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生物の中の悪魔 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2022/02/21

状態依存性とトップダウンの因果関係 生命の本質を理解するためには、既知の物理法則と矛盾しない、状態依存性とトップダウンの因果関係を含む情報の理論の研究が必要である。また、どのような初期条件のもとで、そのような物理系が出現するのか、その後どのように展開するのかも。(ポール・デイヴィ...

状態依存性とトップダウンの因果関係 生命の本質を理解するためには、既知の物理法則と矛盾しない、状態依存性とトップダウンの因果関係を含む情報の理論の研究が必要である。また、どのような初期条件のもとで、そのような物理系が出現するのか、その後どのように展開するのかも。(ポール・デイヴィス(1946-)) 「本書ではここまで、急発展する新たな科学分野について紹介してきた。執筆中もほぼ毎日のように、情報の物理と生命のストーリーにおけるその役割に直接影響をおよぼすような論文 や、新たな実験結果の発表があった。この分野は生まれたばかりで、数多くの疑問がいまだ解決していない。 新たな物理法則、つまり、状態依存性とトップダウンの因果関係を含む情報の理論がもし存在するとしたら、 これと既知の物理法則との折り合いはどのように付ければいいのか? それらの新たな法則は形式的 に決定論的なのか、それとも量子力学のように偶然の要素を含んでいるのか? そもそも量子力学が 関係しているのか? 実際に生命にとって欠かせない役割を果たしているのか? 計り知れないこれ の疑問に加えて、起源の問題もある。そもそも、生命の情報パターンはどのようにして出現したの か? この宇宙では、新しいものはすべて、法則と初期条件が組み合わさることで出現する。 最初に生物の情報が出現する上で必要だった条件も分かっていないし、出現したのちに、複雑系で作用する 情報の法則などの組織化原理に対して、自然選択がどれほど強い役割を果たしたのかも分かっていな い。これらの疑問をすべて解明しなければならない。」 (ポール・デイヴィス(1946-),『機械の中の悪魔』(日本語書籍名『生物の中の悪魔』),エピローグ,pp.285-286,SBクリエイティブ,2019,水谷淳)

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2021/02/24

大学生協の書店の情報学系のコーナーにあった生物の本で気になって手に取ってみた。 生物を、「情報」を保持・処理している実体として、「情報」という観点から捉え直すと、生命現象をもう少し物理学の言葉でうまく理解できるのではないか、ということを論じている。 生命体は、まだ人類が発見し...

大学生協の書店の情報学系のコーナーにあった生物の本で気になって手に取ってみた。 生物を、「情報」を保持・処理している実体として、「情報」という観点から捉え直すと、生命現象をもう少し物理学の言葉でうまく理解できるのではないか、ということを論じている。 生命体は、まだ人類が発見していない、物質と情報を繋ぐ物理的諸原理を体現しているのではないか、もう少しでわかるところまで来ているのではないか、という話にワクワクした。こうした観点から生物と情報を結びつけて研究するのも面白そうかもと思ったり。 前から気になってたけど改めてシュレーディンガーの『生命とは何か』を読んでみたくなった。

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2020/03/07

著者の主張は少数派に属するようだが、非常に興味深い議論である。 意識や心は物質の振る舞いに影響するかもしれない。

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2020/01/06

「生物の中の悪魔」・・・って、なんかやな感じなタイトルだけど、「悪魔」は、「マックウェルの悪魔」のことですね。 物理学者である著者が、生命に物理学的にアプローチしていく。 熱力学の第2法則によって、エントロピーはだんだん大きくなる、つまり秩序はだんだんなくなっていくほうに進む...

「生物の中の悪魔」・・・って、なんかやな感じなタイトルだけど、「悪魔」は、「マックウェルの悪魔」のことですね。 物理学者である著者が、生命に物理学的にアプローチしていく。 熱力学の第2法則によって、エントロピーはだんだん大きくなる、つまり秩序はだんだんなくなっていくほうに進むはずなのだが、生物はそうならないばかりでなく、個体は成長していくし、種は進化していく。 これってどうして、という生物学の最難問に情報という観点からアプローチしようという話。 マクスウェルの悪魔のようなものがいるとすれば、無秩序から秩序が生み出されるという思考実験なのだが、現在では、情報というのはただではない。情報によってエントロピーを下げるにはエネルギーがいるのだというのが標準解答。 みたいなところから話は始まる。 生命を分解して、遺伝子レベルの解読をやっても、それでも具体的にそれがどうやって働いているのか、それが最初にどのように生まれたのかはわからない。 という要素還元主義的なアプローチの限界を指摘して、分子レベルよりもう少し上でどういうことが起きているのかを考えようという話。 ここは、ある意味、複雑系なアプローチなのだが、それも限界があるということになる。つまり、物理現象階層ごとに違う秩序があらわれるわけで、一つのレベルの秩序をしらべるのに、その上と下とは切り離して考えることができるというのが生命では当てはまらない。 というわけで、お話は、量子力学とか、コンピューターサイエンスの話になって、生命現象は、素粒子の非局在性みたなのが関係しているかも、という話に展開。 などなど。 知っている話も多いが、本の後半部分はとても面白かった。 こういうのを読むと、やっぱ宇宙とか、生命ということについては、わたしたちの科学的知識はまだまだ入り口にいて、わからないことだらけなんだな〜ということを深く感じた。 昔、リチャード・ドーキンスが、「利己的な遺伝子」とか、「ブラインド・ウォッチメーカー」などで、生命の謎、進化の謎は、すでにダーウィンとDNAの研究で解決済み、みたいなことを言っていて、納得できないものを感じたのだが、この本を読んで、あらためて生命のわからなさ、人間の意識のわからなさがよくわかった。 本当に、生命が存在すること、人間が存在することって、謎だらけなんだな〜。いろいろなことがわかれば、わかるほど、謎は増えていく感じ。

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2020/01/04

シュレーディンガー博士が1940年代に「生命とは何か」で提起された生命を物理学で説明できるのか?という問い。 著者のポール・デイヴィス博士が「情報」というキーワードでこの問いの答えの端緒を示した一冊です。 現代物理学の叡智は量子コンピュータに代表される情報処理の世界にも大きな...

シュレーディンガー博士が1940年代に「生命とは何か」で提起された生命を物理学で説明できるのか?という問い。 著者のポール・デイヴィス博士が「情報」というキーワードでこの問いの答えの端緒を示した一冊です。 現代物理学の叡智は量子コンピュータに代表される情報処理の世界にも大きな変革をもたらそうとしています。 いろいろな意味で我々は大きな変化の入口に立っているのかも知れません。

Posted byブクログ

2020/01/01

副題にある情報で生命の謎を解くから想像する通り、生命科学が今後さらに情報科学との親和性を増して、様々な新たな価値を生み出していく事が述べられていたように思う。また物理学者である著者の想像力の豊かさにとても関心した。

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