が良かったので救われた。
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重ための内容で、すごく胸が苦しくなった。 結末は良かったと思います。 読み終わってしばらく経ち、もう別の本を読み始めているのに、なぜかふとした時に更紗と文の事を思い出すんです。 心に残る本だったなって思います。
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