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ここは私たちのいない場所 の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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2019/11/06

喪失をテーマにした話だったけれど、喪失感は私も両親なくしているし、ペットを亡くしたこともあるのでなんとなくわかるような気がしているんだけど、子どものころの経験に縛られているような感じがする話だった。もちろん子どもの時だからこそ(初めての喪失だからこそ)鮮烈な記憶になっていつまでも...

喪失をテーマにした話だったけれど、喪失感は私も両親なくしているし、ペットを亡くしたこともあるのでなんとなくわかるような気がしているんだけど、子どものころの経験に縛られているような感じがする話だった。もちろん子どもの時だからこそ(初めての喪失だからこそ)鮮烈な記憶になっていつまでも心にとどまっているのだろうけど。

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2019/10/13

あるみ在実 ありのり存実 そもそもが軽妙洒脱なその筆力に私は魅せられた ネクロフィリア 各々の人品骨柄を判定していた 人と人との間に生まれる愛情という貴重な財産は、一度小さなひび割れが生ずると、価値を失ったり減じたりするのではなく、そこから次第に腐敗が進行し、最後には猛毒に変じて...

あるみ在実 ありのり存実 そもそもが軽妙洒脱なその筆力に私は魅せられた ネクロフィリア 各々の人品骨柄を判定していた 人と人との間に生まれる愛情という貴重な財産は、一度小さなひび割れが生ずると、価値を失ったり減じたりするのではなく、そこから次第に腐敗が進行し、最後には猛毒に変じて、私達を蝕み、苛み、破滅させる。僅か三歳でこの世を去った妹は、その冷厳なる真実を私にしっかりと教え込んでくれたのだと思う。 年中顔を突き合わせていれば、どんなに特別な相手であっても、好きなだけでいられるはずがない。誰かと過ごした時の心豊かな記憶は虹のように儚く、その人物との諍いの記憶は刺青のように決して消える事がない。人は愛する以上に憎む事に長けた動物だ。世界から殺戮や戦争が絶えないのは、それが人間の本性に深く根ざしたものだからだ。 「懲戒解雇だけはやめてほしいの。降格も左遷も構わないし、できれば北海道に飛ばしてもらえないかしら」 鼻白む思いで私は呟く ゆし諭旨解雇 しゅかく主客転倒 釈尊は妻子を捨てて悟りの道へと踏み出し 修道士は童貞をもって本分としている 胆管癌 死の恐怖の希薄な世界に殺戮や戦争は根付かない 浦霞の純米吟醸で乾杯した ここの鱧は淡路産を使ってるから たっぷりの酢醤油に浸して小籠包を充分に冷やし 私は生まれてこのかたずっと「奥野と私が存在する世界」で暮らしてきた。それが五時間前に「奥野が死に、私だけが存在する世界」に変化した。 キェルケゴールやヤスパースを崇拝していた 喪失を昼すべての人に捧げるレクイエム

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2019/10/08

死ぬことについての哲学のような本。 人が死ぬこと、または、自分が死んだ後の世界。 それは恐れることも悲しむ必要もないのではないか。 人の死とその人の不在が同じ意味を持つとしたら、、、。 長いこと会っていない親友の死。 知らされる前は、彼は存在する世界なのである。 たとえ、...

死ぬことについての哲学のような本。 人が死ぬこと、または、自分が死んだ後の世界。 それは恐れることも悲しむ必要もないのではないか。 人の死とその人の不在が同じ意味を持つとしたら、、、。 長いこと会っていない親友の死。 知らされる前は、彼は存在する世界なのである。 たとえ、彼がもうこの世の中にいないにしても。 また本筋とは少し異なるが 主人公とかつての部下との付かず離れずの距離間が たまらなく私は好きだ。 また子供を持つ持たないという価値観に触れる部分もすごく気に入っている。 中瀬ゆかりのあとがきも含め、 本書を包む穏やかな空気感も良き。

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2019/10/07

ふんわり緩やかな空気に包まれた本編と、その背景を綴った解説。もはや共作と言っていいくらいの作品。ストーリーにはちゃんと起伏があったはずなのに読後感は心地よい凪。

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2019/09/17

いわば「変わり者」の思想と日常であるが自己投影ができてしまう内容。哲学的な文言も現実離れしておらず感慨深かった。解説で特定の人のために書いた物語とわかり、伝えたい想いを散りばめ小説にしたのであればこの本の意味はより深いものに感じた。

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2019/09/15

中瀬ゆかりさんの解説を読んで、余韻の追い打ち。まさに、言葉をむさぼり読んだ。 子供がいる世界とそうでない世界。 あなたがいる場所とそうでない場所。 生と死。 お気に入り。

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2019/09/01

映画『火口のふたり』がわりと好みだったので、その原作と同じ著者の本作を衝動買い。本作が「大切な人を失ったばかりの、著者の担当ではない編集者」のために書かれた物語であることを解説で知り、より心に沁みました。 幼い頃に妹を失い、いまだ独身でいる主人公。サラリーマン人生は順風、役員に...

映画『火口のふたり』がわりと好みだったので、その原作と同じ著者の本作を衝動買い。本作が「大切な人を失ったばかりの、著者の担当ではない編集者」のために書かれた物語であることを解説で知り、より心に沁みました。 幼い頃に妹を失い、いまだ独身でいる主人公。サラリーマン人生は順風、役員にまでなったのに、部下が不祥事を起こした折に、自らも辞めてしまう。辞める必要などまったくなかったにもかかわらず。 私は解説者と同じく、産まなかった後悔より産んだ後悔のほうが怖いような気がして、子どものいる世界に入ることを拒んだ人間です。だから、共感できる部分がいっぱいあった。 本作の登場人物たちは清廉潔白な人生を送ってきたわけではないけれど、ひとりひとり、異なる「誠実さ」がある。不倫をしようともハニートラップを仕掛けようとも(笑)。 人は想い合って生きている。 映画『火口のふたり』の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/d5915d424c98fd39cc3901dc2b5ba945

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